大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

運搬と野営準備

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ぶっ飛ばした魔獣はトゥーラ先生が「これなら使えそうなので先に持っていきますねー」とかなんとか言って持ってった。
よくもまぁ全長(目測とは言え)四十メートル強の魔獣を軽々と運べるものだ。
え?地上最強の種族の龍種ドラゴンなら当たり前じゃないかって?いや、運んで行った時、先生
『ほーう?鷲か。見たところ巨岩鷲ロック鳥か?しかしロック鳥は普通、茶色い体色なんだがな』
シャルも不思議そうにそう言っていたが、恐らくスキルなんだろう。さっき俺達を運んで来た時は黒い龍だったし、変身する系のスキルか?なら別に龍人種ドラゴニアンの出身って訳ではなさそうだな。
さてさて、話はそれぐらいにして、そんな訳で先生は今いない。もし手頃な魔獣が居たら捕獲するためのはいくつか貰ったが、まだ使う必要は無さそうだ。
日がゆっくりと地平線に吸い込まれる頃、ようやく先生が馬車に追いついた。ちなみに姿は三十センチぐらいのトンボだった。
「や、やっと追いつきました……レィアさん、酷いです……」
「お疲れさん。さっきのはその、悪かったとは思ってる」
まさか先生だとは思わなくて、「うわっ、デカッ、キモッ」と反射的に叩き落としそうになったのだ。
だって想像してみろよ。あたりがだんだん暗くなって来ていて、気温も下がってきてる。そろそろ野営の用意でもしようかとしたら謎の羽音。そっちを見たら通常じゃ有り得ないサイズのトンボがスレイプニルが引く馬車と並走してるんだぞ?オマケにこっちをギョロリとその巨大な複眼で見てくる。正直ゾッとした。あれだけで虫嫌いになる奴もいるだろうな。
閑話休題それはさておき
「随分と近づきましたね」
「あぁ」
それもかなり好調だ。これなら明日の昼頃着くと言っていたが、もっと早く着くだろう。
『…馬を進めるのもいいが、日が完全に沈む前に野営の準備をしろよ。俺達…と言うか俺達以外は日が落ちたら視界が悪くなるからな』
あいよ。…つっても馬車の中で寝るからあんまり手間じゃないんだがな。
後ろの戸を開き、中の二人にも聞こえるように言う。
「もう少し進んだら止まって、今日はもう休もうぜ」
「分かりましたわ」
「わかった。夜の見張りは誰からする?」
「わ、私からします…よ?」
トゥーラ先生がそう言って立候補してくれるが…道中寝てたぐらい疲れてるんだから休んどけ。
「俺が全部一人でやるさ」
「「えっ」」
なんだその顔。まるで珍生物でも見たような…あぁ。
「大丈夫大丈夫、寝ながらでも戦えるし、よっぽどヤバいのが来ない限り勝てるから」
全然信じてない顔をトゥーラ先生と《雷光》から向けられる。アーネ、言ってやってくれ。
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