大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

場所と依頼

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「……」
プクナイム、か…。
思わず渋い顔をした俺。
それに気づいていないのか、それとも気づいているが無視しているのか、知らないが、そのまま話を続ける学校長。
「私の…というよりも、学校としてあなたへの依頼は、プクナイムにいる生徒一名の捜索と救出、そして保護です」
「…あん?」
流石に疑問が沸いた。
「ちょい待て。なんじゃそりゃ?この学校の生徒の救出と保護?そりゃまた変な話じゃねぇか。この学校のやり口と全く違う」
生徒は無理して助けたりしない。減ったらまた足せばいい。
そんな考えだと思ってるんですが?
「今回は特殊ケースです。
…まぁ、そりゃそうか。
軽く天井を見上げながら、前にこの部屋に来た時の事を思い出す。
あの時俺は、「どちらの派閥にも属さない」と学校長に伝えた。
それはつまり、手駒である《シェパード》に見せたくない、もしくは出すことが出来ない依頼かつ、どうしてもどうにかしなければいけない依頼が発生した場合。
そうしたら、お抱えの《シェパード》に出すよりか、多少割高なお代になるがやってやろう、って話。
万が一にも起きないだろうとは思いながら言ったのだが、その万が一が早くも来た訳だ。
「そりゃぁ…まぁそうなんだろうな。だが、内容はどうあれ、俺は無理だよ」
「はい?」
「だからさ、無理だっての」
そう言って髪を弄る。
「俺さ、あの都市に出禁食らってんの。だからまず入れないし、そこから生徒の救援だの保護だのは…まぁ無理だわな。仮に入れたとしても、あそこの警備は滅茶苦茶質が高い。探してる間にすぐに見つかっちまう。多分、ミイラ取りがミイラになる」
「…あなた、一体なにをしたんですか…」
「んー…?別に?単に何日か泊まってすぐに出たよ。けど、出ようとしたタイミングになってから指名手配されて、街の外れまで追いかけられた」
「…はぁ。しかし、この依頼を断ってもらう訳にはいけませんし…レィアさんは特に窃盗や強盗をした訳ではないのですよね?」
「いくら常識を知らねぇからってそんなアホな事はしねぇよ」
ナメてんのか。
「わかりました。なら、私が話をつけます。そうしたら依頼を受けて頂けますか?」
「は?」
いや、うーん、まぁ、それなら断る必要もないし、受けない訳にはいかないか。
「…まぁいいけどさ」
「わかりました。では、明日の午後にまたこの部屋まで──いえ、私があなた達の部屋へ行きますので、そこで話をする、と言うことでいいですか?」
「ん、わかったよ」
学校長め、多分また扉壊されると思って即座に場所変更しやがったな。
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