大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

日没と第二夜

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──、──、──…
…………………ぅん?
何か眩しいな…太陽?
……しまった、どうやら眠ってしまっていたらしい。
『ぁ………く』
あくびを一つしながら、勝手に動いた右腕が蛇の頭を刎ねたのを見る。
…あぁ。今モンスターパレード中か。
寝ていても身体は動いているから疲労は完全には抜けないが、頭の疲労はかなり抜けた。
『ん……ん!!』
身体と両腕を上に思いっきり伸ばし、ついでに勢いをつけて振り下ろす。
ザグッ!!と音と手応えがし、狼のような魔獣が二頭、頭の中身を撒き散らして死に絶える。
一息つき、周りを見渡してみると、見えるのは地獄のような図。遅れて鼻をつく強烈な異臭。
何十、何百と重なり連なる魔獣達の死骸が折り重なり、屍山血河を築き上げていた。
『…くっさ』
『臭気を全て遮断しますか』
『いや、いい』
俺に飛び込んできた虫型の魔獣に蹴りを叩き込むと、それに反応して《千変》が鋭利な刃物のように鋭くなる。
虫型魔獣の硬い装甲を容易く貫いて心臓を貫通、軽く足を振り抜いて死骸を捨てる。
辺りを見回すと日はかなり傾き、そろそろ日が沈む頃合だった。
『…あぁ、だから目が覚めたのか?』
呟いたところで──どぉん…と大きな音が鳴る。
そちらを見ると、再び魔獣達が結界に攻撃を仕掛け始めている。
罅が既に入っており、やがて…そう時間が経たないうちに結界が再び砕けるであろう事は容易く想像出来た。
『…面倒な』
血と脂でべっとりとした黒剣白剣を鋭く一振りする。それだけで元の輝きを取り戻した剣達は夕日の明かりを弾き、より一層輝く。
調子は良さそうだ。
一方、俺の身体は寝ている間に何度かダメージを受けたらしい。肩や脇腹が結構痛い。多分痣になっているだろうが…もしも《千変》が無かったら死んでいただろうし、そこについて文句は言わない。
金剣と銀盾は──と見れば、金剣は黒剣白剣と似たようなもの。一振りで元通りになるだろう。
しかし銀盾の表面がかなりへこんでいたり歪んでいたり。
銀盾は放っておけば大体直るが、ここまで酷い事になったのは初めてだ。直る…だろうか?
一応銀盾はもう使わないでおこう。そう思い、胸元にしまい込む。
『シャル、いるか?』
どぉん……!一際大きく結界が揺れる。さらに空いている穴から鳥型の魔獣が飛び込んできた。
それを真正面から切り伏せ、相棒の返事を待つ。
『…あぁ。なんだ?』
『血界の使用は?』
『許可する』
『おっけー』
マキナから血を引き出し、《血海》でそれを俺の物として使用する。
背中が、背中の《勇者紋》が熱を持ち、そこを中心に《勇者》のみが使う特殊能力、《血界》が発動する。
手足のみに黒い文字がのたうち回り、仮初の四肢に力が漲る。
『第二夜、開幕だクソが』
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