ヒアラ・キュアー

るろうに

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2章

43話 急接近な2人…?

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これはヒアラとキュアーが研究所に行った少し後~

「スズハさん!どこに行きます?」

「そうですね、とりあえずショッピングでもしましょうか」

ノノとスズハは2人でのんびり商店街を歩いていた

「スズハさんの今の装備ってやっぱり魔力系に特化した装備なんですか?」

「いえ、そんなことは無いですよ?身体能力向上くらいですかね?」

「え…?それだけ?」

「そうですねぇ…初めて探索者を始めた時に人から貰ったものなのでなかなか変えることもできずって感じで…」

なるほど…でもスズハさんってもう長いこと探索者やってたはずだよな?流石に相当使い古しとかになると変えた方がいいかもしれないけど

「あの、ごめんなさい失礼なこと聞いちゃうんですけど、今おいくつなんですか?」

「えぇ?いやぁそんなの恥ずかしくて言えないですよ…おばさんって言われるかも…」

「え?そんなになんですか!?」

「まぁ…分かりませんが、可能性というところで…」

「ゴクリ…ち、ちなみに?」

「…に、24…です。」

…え?何がおばさんなんだ?この世のおば様全員を敵に回しただろこの人

「…舐めてるんですか!」

「えぇ!?で、でもノノくん達とは6個も違うわけで…」

「社会人になったら6個なんてほぼタメですよ!」

「だ、誰目線!?経験者!?」

「…ドーズさんが言ってました」

「あぁ…」

「…ははは!スズハさん、面白いですね。なんか、ずっと最強のイメージで怖く感じてた部分があったんですけど」

「あぁー、逆ですよ、私はもっと仲のいい知り合いが欲しかったのに天啓とこの性格のせいでなかなか出来なくて…」

この性格か…スズハさん、少し癖は強いけど、はっきりした性格というか、個性があるというか、俺とは真逆だよなぁ。…少し憧れるな

そんなこんなで少し距離の縮まった2人はウィンドウショッピングを楽しんでいた

「あっ!ノノさん!私ここ見てみたいです!」

「え?ここって…服屋?スズハさん、装備があるのに服なんていつ着るんですか」

「…私だって女の子なんですから、オシャレに気を使うこともありますよ!その…いつか彼氏が出来た時とか…?」

「へー!この服すごいですね!ヒラヒラがなんというか大胆で…!」

「って!話聞いてませんよね!?」

「あれ?すみません途中から聞いてなかったかもです」

「…全然大丈夫です!気にしてませんから!」

ん?なんかスズハさんのリアクション変だけど俺なんかしちゃったかな…?

スズハは気を取り直したように並んでくるとノノが見ていた服を手に取り自身に当てて見せてきた

「どうですか?似合いそうですかね?」

んー、なんというか、えっちだ!
俺が持っていた服は確かに服としてのデザイン性は凄く特徴的だったが実際に人が着こなせるような代物ではなかったのだ。なのでシンプルにデザインの話をしただけでこの服が好きとかではなくて…

この服は人が着るにはいささか露出が多すぎる!肩しかない袖に背中の穴、腰まで空いたスリットはまるでチャイナドレスのようだ。透け感のあるレースというのも相まってこれじゃまるで…

「妖精のようじゃないか…」

「…え?」

「…ん?あっ、あ!いや!これはそーゆー変な妄想とかした訳じゃなくてその、なんというかヒラヒラが妖精みたいだなぁ~ってちょっと思っただけで別にスズハさんが着るのをイメージしたとかそーゆー訳じゃ、、なくて…ですね、」

何を言ってるんだ俺は!これじゃ墓穴を掘ってるだけじゃないか!自分からスズハさんで変な妄想してると言ってるようなものじゃないか!

