大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

文字の大きさ
上 下
85 / 2,022
本編

治療と手足

しおりを挟む
班長くんを四班メンバーに持たせつつ、帰路につく。
四班メンバーは後ろから黙々とついてくる。
さすがに五分じゃつかないだろうが…頑張って抱えてきてくれ!
「ナナキさん、その肘を治しますのでこちらへ」
ナナキの肘からは酷く醜く抉られているが、その傷に見合わないほど少ししか血が流れていない。
少し不思議そうな顔をしつつ、アーネがナナキを呼ぶが…無駄なんだよなぁ。
「キミ…アーネだっけ?気持ちだけ貰っとくよ。ボクに回復魔法は効かないからね」
「効かない?そんな人間がいるので?」
自分も似たようなもんだがな。まぁ、魔法が効きにくいだけで、攻撃魔法を受ければ痛いし、回復魔法もかけ続ければ一応効くのだが。
「うーんとね、ボクの体の約半分、手足に当たるところは義手義足なんだ。で、純粋な人間部分は体部分だけなんだよ」
ナナキが軽くそう言うが、アーネの顔がサッと青くなった。
「それは…すいませんでした」
「あぁ、いいよいいよ。気にしないでね?ただ、触れれば感じるし、焼ければ熱い。当然、斬れば痛いのは変わらないよ?」
「へぇ、アーネの謝るところ初めて見た気がするな」
「おだまりなさい!」
軽口いったら叱られた。
いや、雰囲気を軽くしようとだな…。
「レィア、あとから部屋に来てね?」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめながらナナキが言う。
「ん?あぁ、わかってるよ」
「…何をする気ですの」
アーネがジト目で見てくる。なんだよ。
「ナナキの手足の換装だよ」
「あんまり…他人に見せるのはちょっとね…」
「その手足って、どの辺まで義手義足なんですの?」
まぁ、そうだよな。ナナキってさっきまでタンクトップだったし、今はビキニアーマー。
露出度がかなり高いのに、切り込みというか、繋がってる部分が見えないのだ。
「んーとね、腕は肩からで、足は両方股関節のあたりまでかな」
「…失礼ですが、繋ぎ目が見えませんのですが」
「あぁ、完全に一体化してるからね。だから外すのは一苦労だよ」
「なら、回復魔法も効くのでは?」
「そりゃあ無理な話だよ。どうしたってモノはモノ。昔は数ヶ月ごとに取替えたしね」
あくまでこの腕は、脚は生きているように見えても、生きていても、成長することは無い。
その手足にはいくら回復魔法をしても回復することは無い。
ほんの少しのヒビ、キズであっても取り替える。なぜなら、モノは放っておいても治るものではないからだ。
「そうですか…いつからそんな体に?」
「そんなの、生まれた時からに決まってるじゃん」
そうナナキが言ったところで、ようやく門が見えてきた。
門を開くと、中で先生と、残りの一班のメンバー全員がこっちに気づいて走ってきた。
しおりを挟む

処理中です...