295 / 2,022
本編
女と剣
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飯も終わったし、さてさて、今日も今日とて夜の秘密訓練に──。
「ちょっと」
いや、でも返しそこねた本をもう一度読むのも──。
「ちょっと!」
いやいや、それより優先しなきゃいけないことがあった。
髪についた鵺の血がまだ完璧にとれちゃいない。シャワールームで一応落としたが、落ちきらなかったのだ。
部屋に戻ってもっとちゃんと…。
「あなた!」
うるさいな…誰か知らねぇけど返事してやれよ。
「そこの!」
ほら、呼ばれてんぞ。
「そこの《緋眼騎士》!」
なんだ、俺かよ。
ぐるりと振り返ると、昼のイチャモン女…えーっとだれだっけ?
「……………………あー、だめだ、思い出せねぇや」
なら、別に思い出さなくていいか。
「んで、何用?」
その一言だけでなぜかビクつく彼女。
見た所、制服は既に外しており、私服を着用している。
…が、結構その、可愛い方面の服装をつけているので、中々視覚的にアンバランス。
まぁ、服のセンスについては赤の他人である俺が特に何も言うことは無い。重要なのは話しかけてきた内容。
けど、その前に一個確認しないとな。
「俺に昼間イチャモンつけた挙句、正面から文句を蹴散らした上、小便漏らして気絶、最終的に保健室に担がれてったけど、大丈夫?」
「うっさい馬鹿!!死ね!!」
クラスメイトの体調を気にするのは普通の事…だよな?
うーん、さっきアーネに馬鹿扱いされたしな…人の心とはかくも難しいものか。
「んで?もっかい聞くけど何用?」
再びビクッ!となりつつもようやく答える彼女。
「あ、アンタ、どこの出身だい?」
ん?そんな事か?
「王都から見て東の方だ。その中でもさらに田舎だな」
「王都から見て東の方で田舎?プクナイムかな?」
…うーん、違うんだけど、流石に紅の森とか言っても信じてもらえないっぽいしなぁ…ユーリアもラウクムくんも、冗談だろ?って言ってたしな。
結果、俺は肯定も否定もしないでおいた。あれだ、嘘は言ってないが真実も言ってないって奴だ。
「で、それがどうかしたか?」
正直、昼間との話の脈絡がなさ過ぎて訳が分からん。
「アンタが持ってた剣なんだけど」
んん?俺の剣ってどれだ?金剣?銀剣?黒剣?白剣?…あれ、今更気づいたけど、俺ってかなりの本数剣持ってたな。
「どれよ?」
「どれって…全部」
「全部か…けど、何かあったか?」
「うん、その剣なんだけどさ、ちょっと見せてくれない?」
「別に構わねぇが?」
そう言って俺は銀剣を渡した。
ら。
彼女は目を輝かせ、俺から銀剣をひったくると────。
「ふんぎゃぁぁぁぁぁ!!」
突然重くなった銀剣につま先を潰されて悶絶した。
…マジで何がしたかったんだ。
「ちょっと」
いや、でも返しそこねた本をもう一度読むのも──。
「ちょっと!」
いやいや、それより優先しなきゃいけないことがあった。
髪についた鵺の血がまだ完璧にとれちゃいない。シャワールームで一応落としたが、落ちきらなかったのだ。
部屋に戻ってもっとちゃんと…。
「あなた!」
うるさいな…誰か知らねぇけど返事してやれよ。
「そこの!」
ほら、呼ばれてんぞ。
「そこの《緋眼騎士》!」
なんだ、俺かよ。
ぐるりと振り返ると、昼のイチャモン女…えーっとだれだっけ?
「……………………あー、だめだ、思い出せねぇや」
なら、別に思い出さなくていいか。
「んで、何用?」
その一言だけでなぜかビクつく彼女。
見た所、制服は既に外しており、私服を着用している。
…が、結構その、可愛い方面の服装をつけているので、中々視覚的にアンバランス。
まぁ、服のセンスについては赤の他人である俺が特に何も言うことは無い。重要なのは話しかけてきた内容。
けど、その前に一個確認しないとな。
「俺に昼間イチャモンつけた挙句、正面から文句を蹴散らした上、小便漏らして気絶、最終的に保健室に担がれてったけど、大丈夫?」
「うっさい馬鹿!!死ね!!」
クラスメイトの体調を気にするのは普通の事…だよな?
うーん、さっきアーネに馬鹿扱いされたしな…人の心とはかくも難しいものか。
「んで?もっかい聞くけど何用?」
再びビクッ!となりつつもようやく答える彼女。
「あ、アンタ、どこの出身だい?」
ん?そんな事か?
「王都から見て東の方だ。その中でもさらに田舎だな」
「王都から見て東の方で田舎?プクナイムかな?」
…うーん、違うんだけど、流石に紅の森とか言っても信じてもらえないっぽいしなぁ…ユーリアもラウクムくんも、冗談だろ?って言ってたしな。
結果、俺は肯定も否定もしないでおいた。あれだ、嘘は言ってないが真実も言ってないって奴だ。
「で、それがどうかしたか?」
正直、昼間との話の脈絡がなさ過ぎて訳が分からん。
「アンタが持ってた剣なんだけど」
んん?俺の剣ってどれだ?金剣?銀剣?黒剣?白剣?…あれ、今更気づいたけど、俺ってかなりの本数剣持ってたな。
「どれよ?」
「どれって…全部」
「全部か…けど、何かあったか?」
「うん、その剣なんだけどさ、ちょっと見せてくれない?」
「別に構わねぇが?」
そう言って俺は銀剣を渡した。
ら。
彼女は目を輝かせ、俺から銀剣をひったくると────。
「ふんぎゃぁぁぁぁぁ!!」
突然重くなった銀剣につま先を潰されて悶絶した。
…マジで何がしたかったんだ。
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