大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

雑用と救護

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「ぃよっしゃ、見つけた見つけた」
二階の空き教室の中でバトルする人影を発見。一階の方少しうろついたけど、上の階に来て学生証の示す場所に来たらドンピシャだったな。
外にいても聞こえる程の騒々しい音がまだしているという事は、戦いは続いているのだろう。
さて、とりあえず中に入っ──。
『今代のッ!!離れろッ!!』
扉に手をかけた瞬間、危険察知に反応あり。
素早く身を低くし、扉から離れる。
直後、扉が爆散。
「『なぁっ!?』」
思わず俺とシャルの声が重なる程に唐突な爆発。
そして低くした身のわずか一センチ上を高速で何かが飛んでいき、そのまま廊下の壁に突き刺さる。
「なんだッ!?」
『何って…ンなモン決まってるだろ』
廊下の壁を見ると、そこには壁に埋まった壁が。
『違ぇだろ。壁に埋まった壁みたいにゴツい男だ』
変わんねぇよ。
「っと、ヤバイヤバイ」
小声でそう言いながら物陰へと移動し、あらかじめ耳に入れておいた《千変》をコツコツと叩くと、マキナが決められた所へメッセージを飛ばす。
『はい、こちら救援係です』
「《緋眼騎士》のレィアだ。二階の……三番試験室の前の廊下だ。負傷者一名、至急来てくれ」
『わかりました』
それだけ伝えてメッセージを切る。
基本的に二つ名持ちが争奪戦で手伝いをする時はあまり周りにバレないようにする方がいいらしい。
理由として、ただ純粋にプレッシャーとかで潰れないようにって事が挙げられる。そんなので潰れるなら潰れちまえと思わないでもないが、まぁ一応の気配りだ。
バレたらバレただけどな。
『お、やった奴が出てくるぞ』
お前の気配察知、レベルおかしいよな。なんで俺の手元にある学生証より正確に察知出来るんだよ。
『それに感謝しろよ?じゃなきゃ今の戦いに間に合わんかっただろうからな』
実際はほとんど間に合ってなかったけどな。
と、空き教室から出てきたのは見た事ある緑頭、ルルシェルだった。
『おぉ怖。この前見た剣の女だよな?』
あぁ。
にしても今の勢い、フィールドが作用しているとしてもかなりの衝撃だったはずだ。あの壁男、少なくとも肋が何本かイったな。
というか剣でぶっ飛ばすのか。ハンマーとかじゃなくて。なんか色々と規格外だな。
『お前が言うなお前が』
そうこうしているとルルシェルが無言でその場を離れ、二年の教室がある方へと歩いていく。座学を受けに行くのだろう。
『どうする?』
んー…多分次もまたすぐに戦いが始まるだろうから、ついて行ってもいいが──。
『マスター・メッセージです』
「繋げ」
即座にそう言うと、マキナが無言でメッセージを繋ぐ。
『誰かいるか?こちら《雷光》、今二つ名持ちに無差別でメッセージを飛ばしている。至急、何名か三階廊下に来てくれ。今──うわっ!!』
そこで一度言葉が途切れ、再び繋がる。
『今、三年のリザが大暴れしている。応援を求める!』
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