大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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25 / 2,022
本編

入学式とゲスト

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朝から魔法食らって、走って、粗大ゴミつくって…。
これ、毎日じゃないよな?流石に『はい、そうです』とか言われても倒れる…。
さて、今の状況は、ちょうど入学式の真っ最中。
オードラル先生?多分、保健室か、病院か、墓の下か。どっかそのあたりだと思う。
にしても、オードラル先生の倍ぐらい話長いね。
学校長は女性で、結構若いな。若作りか?とにかく、美人なのは確定かな。あの長い髪にキリッとした雰囲気は間違いない。
あ、降りた。これで終わったか?
「次は、生徒会長による……」
まだかよ…アクビを噛み殺しつつ、壇上に目をむける。また女か…美人ばっかだな、この学校。
…そーいや、昨日クードラル先生が、力と品位と美しさがどうのこうのって言ってたから、多分そのあたりも審査基準なのか?
あれ?でもあの試験だと、それ判断出来ない気がする…。
「以上で生徒会長からの……」
お、終わったか。
「では、次は…」
まだか!
「ゲストの」
…忘れてた。そういえば、オードラル先生がなんかゲスト来てるって言ってたな。
「四代目聖女、フライナ・シグナリム様です」
その名前を聞いた瞬間、眠さで降りていたまぶたが、一瞬で上がるのを感じた。
会場もざわめいている。『ウソ?』『マジで?』『先生が言ってたのって…?』大体こんな感じか。
でも、そんなことは気にならなかった。
「皆さん、初めまして。四代目になったばかりのフライナです」
細い金の髪は長く、足下まで伸び、青く透き通った目で儚げに入学生を見ている。全身に白の聖衣を纏い、手、額、脛、胸を銀の防具で固めたまま。
どこかの帰りだろうか?いや、そうじゃないとこんな所へは来ないだろう。
正直、聖女様が言った言葉のほとんどは頭に残っていない。ずっと姿を追っていた。
あれが、自分達が守ろうとしている人、か…。
「最後に、もうひとりのゲストとして」
聖女様を最後でもういいだろ。余韻に浸ってたいんだよ。
「五英雄の一人、フィール・ハウナ様です」
背筋が凍り、余韻なんて吹き飛んだ。
そうか、そうだよな…。
「この学校に入学出来た者を祝福しよう」
低く、腹の底に響くような太い声。
聖女様がいるなら、お前達の誰かはつくよな…。
「しかし、同時に残念に思う。こんなにも早く命を散らせる者がいる、と」
常に睨んでいるようなキツい目つき、逆立った真っ赤な頭髪。
「だが安心してくれ。今の英雄はしっかり守れている」
見たところ、私服だろうか?特に鎧や武器もない。
「君たちの頑張りは無駄かもしれないが、聖女様に捧げる意味合いでは無駄ではない」
そして。
「せいぜい、死なないように頑張ってくれ。以上だ」
この上から目線の発言…!
間違いない!本物の五英雄の一人!
武器が今手元にないことが悔やまれる…!
あれば、例え何を顧みずとも煌覇こうはを撃っていたのに…!
そう思いながら、あいつが壇上から降りて行くのを見ていた。
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