大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

腕と食後

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俺が食卓につき、暫くシエルと遊んでいると、アーネの母親がアーネ達より先に来たので、少し雑談をして時間を潰していた。
というのも、ケイナズ家では、基本食事は全員揃ってから食べるべし!みたいなルールがあるらしく、少しばかりアーネとエルストイが来るのを待っていたのだ。
ちなみに父親は何やら急ぎの商談があるらしく、今回は先に食べてから行ってしまったらしいが。
その商談の関係で、短くて二、三日。長ければ一週間ほど帰ってこないとかなんとか。
…たしかこの家、防犯関連の魔導具を取り扱ってるんだよな。てことは第一都市や第二都市よりも遠い、第四都市とかの外側に行ってんのかね?
それさておき、みんなで話しながら食事を終えると、アーネが急にこっちに寄ってきた。
「どうした?」
「その…あの…えっと…」
らしくないな。いつもならズバッと言ってしまうのだが、今回に限ってはウジウジと言い悩んでいる。
「…何もないなら部屋で寝てたいんだが」
別にゴロゴロしてたい訳じゃない。いや、間違ってもないんだが。
というのも、目下の悩みであるこの右腕、司書さんに「治るかも」と言われたが、どうやら回復魔法はもちろん、治癒魔法や復元魔法ですら治る見込みは低いらしい。
んじゃあどうしろと言うのか。
単純。飯食って寝てろとの事。
つまり、身体を充分に休めて行けばそのうち治ると司書さんは言ってた。幸いにも、身体の方には外傷がないため、夏季休暇中、しっかり休んでいれば治るとかなんとか。
ただし、今の右腕が死んだ状態で怪我をすると、右腕が正常な状態に戻るまで怪我は絶対に治らないらしいので、怪我は厳禁。
そんな訳で俺は少しでも休息を取って右腕を治したかったのだ。
「いえ!その…あの…」
「……?」
ループしてんぞ。
「もし、時間があれば私がこの街の事を案内して、一緒に見て回ってあげてもいいですわよ!」
一瞬、変な沈黙が生まれるが…。
「おう、んじゃ頼む」
個人的に都合がいいのでお願いしようか。
「…へっ?」
「どうした?いつ行く?」
やや呆けた顔のアーネ。
が、すぐに再起動した。
「え、ええっと…それじゃあ、一時間後に家の前に集合で」
なんでわざわざそこに行かなきゃならんのかよく分からんが、まぁいいだろ。
「了解了解。そんじゃまた後で」
街を見て回る程度なら怪我もしないだろうし、何とかなるだろ。それに、この街には鉱山がある。鉱山があるということは、鍛治場がある訳で、武器や防具もそれなりに発展してるはず。無駄に買ったりは出来ないが、見て回るだけなら無料タダ
シエルと一緒に部屋を出ると何故か部屋が騒がしかったが…まぁ、俺には関係無いだろ。
一時間ねぇ…何して待ってようか。
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