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本編
敵と着地
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地面が割れた。あぁいや、違う。これも適切じゃないな。
地面が爆発した。これが一番近いだろう。
爆発地点は馬車の真下。目の粗い、乾いた砂で作られた地面のさらに下…と言うか中か。
何かよくわからないが、つまり起こったことを簡潔に述べるなら。
馬車のすぐ下の地面が爆発し、そのせいで馬車が宙を舞っているという事だ。
「なっ、何事だ!?」
「落ち着け《雷光》。とりあえず中の二人を外に出して下に下ろしてくれ」
まだ放物線の頂点には届いていないらしい。減速しつつもゆっくりと上昇している。
「お前はっ!?」
「馬と馬車をどうにかするさ。道のりは長いんでな」
丁度放物線の頂点に来た瞬間、俺は馬車を蹴って真下に跳んだ。
『血界か?』
いらん。そもそも許可しないだろ。全く、こういう時にマキナが居たら楽だったんだがな…
「ん?」
と、地面へ向けてダイブした先に、やたらと頑丈そうな顎を持った芋虫のような生物が大口を開けて待っていた。
「お前か!」
『あと十秒もしないうちに落ちてくるぞ』
ちらりと上を見れば、馬車から奔る一筋の雷光。どうにか二人は出れたようだな。
「ギャジャーーーーーーッッッ!!」
「やかましいッ!!」
俺を迎えるようにして伸びてきた芋虫の魔獣を、銀剣を取り出して空中で身体をひねり、峰の方で思いっ切り横っ面をぶん殴る。
それだけで芋虫は横に吹き飛び、地面から驚く程長い胴体がズルズルズルズルと引っ張り出される。
「うげ。気色わりぃ」
かなり引っ張り出したのにまだ尻が見えない。どんな長さだ。
『言ってる場合か。降ってくるぞ』
しまった、そうだった。
「ぬん!」
本来なら非力な俺。当然馬車を支える事も、体重数百キロのスレイプニルを受け止めることも不可能だ。
だが、髪を身体に巻き付けて強化。さらに金剣を握って肉体にブーストをかければなんとかなるだろう。
『大丈夫か?スレイプニルの走行に耐えられるよう、かなり頑丈に作ってあったようだが』
大丈夫だろ。多分。
『ミスったら?』
死ぬだろ。落下地点の真下にいるんだから。
そう返した瞬間、ついに馬車が落ちてきた。
「ぬんッ!!」
別に完全に受け止める必要は無い。スレイプニル用に作られた頑丈な馬車だ。多少荒く扱っても問題は無い。
だから。
「りゃあ!!」
落下してきた馬車を受け流すようにして横に投げる。当然馬車は横倒しになり、砂の上を滑って行くが、それを気にしている余裕は俺にはない。
『次、スレイプニル二頭』
馬車に繋がれていたはずのスレイプニルが二頭別々に落ちてくる。…え、これを捕まえんの?
なんて言うか、迫ってくる迫力と言うか圧迫感と言うか勢いと言うかなんと言うかその──ッ!!
「いや無理──!」
そう思った瞬間、スレイプニルが空中で身体を捻り、猫のように見事着地を決める。いや、足折れない?
「ブフルルルッ」
俺の心配は全くの杞憂のようで、「何かあった?」と言わんばかりの余裕っぷり。助かりはしたが何か気に食わない。
「…まぁいいか」
地面が爆発した。これが一番近いだろう。
爆発地点は馬車の真下。目の粗い、乾いた砂で作られた地面のさらに下…と言うか中か。
何かよくわからないが、つまり起こったことを簡潔に述べるなら。
馬車のすぐ下の地面が爆発し、そのせいで馬車が宙を舞っているという事だ。
「なっ、何事だ!?」
「落ち着け《雷光》。とりあえず中の二人を外に出して下に下ろしてくれ」
まだ放物線の頂点には届いていないらしい。減速しつつもゆっくりと上昇している。
「お前はっ!?」
「馬と馬車をどうにかするさ。道のりは長いんでな」
丁度放物線の頂点に来た瞬間、俺は馬車を蹴って真下に跳んだ。
『血界か?』
いらん。そもそも許可しないだろ。全く、こういう時にマキナが居たら楽だったんだがな…
「ん?」
と、地面へ向けてダイブした先に、やたらと頑丈そうな顎を持った芋虫のような生物が大口を開けて待っていた。
「お前か!」
『あと十秒もしないうちに落ちてくるぞ』
ちらりと上を見れば、馬車から奔る一筋の雷光。どうにか二人は出れたようだな。
「ギャジャーーーーーーッッッ!!」
「やかましいッ!!」
俺を迎えるようにして伸びてきた芋虫の魔獣を、銀剣を取り出して空中で身体をひねり、峰の方で思いっ切り横っ面をぶん殴る。
それだけで芋虫は横に吹き飛び、地面から驚く程長い胴体がズルズルズルズルと引っ張り出される。
「うげ。気色わりぃ」
かなり引っ張り出したのにまだ尻が見えない。どんな長さだ。
『言ってる場合か。降ってくるぞ』
しまった、そうだった。
「ぬん!」
本来なら非力な俺。当然馬車を支える事も、体重数百キロのスレイプニルを受け止めることも不可能だ。
だが、髪を身体に巻き付けて強化。さらに金剣を握って肉体にブーストをかければなんとかなるだろう。
『大丈夫か?スレイプニルの走行に耐えられるよう、かなり頑丈に作ってあったようだが』
大丈夫だろ。多分。
『ミスったら?』
死ぬだろ。落下地点の真下にいるんだから。
そう返した瞬間、ついに馬車が落ちてきた。
「ぬんッ!!」
別に完全に受け止める必要は無い。スレイプニル用に作られた頑丈な馬車だ。多少荒く扱っても問題は無い。
だから。
「りゃあ!!」
落下してきた馬車を受け流すようにして横に投げる。当然馬車は横倒しになり、砂の上を滑って行くが、それを気にしている余裕は俺にはない。
『次、スレイプニル二頭』
馬車に繋がれていたはずのスレイプニルが二頭別々に落ちてくる。…え、これを捕まえんの?
なんて言うか、迫ってくる迫力と言うか圧迫感と言うか勢いと言うかなんと言うかその──ッ!!
「いや無理──!」
そう思った瞬間、スレイプニルが空中で身体を捻り、猫のように見事着地を決める。いや、足折れない?
「ブフルルルッ」
俺の心配は全くの杞憂のようで、「何かあった?」と言わんばかりの余裕っぷり。助かりはしたが何か気に食わない。
「…まぁいいか」
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