大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

亡霊と目標

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俺の当面の目標が決まったはいいが…。
血界と亡霊に関してはまぁ、夜の訓練にでもやれば何とかなりそう。問題は……。
裏切り者中の方、だよなぁ…」
流石に往来で堂々と『裏切り者』なんて言葉は使わない。
『よぉレィア。何事だ?』
用件もないのに出てくんな。亡霊。
コイツらは心の中で呟けばそれで済むから変人に見られなくていいな。…逆に言うなら隠し事は出来ないって事だが。
『そーんな厄介そうな言い方すんなよ。あと、俺はシャルだ。いい加減覚えろよ』
知るか。そもそも声だけだから判別つかねぇんだよ。
信用ならねぇし。
『…四六時中話してんのにか?』
鬱陶しいから尚更覚えたくないってことがあるの分かるぅ?
…このシャルって奴に聞いたんだが、基本的に亡霊達はずっと自分の記憶に溺れ続けてるらしい。
自分が過去に戦った勝負、それを延々と。
なんでも、自分の戦い方を振り返って最適解を出すために作られたシステムなんだとか。
それを更に何パターンにも細分化したり、条件を追加させられるらしいが、その大変さは筆舌に尽くし難いそうな。
本人曰く、『死ぬほど飽きる』とのこと。いや、お前死んでるだろ。
おっと、話がズレたな。
んで、俺とかが呼んだら…ってか膨大な記憶を引きずり出したりしたら出てきてくれるらしい。つまり、基本的に俺が呼ばないと出てこない訳なのだが…。
「なんでテメェは自由に出入りしてんだよ」
おっと、ついつい口から出てしまった。
まぁ、周りに誰もいないからまぁ良しとしよう。
『俺が少し特別だかんなー。つーか、あの戦闘訓練みたいなの、飽きるほどやったし。全部のパターン、完璧にクリアしたし。なんだっけ?お前達の時代ってスキル持ちの魔族がいるんだろ?そいつらに囲まれて視覚聴覚をカット、片腕一本にボロいナイフだけの状態かつ無傷で殺しつくせみたいなヤツもあったけど、割と簡単だったし』
お前、過去どんな勇者だったんだよ。
少なくとも、複数の魔族に囲まれた経験はあるらしいが、中々ないぞ。
『そいつは秘密』
だから信用ならねぇんだよ。
ここまで強い勇者は最深部に堕ちないといないレベルだろうに。
『そいつは俺が特別って事で』
なんつー野郎だ…俺の考えてる事とか全部筒抜けなのに、そっちの事は一切分かんねぇとかマジ理不尽。
『だよなぁ…まぁ、俺は得する側だから文句は一切ねぇんだけど』
ウゼェ。ちょっくら死んでこい。
『知ってた?死んでるからここにいるんだぜ?』
あークソ、殴りてぇ。
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