大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

午後と埋め合わせ

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午前はそんなこんなでみんなの戦技アーツ習得練習を見ながら、あるいはちょくちょく教えながら過ごした。
途中、男子くんがこんなの出来る存在がいるわけない!とか言ってたのでもう一回実演してやると、俺を見る目が変わってた。
もちろん好意的な意味合いではなく、理解出来ないものを見る目になったって話なんだが…。
あ、あの森じゃあ早急に強くなる必要があったんだ!必死こいてナナキに教えられたメニューをこなしていただけなんだ!
『結果、普通じゃ考えられないような多彩かつ多数の戦技アーツを保持した女みたいな男が出来た訳か』
だまらっしゃい。
えーっと、どこまで言ったっけ。
あぁ、午前の話か。
で、午後は本来、リーザが座学を教えてくれるはずだったのだが、リーザには今日一日、一応休めと班長権限で命令してある。つまりはフリーだった訳で。
いや、シャルから三大魔候の話だとか、魔術についてだとか、そういったものについて聞かなきゃならんかったのだが…。
「………?おかあさん?」
「どうかしましたか?」
「ん?あぁいや、何でもない」
なんやかんやですっかり忘れていたが、シエルと遊んでやると言ってアーネを呼んで来てもらっていた訳で。
しかしその日の午後はリーザが気絶した(させてしまった)ため、リーザを保健室に運んだり、原因をでっち上げたり、使った訓練所の後片付けをしたり。
そういった事をした後はアーネの怒涛の説教タイム。
それが終わる頃には夜の一人訓練となる訳で、シエルと遊ぶ時間が一切取れなかったのだ。
で、その埋め合わせを今現在している訳なのだが…。
この聖学が、一体どこに建っているか。皆さん、覚えているだろうか?
そう、荒野である。
つまり、遊ぶ場所なんて一切ない。娯楽に飢えた場所。
いや、生徒によっては本を自宅から持ってきていたり、趣味の手芸セットなるものを持ってきている者もいるのだが、ずっと森に住んでいた俺やずっと囚われていたシエルが何かその手のものを持っている訳もなく。
仕方なくクアイちゃんの部屋に行かせてもらった次第だ。
ちなみにクアイちゃんの部屋に来た理由は単純に消去法。班メンバーでアーネは若干嫌われており、リーザは休養のために無理。
ラウクムくんは特に嫌われてもないがあの部屋は遊ぶに適さない。
そんな訳でクアイちゃんの部屋に押しかけさせてもらった。
彼女の部屋は、予想通りというかなんというか、可愛いもの、ファンシーな物がところ狭しと並んでいた。
具体的に?シエルとほぼ同サイズのクマのぬいぐるみとか?
まぁ、それは良かったんだが…。
「あの、続きやりますよ?『お母さん、今日のご飯はなんだい?』」
「あー、『今日はシチューですよ。お父さん』」
「………♪」
そのぬいぐるみを使ってのおままごとと来た。
たしかにシエルは楽しそうだし、いいんだろうが……配役、おかしくありませんかね?逆じゃないでしょうか?主に俺とクアイちゃん。
『まぁまぁ、シエルの強い要望だったんだ。諦めな、お母さん?』
…解せぬ。
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