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本編
朝食と執事
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アーネの部屋は俺たちの部屋と比べてそれなりに離れていて、用がない限りこっちへ普通来ないぐらい離れてる。…ホント、非常識なぐらいアーネん家って広いんだよな。
ちなみに俺達の部屋は二階の日当たりのいい部屋で、バルコニー?がある。当然、非常に広い…なんか一周まわって落ち着かねぇぐらいに。
で、そのアーネが何で俺達のところに来たのかというと、どうやら朝飯が出来たから呼びに来たらしい。
アーネはその場でエルストイをどうにかして起こそうとしているので、シエルを引き連れて朝食を食べに一階へ降りていく。
「やぁレィア君。昨日はよく眠れたかい?」
昨日も夕食をとった広い部屋に行くと、既に食事を終えたらしいアーネの父親とすれ違った。
「よく寝れたよ。ひと月ちょっと世話になるけど、邪魔になったらすぐ言ってくれ。多少なら手持ちがあるし、出てって適当に宿でもとるからさ」
「ははっ、そんな事はしないさ。うちの可愛い娘の大事な友達なんだ。むしろ居着いてくれても構わないさ」
そう言って愉快そうに笑うアーネの父親。
「んじゃ、何か手伝えるようなことがあればすぐに呼んでくれ。生憎と、剣で戦うことぐらいしか能が無いけどな」
銀剣──もちろん収納形態──をチラつかせながらそう言い、そのままアーネの父親と入れ違いになって部屋に入る。
「それじゃあ、早速で悪いが、私は仕事があるので暫く家を空ける。もし何かあれば、家内かモーリスに言ってくれ」
「モーリス?誰それ?」
「………おかあさん」
くいくいとシエルに引っ張られ、振り返ると。
「初めましてシィル様。私は執事長のモーリスと申します。この屋敷のメイド、執事、全てを取りまとめる頭…とでも思っていただければ幸いです。何か要望がございましたら、近くのメイド、あるいは執事にお申し付け下されば即座に対応致します。どうぞお見知り置きを」
総白髪をオールバックにし、燕尾服をピシリと着こなすモノクルの老人。平均的な人と比べて身体の線は細く、しかし折れてしまいそうな印象は一切無い。枯れ木と言うより柳に近いか。
「お、おう。モーリスさん、ね…」
おいシャル!いるか?いるなら返事しろ!
『………』
ダメだいねぇ!
この人、これだけ近くにいたのに俺が振り向く直前まで一切気配がしなかった。俺より気配に敏感なシャルはどうか聞きたかったんだが…こういう時に限っていねぇ。
「そ、そんじゃ早速、一つお願い出来る?」
「はい、どうぞ」
「シィルじゃなくてレィアでいい。そっちの名前、実はあんまり好きじゃねぇんだよ」
ナナキがつけてくれた名前だが、その由来が封印じゃあな…なにを思ってつけたかは、記憶を掘り返しても分からん。記憶が古いから…ではない気がする。なんだか無理矢理曖昧にさせられているような、不思議な感覚。
俺がそう言うと、目の前の老人は僅かに相貌を崩し、「承りました」とだけ返した。
ちなみに俺達の部屋は二階の日当たりのいい部屋で、バルコニー?がある。当然、非常に広い…なんか一周まわって落ち着かねぇぐらいに。
で、そのアーネが何で俺達のところに来たのかというと、どうやら朝飯が出来たから呼びに来たらしい。
アーネはその場でエルストイをどうにかして起こそうとしているので、シエルを引き連れて朝食を食べに一階へ降りていく。
「やぁレィア君。昨日はよく眠れたかい?」
昨日も夕食をとった広い部屋に行くと、既に食事を終えたらしいアーネの父親とすれ違った。
「よく寝れたよ。ひと月ちょっと世話になるけど、邪魔になったらすぐ言ってくれ。多少なら手持ちがあるし、出てって適当に宿でもとるからさ」
「ははっ、そんな事はしないさ。うちの可愛い娘の大事な友達なんだ。むしろ居着いてくれても構わないさ」
そう言って愉快そうに笑うアーネの父親。
「んじゃ、何か手伝えるようなことがあればすぐに呼んでくれ。生憎と、剣で戦うことぐらいしか能が無いけどな」
銀剣──もちろん収納形態──をチラつかせながらそう言い、そのままアーネの父親と入れ違いになって部屋に入る。
「それじゃあ、早速で悪いが、私は仕事があるので暫く家を空ける。もし何かあれば、家内かモーリスに言ってくれ」
「モーリス?誰それ?」
「………おかあさん」
くいくいとシエルに引っ張られ、振り返ると。
「初めましてシィル様。私は執事長のモーリスと申します。この屋敷のメイド、執事、全てを取りまとめる頭…とでも思っていただければ幸いです。何か要望がございましたら、近くのメイド、あるいは執事にお申し付け下されば即座に対応致します。どうぞお見知り置きを」
総白髪をオールバックにし、燕尾服をピシリと着こなすモノクルの老人。平均的な人と比べて身体の線は細く、しかし折れてしまいそうな印象は一切無い。枯れ木と言うより柳に近いか。
「お、おう。モーリスさん、ね…」
おいシャル!いるか?いるなら返事しろ!
『………』
ダメだいねぇ!
この人、これだけ近くにいたのに俺が振り向く直前まで一切気配がしなかった。俺より気配に敏感なシャルはどうか聞きたかったんだが…こういう時に限っていねぇ。
「そ、そんじゃ早速、一つお願い出来る?」
「はい、どうぞ」
「シィルじゃなくてレィアでいい。そっちの名前、実はあんまり好きじゃねぇんだよ」
ナナキがつけてくれた名前だが、その由来が封印じゃあな…なにを思ってつけたかは、記憶を掘り返しても分からん。記憶が古いから…ではない気がする。なんだか無理矢理曖昧にさせられているような、不思議な感覚。
俺がそう言うと、目の前の老人は僅かに相貌を崩し、「承りました」とだけ返した。
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