スズハはジト目でこちらを見ている

「…あの、スズハさん…?」

「私は似合います?って聞いたんですから、別に妄想して貰って構わないんですけど」

「あぁ…すみません。……………少し、妄想しました…。」

「…ふふ、可愛いですね」

「え?お、俺がですか!?なんでですか!」

「まだ子供だなぁ~って思っただけですよ!」

「こ、子供扱いしないでください!もう次のお店見に行きましょ!服屋はからかわれそうだ…!」

「あら、残念です。着てみたかったのに…」

んんー…!スズハさん普段の時はもっと落ち着いた母性の塊みたいな人かと思ってたけど…いや、そうなんだけどなんか、なんというか、意地悪かもしれない…!

その後2人はショッピングや食事を楽しみ早くも街の時計台は夕方の時間を示していた

「もう夕方ですか、なんか、時差ボケとかもありますけど太陽がなくてずっと明るいってだけで違和感すごいですね」

「そうですね…その、ノノさん。この後一度宿に戻って荷物を置いたら、地上の景色も見に行きませんか?」

「え?昨日来たばかりなのにもう恋しくなったんですか?」

スズハさん、そんなロマンチストだったのか…

「そういう訳でもないんですけど…ちょっと落ち着きたい気分なんです」

「…そうですか。分かりました!夕日が出る時間は短いので早く行きましょう!」

「ありがとうございます!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

宿屋を出て街の門を抜けると滑走路に続くまでの道が真っ直ぐある。アニマストには空港がなく、ミスティの街で手続きをしてからは乗りに行くだけの簡単な手順だ。でも今回は滑走路ではなく、そこを抜けた先に広がる地上だ

「滑走路まで来ましたけど、まだ結構ありそうですね、全然地上が見えないや」

「ふふ、これがそうでもないんですよね、滝の水がすごく深く濃い霧になって天然のカーテンになってるんです。なのでもう少し行って霧を抜ければ案外すぐに地上が見えますよ」

「そうなんですか…自然の神秘だなぁ」

スズハの言う通り、滑走路の先に続く濃い霧を抜けるとそこには真っ赤な夕日がちょうど沈もうとしていた

「あぁ…綺麗ですね。ノノさん、ちょっと座りませんか?」

2人は近くの岩に腰をかけると何も言わずゆっくりと夕日を眺めた

スズハさん、相当なロマンチストだなぁ…
俺は夕日なんてこんなにまじまじと見たことないや…

隣で無言のまま夕日を眺めるスズハを見て自分も真似をしてみようと夕日を眺めてみると、気付かぬうちに頬を一粒の涙が伝っていた

「…ノノさん?」

「はい?…あれ、俺、なんで…」

「ふふ、何かを抱えているのはみんな一緒ですね」

スズハは自分も目に浮かんでいた涙を拭うと少し間を置いてから話しだした

「私、昔はすごく荒れてたんです。」

「え、スズハさんが…?ヤンキー的な荒れ方って事ですか…?」

「まぁ…そうですね。家庭環境が原因でした。母は昔から相当遊び歩いてたみたいで、私はそんな中孕んでしまった子供だったとの事でした。私の父も誰か分からないとの事でしたが、中絶するお金も無いので産んでから捨てるという事になったそうです」

「それはひどい…」

スズハは少し寂しそうな表情を浮かべていた

「でも、それですぐ捨ててくれたら良かったのに…どういう吹き回しか、母は私を中途半端に育てたのです。…それはもう育児とはかけ離れた暴力の毎日でした。物心ついた頃から記憶の中の私は常にアザだらけで自分の元の顔がどんな顔なのかすらよく分かってませんでした…。」

「………」

「結局小学校に入れる年齢になったら捨てられて孤児院に引き取られました…ほんと、何がしたかったんでしょうね。でもその頃の私はすっかり人間不信になってたので周りの子供達に対しても心を開かず牙を剥く子供になってました。」

壮絶な過去だな…俺の過去なんか比較にならないくらい酷いじゃないか

「今のスズハさんとは想像もつかないですけど、いつから変化が…?」

「そうですよね、私がこうなったのは15の時に引き取ってくれた里親のおかげなんです」

スズハは少し笑って上を見ながら話を始めた
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