大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

出撃と見学者

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日も沈み始めて、もうすぐ辺りは暗くなるだろう。そんな時に来るか…。まさか、狙ってないよね?
「ナナキ、どの辺りで人形が反応した?」
「えっとねぇ……東の方だね」
そんなやり取りをし、すぐにナナキは家に飛び込んでいった。多分、武器と防具を取りに行ったのだろう。
「どういうことですの?」
うーん、何から説明したものか。
「ナナキのスキルは、ほかの人形とかと連動してるんだ。だから、警備してる人形が壊れたり、危機が迫ったりすると、村の周りの伝達人形っていう人形が鳴るの。で、今ナナキに聞いたら、東の方から来てるから、今から迎撃してくるよ」
「シィルさん!待ってください!皆さんで行きましょう!」
先生がそう言ってくる。気持ちはありがたいけど…。
「いらないね。むしろ邪魔」
フル装備のナナキが家のドアを蹴るようにして出てきた。
白と黒のビキニアーマーに、金色の大剣。ヤル気満々だな。
「どうしてです!」
「アンタら、この森の事、何も知らないでしょ?昼でもへばってたアンタらが?夜になると、それの比じゃないよ?しかも、この辺りの魔獣はどれも産まれるタイプだ。そんなアンタらが万が一にでも生き残れるとでも?」
…かなり辛辣だが、思うことは同じだ。
「という訳で、みんなはここにいてくれよ。すぐ終わると思うからさ」
さっきとうって変わってシンと静まり返った広場。さて、そろそろ行くか。
「いえ、私は行きます」
…アーネがそんなことを言い始めた。
「いやな?鍛えた大人でもへばるような道を魔法使いのお前が」
「いいんじゃないかな」
思ってもなかった所から声が飛んできた。
「ナナキ、急にどうしたんだ?」
「時間がない。説得してる暇もないし、一人ぐらいなら担いでもなんとかなるでしょ。一応、行く時は人形に運ばせるけど、帰りはいないと思っててよ」
あと、死んでも文句は言わないでね?と締めくくり、ナナキは門の方へと歩いていった。
「で、どうするんだ?」
「行きますわ」
即答。一瞬の迷いもなく、すぐに。
「…わかった、早く行くぞ。時間がない」
ナナキの反応からして、結構やばいのがなんとなく分かる。
自分も急いで防具を上から着込み、いつものコートを上から羽織る。このコートは外せない。
門の前へ行くと、ナナキと人形が待ってた。
「ほら、早く行くよ、もたもたしないで!」
「言われずとも!」
アーネ、セリフはかっこいいけど、お前がしてるのはナナキの人形におんぶされてるだけだからな?行動、かなりかっこ悪いからな?
「レィア、武器は?」
「大丈夫。最近、便利なアイテムを手に入れてね」
そういいながら、首元の自分が愛用している剣の形をしたアクセを見せる。
「東だよな?」
「の、谷川の近くだね」
そう言うと、自分達は全力で走り始めた。
…後ろからアーネの叫び声が聞こえてきた。
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