大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

確認と承諾

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『──以上です』
「そうか、わかった」
マキナを介して、四人の生徒と連絡を取った。
うち二人は反応無し、寝てるか無視してるか…あとは結界の中に戻ったかのどれかだな。
残り二人は普通に連絡が取れた。
一人は《雷光》。
それなりに小言を貰いはしたが、逆に言えばそのぐらい。特に異変は無さそうだった。
ちなみにノルマは既に終えているらしく、ただ自己鍛錬のためだけに残っているらしい。
もう一人は《剣姫》。彼女も異変はなさげで、これから結界の中に戻る所らしい。かなり早い帰還になるが、ノルマの数倍の量の首を獲得したらしく、昇級はほぼ確実らしい。
俺もノルマの数倍ぐらいは普通に取っているのだが、色んな意味でそう簡単には帰れそうにはない。
………ふむ。
「なぁ女神」
「なんだ《勇者》」
再び肩に登ったシステナの方を見ることなく、そのまま口を開く。
血まみれ、肉片まみれになった鎧は流石に解除した。システナに二度見されたが。
ちなみにその時の会話。
「ふむ、存外美しい顔なのだな。余には遠く及ばぬがな」
「………そりゃどーも。一応褒め言葉として受け取っとく」
「うむ、褒め言葉として受け取れ。あとは胸と腰周りが出てくれば大抵の男は落とせるな。婚姻を結ぶのは難しいであろうが、恋事をするのは自由であるしな」
「………。」
「む、どうした、気にしておったのか?」
「………あぁ、顔をな」
「その顔でまだ不満があるのか?求めるのは美徳だが、求め過ぎるのは醜悪だぞ?」
「………俺は男だ」
「………………。」
以上、回想終了。
あの時のシステナのなんとも言えない表情は、本気で戸惑っているんだろうとわかる顔だった。
だからって許さんがな。頭に思いっきりゲンコツ落とした。
さて、話を元に戻そう。
「この先暫く…そうだな、多分二日ぐらいか。俺は結界の中に戻らないし、聖女サマに会うのはもっと後になる。それでもいいか?」
「馬鹿者、良い訳なかろう」
システナにぱしりと頭を軽く叩かれる。避けようかとも思ったが、頭に手を置かれているので、避けたら大変な事になってそうだったし。
「んじゃ、悪いが自力で行ってくれ。身は守れるんだろ?」
「馬鹿者」
もう一度叩かれた。
「余には貴様について行くしかない。魔法も魔術も結界も使えるが、余の身体は貧弱極まりない。死にはせぬが、多少遠回りになろうとも、貴様に連れて貰う方がよいのだ」
「ふーん、そうか。少し寄り道するんだが、いいか?」
「頷くより他あるまい」
頷いてないけどな。一ミリも。
しかし許可は貰った。
「んじゃマキナ、
『了解しました』
マキナが人の形を取り、瞳に映る魔方陣が回転し始める。
「……なにをしている?」
「逆探知──数時間前、俺にメッセージを飛ばしてきた奴にな」
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