大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば

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本編

夕飯と異変

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「あ!そうだ!なんか青い人がご飯だって呼んでたよー。広場の方だね」
ナナキがそう伝えてくれたけど…青い人って誰だ…?ちなみに四班の剣を使ってたお団子ヘアーの子も青い髪。
まぁ、多分先生だと思うけど。
「そうか、ありがとうなー」
なぜかさっきからずっと固まってるアーネを髪で引っ掴みながら物置を出、そのまま広場へ。
四班メンバーも疲労困憊ながらみんな揃ってるな。
「あ、来た来たっ…と、ナナキさんは?」
ラウクムくんが自分に尋ねる。
「さぁ?すぐ来るだろ?」
というか。
「あいつも一緒に夕飯食べるの?」
初耳なんだが。
「みたいだよ?なんだかソワソワしてたけど」
とかなんとか言ってたら来たな。
「…なぁ、お前着替えねぇの?」
「え?なんで着替えなきゃいけないの?」
なんで未だにタンクトップとホットパンツなんだよ。
自分がここを出る前は普通に胸元が結構大きく開いたティーシャツだとか、下着がギリギリ見えるようなミニスカだとか色々着て…。
うん、露出度的に大差なかったな。
コイツ、防具に至っては俗に言うビキニアーマーだし。露出増やしてどうするんだよ。
「で、何食べるのー?」
楽しみで仕方ないと言わんばかりの表情のナナキ。
あぁ、そうか、コイツは大勢で食べるのが初めてか。
「今日はですねー、こちらの豚肉を…」
先生が一匹分残してあった例の豚肉を取り出す。
ちなみに鉄板を囲んでいるので、大体何をするかは想像がつく。
…四班、これも運んできたのか…頑張ったな…。
「こうします!」
つまり、オーソドックスに鉄板焼きですね。
うん、豚肉はよく焼かないと怖いからね。
ただの鉄板焼きなのに、それでもナナキは目を輝かせてる。
村の中じゃあ肉は滅多に食べられないし、食べたとしてもほとんど干し肉だしな…。
ちなみに村の中では主食とかはイモ。
どっか適当に地面を掘ると、拳大ぐらいの大きさのイモが結構簡単にみつかる。まぁ、味については言わないでおく。
「ねぇ!ねぇ!レィア!食べていい!?これ、食べていいの!?」
はしゃぎすぎだろ、ナナキ。みんなのなんかホッコリとした視線に気付いてるかい?
…気づいてないんだろうなぁ…。
「結構焼けてきたから、大丈夫だろ」
やったー!と叫びながら手づかみでいくナナキ。
熱い熱いとか言いながらも止まる気配は全くない。
「あれ?みんな食べないの?」
「あぁ、今から食べるさ」
ナナキに言われてから、やっとみんなが動き始めた。
四班のメンバーは、激しい運動をしたせいか、あまり食欲がわかないのか?ちょっとしか食べてない感じだな。
一方、一班はいつも通り…じゃなかった。
アーネがみんなと同じ速度、量なのだ。
「おいアーネ、お前、どうした?」
「何がですの?」
「いつもの半分すら食べてないじゃんか」
「…気にしないでくださいまし」
んー?なんか変だな。
そう思ってた時に、カタカタカラカラ!と乾いた音が辺りに響いた。
「何事ですか!」
「そりゃ先生、そんなの決まってるじゃん」
魔獣お客さん接近のお知らせである。
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