大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

痕と解除

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アーネも気づかず、マキナにも反応は無く、シャルすらいまさっき気づいたというマーキング。
しかし、俺の目にはそれながしっかりと映っていた。
『心当たりは?』
「…《魔王》だ」
そう言うと、シャルが『《魔王》!?』と素っ頓狂な声を上げる。
『いつだ?どこでつけられた?』
「多分、この前アーネん家でシエルに魔法をかけられた時。そこで魔王と会った」
うん?何故かピクリとアーネが反応した。
『どうかしたか?』
「いや何も」
『そうか。で、会話は?』
「ないよ。何も。その時に右の手首をガッチリ掴まれて、じっと目を合わせ続けた」
『じゃあ間違いない。その時につけられたな』
シャルがそう断定する。
『付けられたのはただのマーキングだが、そこを始点に生命力を持ってかれてる』
「生命力?それこそリーザん時みたいにか?」
『あそこまで生かさずに半殺しじゃない。見た感じ、常に極わずかに吸い続けるタイプだ。最近疲れやすいとか無かったか?』
言われればそうだったかもしれない。だが、逆に言えばそのぐらいの反応。
「割と俺へのダメージは少ないっぽいな…いや、もちろん生命力を吸われてんのは嫌だが」
『…あくまで断言は出来んが、俺が見た感じだとこの術式、普通に厄介だぞ。お前の反応からして、マーキングされた奴の生命力が一定値以下になると急に強く生命力を吸い上げ始める』
「…そうなるとどうなる?」
『どうもならん。そのまま意識が落ちて、普通に死ぬ』
怖っ。
『多分俺が引っ張りあげなかったらそのまま死んでたぞ。お前』
「シエルの話…ですの?」
「ん?…あぁまぁ…そんな感じ。今はどっちかってーと俺の話だが」
そういや。
「アーネの話だと、傷は治ってんのに俺の意識がしばらく戻らなかったらしいんだが」
『ほぼ間違いなく、原因はマーキングのせいだろうな』
やっぱりか。
「原因が分かりましたの?」
「ん、あぁ…」
アーネにシャルに今言われた事を話すと、じっと俺の右手を見下ろす。
「今もありますの?」
「あぁ。まぁ」
「ずっとですの?」
「そうだな」
「…なんで言わないんですの?」
「え?だって痛くねぇし、特にこれといって不都合もないし…」
そう言ったら溜息をつかれた。
「そうですわね。貴方はそういう人ですわね…」
「で、このマーキングどうやって外せばいいんだ?」
「普通ならマーキングは術者が消すか、外部から強引に消すかのどちらかですわね」
「ちなみに強引に消すなら今回の難易度ってどのぐらいだ?」
「知覚すら出来ないんですから、私はお手上げですわ」
『魔王クラスのマーキングだろ?誰かが気づいた様子もなかったし、誰にも出来んのじゃないか?可能性があるならそれこそ同格じゃないと』
「同格…ねぇ…」
となると、思い当たる人物は一人しかいない。
「聖女サマじゃねぇと無理か?」
そう言ってから「いや」と思い直す。
「真面目に極めてみるか、《血界》と剣」
もしも極めることが出来れば、このマーキングすら斬ることも出来るかもしれない。
その可能性の片鱗を俺は持ってる。
幸い、しばらく学校全体が機能していないので、その間は自身を鍛え直す期間としようか。
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