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本編
保健室と連絡
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二十分ほど歩き回ってベッドを見ていったが、シエルの姿がやはり無い。もしかして入れ違いで自室に帰ったタイミングだったか?
………まぁ、それならそれでいいのだが…何かこう、違和感がある。
「マキナ、シエルに繋げ」
周りは寝ているとは言え、人のいる場所だからか、マキナは言葉を発さずに静かに起動し、メッセージを発動する。
しかし反応が返って来ない。待機音がかなり長く続く。
僅かなノイズが走り、繋がったのはおよそ一分程ずっと鳴らし続けてようやくのことだった。
「ようシエル。体調はどうだ?」
『………ん』
問題は無いと。体調の方はもう大丈夫らしい。
「そうか。そいつは良かった。いや何、ちょっと用事があって保健室に行ったらお前がいなくてビックリしただけだ。なんかあったのか?」
『………んん。だいじょう、ぶ』
「わかった。んじゃ切るな。また明日」
『………ん』
メッセージを切り、マキナを抜いて軽く放り投げながら思案する。
元々口数が少ない子なのでなんとも判断がしにくい。が、ひとつ確実なことを言うなら、間違いなく彼女は今に巻き込まれている。何があったのか、なんでそうなったのかその他諸々の疑問には答えられないが、それだけは確かだ。
「あれ?レィアくん?来てたんだ…」
「あ、先生起きた?ちょっといい?」
「ふぁぁぁ……ん。いいよ。何?」
欠伸をしながら先生が確認をする。
「シエルっていつ退院したの?」
「えっと…そうだね、大体一時過ぎぐらいかな。僕がお昼食べて帰ってきてチェックしたから」
「そうか。サンキュー先生」
「僕はあっちのソファぁぁぁ…ごめん、ソファの方でちょっと休んでるね。何かあったら呼んでね」
「おっけー先生」
さて、一時過ぎか。今現在の時刻は三時きっかり。単純に考えてシエルが退院してから二時間ほど。なら、いかに半魔族とは言え、そこまで遠くには行けないだろう。特にあの子はまだ子供だし。
とは言え、メッセージ中に雑音が入らなかった。恐らくどこかの室内か。ならば学校の敷地内でほぼ間違いないだろう。
自室か?一番可能性は高そうだ。
だがいなかったら?訓練所に一人籠って修練というのは中々考えにくい。となると空き教室?でもなんで?
答えは出ない。そもそも一番可能性の高い自室をまだ見ていないので、シエルがそこにいましたの可能性も充分ある。
一回行ってみようか。まともに部屋ん中覗いてないし丁度いいだろう。
そう思って保健室から出ようと思った時、突如何者かに手首を掴まれた。
「んえっ!?」
完全な不意打ちに思わず変な声が出た。
しかし驚きつつも手を掴み返し、俺の手首を掴んだ者の顔を見る。
そこには、若干やつれた紫の頭があった。
………まぁ、それならそれでいいのだが…何かこう、違和感がある。
「マキナ、シエルに繋げ」
周りは寝ているとは言え、人のいる場所だからか、マキナは言葉を発さずに静かに起動し、メッセージを発動する。
しかし反応が返って来ない。待機音がかなり長く続く。
僅かなノイズが走り、繋がったのはおよそ一分程ずっと鳴らし続けてようやくのことだった。
「ようシエル。体調はどうだ?」
『………ん』
問題は無いと。体調の方はもう大丈夫らしい。
「そうか。そいつは良かった。いや何、ちょっと用事があって保健室に行ったらお前がいなくてビックリしただけだ。なんかあったのか?」
『………んん。だいじょう、ぶ』
「わかった。んじゃ切るな。また明日」
『………ん』
メッセージを切り、マキナを抜いて軽く放り投げながら思案する。
元々口数が少ない子なのでなんとも判断がしにくい。が、ひとつ確実なことを言うなら、間違いなく彼女は今に巻き込まれている。何があったのか、なんでそうなったのかその他諸々の疑問には答えられないが、それだけは確かだ。
「あれ?レィアくん?来てたんだ…」
「あ、先生起きた?ちょっといい?」
「ふぁぁぁ……ん。いいよ。何?」
欠伸をしながら先生が確認をする。
「シエルっていつ退院したの?」
「えっと…そうだね、大体一時過ぎぐらいかな。僕がお昼食べて帰ってきてチェックしたから」
「そうか。サンキュー先生」
「僕はあっちのソファぁぁぁ…ごめん、ソファの方でちょっと休んでるね。何かあったら呼んでね」
「おっけー先生」
さて、一時過ぎか。今現在の時刻は三時きっかり。単純に考えてシエルが退院してから二時間ほど。なら、いかに半魔族とは言え、そこまで遠くには行けないだろう。特にあの子はまだ子供だし。
とは言え、メッセージ中に雑音が入らなかった。恐らくどこかの室内か。ならば学校の敷地内でほぼ間違いないだろう。
自室か?一番可能性は高そうだ。
だがいなかったら?訓練所に一人籠って修練というのは中々考えにくい。となると空き教室?でもなんで?
答えは出ない。そもそも一番可能性の高い自室をまだ見ていないので、シエルがそこにいましたの可能性も充分ある。
一回行ってみようか。まともに部屋ん中覗いてないし丁度いいだろう。
そう思って保健室から出ようと思った時、突如何者かに手首を掴まれた。
「んえっ!?」
完全な不意打ちに思わず変な声が出た。
しかし驚きつつも手を掴み返し、俺の手首を掴んだ者の顔を見る。
そこには、若干やつれた紫の頭があった。
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