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本編
兄と挨拶
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という訳でユーリアの兄貴に会いに訓練所へ向かう。飯はもう食った。
とりあえず、ユーリアの盗み聞きに関しては一旦脇に置く。どう聞いたって地雷になるから、聞かずに放置だ。
「確かお前の兄貴って二人いたよな。帰って来たって事はどこか行ってたのか?」
「耳長種の男子に生まれたら、余程の事がない限り、各都市を転々としながら兵士として実力をつけて回る。大体、ひと月かふた月ぐらい出て、一週間程家に帰って、また他の都市と言った感じだな」
「各都市を回る…要は視察みたいなもんか?」
「確かに各地の警備兵が弛んでいないかという視察の意味もあるが、どこか一箇所が破られれば、結果的に王へ危害が及ぶかもしれない。そういう意味ではやはり大貴族の仕事だ。ちなみに龍人種も似たようなものだ」
「あとは実地経験って所か」
「まぁそうだな」
で、変な癖になった所は家に帰って矯正と。
「ん?って事はもしかして帰って来たのはどっちか片方だけか?」
「あぁ。次男の方の兄だ。マルセラ兄様と言う、長身に眼鏡の似合うイケメンだぞ」
「長身か…羨ましい」
でも眼鏡か。視力悪いのは不便そうだ。特に戦闘中にうっかり割れたとかしたら…
まぁそれはさておき。
訓練所の扉を開くと、熱気が訓練所に渦巻いていた。
響く掛け声、激しい衝突音、絶えず鳴り響く金属の悲鳴、地面を時折濡らす赤は間違いなく血だろう。
「相変わらず激し…つか昨日より激しくない?」
「まぁマルセラ兄様が帰って来たしな。皆も嬉しくなって、つい訓練に熱が入り、激しくなるのも無理はないだろう」
嬉しいと訓練が激しくなるのか?なんかおかしくない?
「お、いたいた。レィア、こっちだ」
どうやらユーリアが兄を発見したらしい。他の兵士達の邪魔にならないよう避けながら訓練所の奥へと進む。
どこへ向かっているのかとユーリアの方向を見てみると、確かに長身で眼鏡を掛けた男性が一人、じっとこちらを見つめていた。
淡い紫の髪に幾筋か緑の髪が混ざっている。彼がおそらくマルセラだろう。
「おかえりマルセラ兄様。昨晩遅くに帰って来たようで、挨拶が遅れて申し訳ない。それと、私の友人のレィアだ」
「あー、初めまして。ユーリアの友達のレィア・シィルです。しばらくこの家に厄介になります」
そう言うと、マルセラは俺の顔をじっと見つめ、やがて顔をぱっと綻ばせ、手を差し出した。
「あぁ、初めまして。僕がマルセラ・グランデンジークだ。妹が何かやらかしてないか?」
「兄様!?」
「あー…まぁ、やらかしてないと言えば嘘にな…りますね…」
「レィア!?」
「そうか、妹は聖学での事をあまり話してくれなくてね。父の影響もあるんだろうが…良かったら話してくれないかい?それと、僕のことは気軽に名前だけで呼んでくれていい。その様子だと敬語も苦手かな?なら無しでいいよ」
などと朗らかに笑いながらそう言ってくるマルセラ。結構いい人そうで安心した。
とりあえず、ユーリアの盗み聞きに関しては一旦脇に置く。どう聞いたって地雷になるから、聞かずに放置だ。
「確かお前の兄貴って二人いたよな。帰って来たって事はどこか行ってたのか?」
「耳長種の男子に生まれたら、余程の事がない限り、各都市を転々としながら兵士として実力をつけて回る。大体、ひと月かふた月ぐらい出て、一週間程家に帰って、また他の都市と言った感じだな」
「各都市を回る…要は視察みたいなもんか?」
「確かに各地の警備兵が弛んでいないかという視察の意味もあるが、どこか一箇所が破られれば、結果的に王へ危害が及ぶかもしれない。そういう意味ではやはり大貴族の仕事だ。ちなみに龍人種も似たようなものだ」
「あとは実地経験って所か」
「まぁそうだな」
で、変な癖になった所は家に帰って矯正と。
「ん?って事はもしかして帰って来たのはどっちか片方だけか?」
「あぁ。次男の方の兄だ。マルセラ兄様と言う、長身に眼鏡の似合うイケメンだぞ」
「長身か…羨ましい」
でも眼鏡か。視力悪いのは不便そうだ。特に戦闘中にうっかり割れたとかしたら…
まぁそれはさておき。
訓練所の扉を開くと、熱気が訓練所に渦巻いていた。
響く掛け声、激しい衝突音、絶えず鳴り響く金属の悲鳴、地面を時折濡らす赤は間違いなく血だろう。
「相変わらず激し…つか昨日より激しくない?」
「まぁマルセラ兄様が帰って来たしな。皆も嬉しくなって、つい訓練に熱が入り、激しくなるのも無理はないだろう」
嬉しいと訓練が激しくなるのか?なんかおかしくない?
「お、いたいた。レィア、こっちだ」
どうやらユーリアが兄を発見したらしい。他の兵士達の邪魔にならないよう避けながら訓練所の奥へと進む。
どこへ向かっているのかとユーリアの方向を見てみると、確かに長身で眼鏡を掛けた男性が一人、じっとこちらを見つめていた。
淡い紫の髪に幾筋か緑の髪が混ざっている。彼がおそらくマルセラだろう。
「おかえりマルセラ兄様。昨晩遅くに帰って来たようで、挨拶が遅れて申し訳ない。それと、私の友人のレィアだ」
「あー、初めまして。ユーリアの友達のレィア・シィルです。しばらくこの家に厄介になります」
そう言うと、マルセラは俺の顔をじっと見つめ、やがて顔をぱっと綻ばせ、手を差し出した。
「あぁ、初めまして。僕がマルセラ・グランデンジークだ。妹が何かやらかしてないか?」
「兄様!?」
「あー…まぁ、やらかしてないと言えば嘘にな…りますね…」
「レィア!?」
「そうか、妹は聖学での事をあまり話してくれなくてね。父の影響もあるんだろうが…良かったら話してくれないかい?それと、僕のことは気軽に名前だけで呼んでくれていい。その様子だと敬語も苦手かな?なら無しでいいよ」
などと朗らかに笑いながらそう言ってくるマルセラ。結構いい人そうで安心した。
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