大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
285 / 2,022
本編

図書館と探し物

しおりを挟む
さて、シャルと喋って終わった前回だが。
俺が今どこにいるか教えてなかったな。
図書館だ。
辺り一面本、本、本。
人の背丈よりデカイぐらいの本棚にこれでもかと本がぎっしりと詰まっている。
なぜここに来たのかは、まぁ後から説明するとして。
この図書館、びっくりする程人がいない。
理由は簡単。司書の人以外、基本的に立ち入り禁止だから。
前にチョロっと話に上がったかと思うが、本というのは超高価な物だ。
それがこんなにもあると、一つぐらいパクってもバレないよね?って思うボケナスが現れるかもしれないって訳で。
という訳でここに入れるのは司書の先生と学校の先生数人程度らしい。
え?俺はどうして図書館ここにいるのかって?
………二つ名の特権って素晴らしいよね。
つまりはそういうことです。
今日の授業を全てすっぽかして図書館に入り浸ってる。
『んで、お前何してんの?』
…見りゃわかんだろ。本読んでんだよ。
『その中身だ。察せよ』
言いたくねぇんだよ。察せよ。
ってーかお前、文字読めねぇの?
『つい最近まで読めなかったテメェが言う?言っちゃう?それには深ーーーーい理由があるけど聞く?』
まぁ、大方戦いに明け暮れてて文字知らねぇだけだろ。
『分かってんじゃん!ねぇ、分かってんじゃん!なら聞くなよ!』
えーっと、王国史は…。
『聞けよ!!』
やかましいな、おい。
俺が探してるのは歴史関連の本。
え?前にアーネとユーリアに鍛えられただろってか?そりゃ聖女サマが出てきた後の歴史だかんな。
俺が知りたいのはそれ以前の話。
その辺りの本は基本的に戦火に巻き込まれて文字通り灰になったりして、現存する本はかなり少ないらしいが、ここならもしかして………っていう淡い期待を抱いてここにいる訳。
えーっと、適当に《世界歴史一覧》とかって言うこれでいいか。歴史をザッと知りたいだけだし、そこそこ古そうだし。
『ほーう。そういう事か』
そゆこと。ちなみに、王都には図書館なんて無い。
『あれ?そういう所に図書館ってありそうなイメージなんだが?』
盗っ人が絶えなかったんだとよ。んで、に移されたらしいぜ。
『…ん?つまりここ図書館の本って…』
元は王都の本らしいな。そこの図書館案内みたいな地図に書いてあった。…あぁ、書いてあっただけだから読めなかったのな。
『文字を勉強してる暇があるなら剣を握れよ。勇者だろ』
勇者だからといって勉強しちゃいけない道理はねぇぞ。
ペンは剣より強しって言葉もあるぐらいだしな。
『はぁ?ペンってあの字を書く細い棒か?剣で斬ったら確実に剣が勝つだろ。お前馬鹿だなー』
黙れ脳筋。
……うん?なんだこりゃ?
『どした?今代の勇者さんよ』
歴史が…うーん?
ごっそり白紙になってやがる。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!


処理中です...