大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

メッセージと聖女

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夜、一時頃に一人訓練所で剣を握る。大南下より前は毎日していたが、帰ってからは今日が初めて。理由?アーネが安静にしてろってうるさかったから。
ちなみに授業もほとんど休んでた。今現在、授業は半ば自由参加になってる。一応試験は終わったはずだし。
冬の寒い中、身体が冷えきらないように、それでいて汗はかきすぎないようにして身体を程々に動かす。まぁ、今日は一人で練習することがメインの目的じゃないしな。
早ければ今日、そうでなくとも近日中に聖女サマからメッセージが来るはず。システナとの契約は「聖女にシステナを会わせる」だから、このメッセージでは何も解決しないが…とりあえず一度連絡を取るべきだと反射的に思った。
こっちが出向くにしろ、向こうがこっちに来るにしろ、建前と距離が問題だ。聖女サマはそう簡単に王都から出ないし、こっちも聖学からほとんど出られない。出た所で、最南端の学校と国の中心、距離もかなりある。
『マスター・フライナ・シグナリム様から・メッセージです』
「繋げ」
来た。
僅かなノイズが走り、その後すぐにメッセージが繋がる。
『………あの、その、レィアさん…ですか?』
細く震えた声、何かが不安で仕方がないと声が主張していた。
「………。」
『あの、レィアさん…ですよね?』
「あ、悪い。あぁそうだ。レィアだ。レィア・シィルだ。ちょっとお前に相談したいことがあってな。ちょっと時間、いいか?」
『はい、三十分程なら…』
「あぁうん、そこまで時間はいらないんだが…ちょっとな…」
『…?、どうかしましたか?』
「あー、うんとなー…えっと…」
不味いな、どう切り出したらいいんだ。
『なんでもいいんじゃね?少なくとも遠回しに言うより、確実に分かってくれた方がこっちも向こうも楽──』
「実はな…結界の外で三神のシステナを拾ってな。お前と会いたいって言ってるんだが、俺もお前もそう簡単に動けないだろ?だから、とりあえずどうにか出来ないかって相談をし──」
『…はぁ。レィアさん、こう言うのも嫌なんですけど、私も一応聖女という肩書きを頂いている以上、時間も結構厳しいんです。このメッセージに使う魔力消費もかなりですし、出来るとイタズラでメッセージを要求するのはやめて頂けると…』
「いや、嘘じゃなくて本当に。嘘みたいな話なんだけど本当なんだって。あぁクソ、アレほら、見た目は金髪碧眼で年恰好は十二、三ぐらい、面倒臭い性格で一人称は余、死んでも肉片集めりゃケロッと復活する上に馬鹿みたいな魔力を持ってるヤツだよ。知らねぇ?」
システナは聖女と面識があるみたいな事を言ってた。どの聖女か知らないが、聖女であるなら勇者と同様に記憶を引き継いでいる。今の聖女であるフライナ・シグナリムも知っているはずだ。
『──────……………すいませんレィアさん、そこに御本人はいらっしゃいますか?』
「え?システナ?ちょい待て」
俺が何か言う前に、マキナの破片が今凄まじい勢いで飛んでった。多分システナを捕まえて戻ってくるつもりだろう。
『システナ様がいらっしゃったら、私にメッセージを飛ばしてもらうようにお願いして頂けますか?』
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