大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

夜中と血界

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…さて。今日は戦技アーツではなく、こっそり血界の練習。
とはいえ誰も見になんか来ねぇけどな。
『今日は《血界》か…今、どこまで出来たっけ?』
「一応第三は完成…なんだよな?アレで」
『まぁな。地味か?』
「地味ってか、俺の場合はちょっとした芸にしかならんのだが…あんなのを何十メートルと伸ばした《勇者》がいるんだろ?有り得なくねぇ?」
第三血界、たしかに使いこなせれば非常に強いのだろうが…射程距離が…。
『お前さんの第三血界の射程距離、十センチ程度だったもんな』
「…で、第四はもう少しで使えると思う。けど持続時間が短いんだよな」
『そこは集中力の問題だな。ちなみに《血界》は基本的に、奇数番が体外干渉、偶数番は体内干渉だ。今代のは体内干渉系が苦手らしいな。…あんな便利なスキルがあるのにな』
「…やかましい」
スキル使っても中々使いこなせないんだよなぁ…いや、使いこなせないってか、若干振り回されてるって方が正しいのか?
『まぁ、なんでか知らんがリーザって子が腐屍者に目を付けられてんのはほぼ確定だ。となると、何らかの形で腐屍者からの妨害が入る可能性が高い。最悪、直接対決も有り得る。そうなると、最低限、第四血界の《血鎧けつがい》をマスターして欲しい。…とりあえず、十分で及第点な』
「…けど、魔族なら俺もなんとか倒せるけどなぁ…」
ウォーミングアップを兼ねて血鎖を発動する。最近は血界で使った血を循環させる事で血を無駄に使うことが無くなったため、大分使いやすくなってきた。
『馬鹿抜かせ。アレはもはや魔族って枠じゃねぇよ。やってみりゃ分かる。ってか、会えば肌で感じるだろうよ』
「……まぁ、お前がそう言うなら確実にそうなんだろうが…」
血鎖を使って少し身体を動かした後、血呪を右腕限定に絞って展開。拳を握って大振りな打ち下ろし、浮いた身体を利用して左足に絞って血呪を展開、蹴りに繋げ、身体を捻って地面に着地、早くはなく、大して鋭くはない攻撃だが、さらに舞うように連撃を重ねていく。
『第二にもかなり慣れてきたな。今ならどれだけ持続できる?』
「んー…多分、限定解放なら十分か十五分?まぁ、あんまりやるとそこに身体が振りまわされて脱臼とかしかねないけどな」
そのために、今馴染ませている訳なんだが。
『短いな…限定解放なら、最低三十分はもって貰わないと』
「マジか」
『当然。あぁ、三十分もったところで、次の瞬間倒れるとかナシな?その後に素で一時間程度なら戦えるぐらい余力残すぐらいは当然必要』
…果てしないな。
まったく、勇者ってのは化け物ぞろいだったんだなぁ、と若干現実逃避をしながら第三血界に移っていった。
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