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「おい、お前が子猫ちゃんとか言うからこうなるんだよ!何でこんな女が選ばれたんだ?」

「まあまあ、栗栖くん。お子様なのはホンマなんやから仕方ないんちゃいます?それより、神さんからのお告げは板狩様にこの店を見てもらうことですから、まずは見てもらうところから始めな、ね?」

「神様の、お告げ・・・ですか?私がこのお店を見ることがですか?」

「そうなんです。うちのお店、何か感じるところはありませんか?」

「うう・・・ん。ぱっと見た感じは何も。とても素敵なお店です。ただ・・・」

「お!何かありますか?」

「はい、先ほどおっしゃったように交渉の場として利用されるという割に、オープンな空間が気になります。
 ほかにも、メニューが手書きなのは素敵ですけど、ドリンクや食事がカテゴライズされてなくてバラバラで、とても読み難いです。しかもカウンターにしかないのでテーブルにも欲しいですよね。それから・・・」

「ちょ、ちょっと待ってください。まだ出るんですか?」

「はい。こんなに素敵なお店なのに宣伝されていないこととか。儲けを出すことはあまり考えられてないんですか?」

「儲けですか。うちの店は利益を出すために出してるわけやないんですけどね。儲けは飲食より交渉の引き合わせのほうで出してますから。ただ、板狩様のおっしゃる通り、メニューに関しては何とかしたほうがええかもしれないですね。良く分からないからお任せってよう言われるんですけど、もしかしたらメニュー分かり辛かったかもしれないと、今気が付きました。」

「じゃあ、メニューは私が直しましょうか!?」

「へ!?」

「こういう情報の整理は得意なんですよ、私。広告デザイナーなので。あ、今は無職だから元ですけど。」

「それは有難い!お願いできますか?」

「はい!任せてください!あ、それで一つお願いが。」

「何でしょう?」

「メニューを写真に撮影させてください。それから、1日お時間いただけますか?その、今日はもう遅いので。」

「ええっ!? 1日!? 1日で出来るんですか?」

「ええ、まあ。このくらいの情報量なら、まとめるのとデザインで5~6時間もあれば。一応製本もしたいし、ご提案も作りたいので1日いただければ嬉しいです。」

「有難いです!ほな、よろしくお願いします。勿論、写真撮影OKです。他に居る物はありますか?」


狐崎こざきと打ち合わせをしつつ、終電の時間に間に合うように私は店を出た。
帰り道を迷わないようにと、子猫ちゃん改め子狼ちゃんが一緒に駅まで送ってくれた。
何だかんだ言って、栗栖は面倒見の良いタイプかもしれない。
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