大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

解散と片付け

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あとから遅れて来た生徒も何人か居たが、結局シエルは来なかった。まぁ、あの子の戦闘能力は二年の中でもかなり高いレベルにある。スキルを使えばトップじゃなかろうか。もちろん二つ名持ち俺とユーリアを除いてとなるが。
「なぁレィア、そろそろメシだから終わんね?」
「あ?あぁ。そういやそうだな。終わるか」
「おっしゃ!んじゃ俺向こう側に言ってくるわ!おーい!」
「…頼むわ」
やっぱ来なかったかと思ってマキナを解除。
二、三発ぐらいいいのを貰ったが、その辺はフィールドの恩恵でノーダメージ。やっぱフィールドってすげぇわ。
「んじゃほら、解散だ解散。散れ散れ」
途端にへたり込むクラスメイト達。疲労を吐き出すような呻き声がほとんどだが、一部えぇーと名残惜しむような声が聞こえたのは気の所為だろう。
「伝えてきたわ。そんまま自由解散だってよ」
「おっけー、わかった。ほら、鍵閉めるからとっとと出ろお前ら」
「鍵?鍵はアリアンが持ってなかったか?」
…あ、そうか。個人で持ってるからうっかりしてた。
「そうだったな。で、そのアリアンは?」
ちなみにそのアリアンが今回の件の発案者。訓練所の鍵はちゃんと手続きを踏めば借りれるらしいので、アリアンはキチンと手続きをして借りたのだろう。俺みたいな人から貰ったみたいなアウトな鍵じゃなくて。
「あっちでへばってる。アイツも結構ヤバい組だしな」
「そうなのか?デキそうなイメージだったんだが」
ちなみにアリアンの風貌はピンクの髪を後ろで縛り、デコをやや広めに出すような感じの女の子。顔のパーツが結構元気そうな感じ。というか事実元気。武器は魔本とメイスだった気がする。スキルは知らん。
午後の訓練とかだと結構戦果上げてたようなイメージなんだけどな。
「あー、俺アリアンと同じ班なんだけどよ。あいつ対人がからっきしでさ。魔獣相手なら大体何とかなるんだけど、フェイントとか読み合いがクソほど出来ねぇのよ。だから多分焦って今回のヤツやったんじゃねぇかな」
「なるほどね。俺もその気持ちが分からん訳じゃない」
「はぁ?お前が?」
「なんだ、おかしいか?」
「いや、おかしいっつーか…まぁ、それこそそんなイメージなかったし」
「二つ名争奪戦でもやりゃ嫌でも慣れるさ」
ヴィクターが「それもそう…か?」と納得仕掛けたところでアリアンがむくりと起きた。
で、こっちの視線に気づいて手招きしてきた。
「来いって」
「え、俺?さっきあっちの方行ったじゃん」
「でもお前と同じ班なんだろ?ならお前じゃね?」
「まじか。しゃーねーなー」
ヴィクターがアリアンの方へ行き、二三喋って戻ってくる。
「お帰り。なんだって?」
「疲れたから鍵閉めといてくれってさ。さっきの話、中途半端に聞かれてたっぽい」
「…え、俺が片すの?」
「鍵渡されちまったし…俺も手伝うよ」
ヴィクター…お前結構良い奴だよな。見た目に反して。
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