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シリウスの目的
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冒険者のシリウスはギルドで寄せ集めのパーティに加わり、この森の奥に出現した魔物『オーガゴート』の討伐依頼を受けた。
オーガゴートは巨大な山羊の様な姿形をしているが非常に凶暴で人の姿を見かけると襲いかかってくるらしい。ここではない別の山岳地帯で討伐に向かった多くの冒険者を返り討ちにしたがオーガゴートはこの森に移動した為、改めて冒険者を募って討伐をすることになった。
シリウスもその内の一人で、他の冒険者と共にオーガゴートを討伐をしようとしていたが、冒険者に対して更に凶悪になったオーガゴートに手に負えない状況に追い込まれ、シリウスを囮にして他の冒険者は逃げてしまったという。
残されたシリウスは命からがら逃げ出して、なんとかこのエルフの集落の近くまでたどり着き、力尽きたそうだ。
「そしてアステルに助けられて今に至るわけだ」
「そんなことが……」
シリウスの言葉にアステルは悲しそうな表情を浮かべたがそれでもシリウスは言葉を続ける。
「だからオーガゴートを倒すまではあの森には近づくな」
下級の魔物ならアステルの風魔法で追い払うことはできるが冒険者が苦戦するような強い魔物相手となると逃げるのも難しいだろう。
薬草採取ができなくなってしまうのは困るがアステルはシリウスの話を聞く限り彼の言うとおりにした方が良いと判断した。
「それなら貴方を見つけた場所まで案内させて、その方が確実で早く回収出来ると思うの」
シリウスは少し考えると「わかった」と言ってアステルを一緒に連れて行くことにした。
◆
昼間だと他のエルフに見つかってしまう可能性があるので夜遅くに行くことになり、二人は顔を見られないよう、フードの着いたローブを身にまとい、周りを警戒しながら静かに家を出ると暗い森の中を進んで行った。
しばらく歩くとシリウスを見つけたあの場所にたどり着き、家から持ってきていたランタンで辺りを照らし、シリウスの槍を探した。
そして長い雑草が多い茂る中から銀色に輝く乾いた血の付いた槍を見つけるとシリウスはそれを拾い、懐かしそうに眺め、アステルはその様子を黙って見守っていた。槍の状態を確認し、問題無いことがわかると持ち主は安堵の息をつく。
帰ろうとした所で森に放していたフクロウのヴァンがアステルの肩に乗って彼女の金色の髪を一房啄んで引っ張り始めた。
「ヴァン?どうしたの?」
すると遠くの方で獣の鳴き声が聞こえ、アステルがシリウスの顔を見ると彼も同じことを考えたのか無言で頷き、二人と一匹は急いでその場から離れると茂みの中に隠れて息を殺す。
数分後、草木を踏みしめる音が聞こえると暗闇の中から大きな影が姿を現した。それが月明かりに照らされて全身が露になるとアステルは驚愕する。
現れたのが体長三メートルはありそうな巨大な山羊の姿をした魔物のオーガゴートだったからだ。普通の山羊よりも凶悪な角を持ち、真っ赤に充血した瞳をしている。
アステルが恐怖のあまり声が出ず、シリウスにしがみつくと彼はアステルの背中に手を添える。
川の水を飲みに来たのだろうか、オーガゴートはそこに口を近づけて飲み始めた。二人が潜んでいる場所は川から離れた場所なので気づかれる心配は無いが、このままでは見つかるのも時間の問題だ。
アステル達はこの場所から立ち去ろうと腰を上げると音を立てないようにしてその場を後にした。
◆
無事に家に戻るとアステルはミルクを温め、そこに蜂蜜をひとさじ入れてシリウスに差し出す。
彼は礼を言ってそれを受け取るとゆっくりと口をつけた。そしてアステルは椅子に座っているシリウスの向かいの席に着く。
「あんなに大きな魔物がこの近くにいるなんて……」
アステルは先ほど見たオーガゴートの姿を思い出して身震いをした。
「確かにオーガゴートだが俺が戦った個体じゃない……奴はもっと大きかったはずだ」
「えっ!じゃあ二体もいるの……明日、村長に報告しないと」
シリウスの言葉にアステルは驚く。今までこんなにも大きい魔物を見たことが無いのに更にもう一体、しかももっと大きい個体いるかもしれないというのだ。
この集落の周りには魔物除けの強力な結界が張られている為、外から魔物が侵入することはありえないがもしもの場合に備えて警戒をする必要がある。
それにもし、知らずに森に入ってしまったエルフが襲われでもしたら大変だ。
「その必要はない」
シリウスの言葉にアステルは首を傾げる。
「どうして?」
「討伐依頼を出したのはここの村長だからだ」
「あ……そうなの、じゃあ私が知らないだけなのね……」
アステルは悲しそうに苦笑をした。彼女はこの集落での立場は低く、他のエルフ達からは距離を置かれている為、集落で起こった出来事についていつも疎かったからだ。
人間の女と駆け落ちをした父親を持つアステルは『エルフの恥さらしの娘』と言われていた。その為、アステルは仲間に馬鹿にされたり、無視をされることがたまにあった。
だからだろうか、アステルがダークエルフのシリウスを差別をせずに助けてあげたいと思ったのは。彼に自分を重ねていたのかもしれない。
しかし、アステルに強い迫害や追放が無かったのは貴重な純血なエルフだからだ。異種族の血が混ざらない純血なエルフは年々数が減ってきており、彼等にとっては失いたくない血なのだ。
それにアステルの作る薬は評判が良く、集落の外から人間が買いにくることもあるが、そのことはアステル本人には伝えられていない。
彼女の作る薬の価値が高いと知ればこの集落を出て行って外の世界で暮らし始めるかもしれないという不安があるからだろう。
「オーガゴートを討伐するまでは森に入らない方がいい。奴等は凶暴で人の姿を見かけると襲ってくる。それに他の魔物もオーガゴートが来たことによって気が立って活発になっているかもしれない」
「わかったわ」
アステルは素直にうなずくと自分の分のミルクを一口飲む。
「そういえばシリウスはこれからどうするの?」
シリウスはコップに入っていたミルクを全て飲むとテーブルに置く。そして真剣な表情でアステルを見つめると意を決して言った。
「オーガゴートを倒せる冒険者が来ないなら俺が倒す……だからもうしばらく置いてほしい」
シリウスは頭を下げる。突然の行動にアステルは驚いて目を丸くさせた。彼が言うにはオーガゴートを退治できるほどの実力を持った冒険者がいないなら自分が行くしかないと考えているようだ。
「それはいいけど……無理しないでね?」
アステルは心配そうにシリウスを見る。本来ならば危険を伴うので反対すべきところだが、彼女に口を挟む権利は無く、シリウスの強い意志を感じ取ったのか止めようとはしなかった。
「助かる」
シリウスが感謝の言葉を呟くとアステルは「ふふっ」と微笑み、彼は不思議そうな顔をする。
「急にたくさん話してくれたからつい……」
ずっと無口で自分のことは名前しか教えてくれなかったシリウスがここまで自分から話すとは思わなかった。アステルは嬉しくて思わず笑みを浮かべた。そんな彼女を見てシリウスは照れくさくなったのかそっぽを向いてしまう。
「こんなに長く話すのは久々だ……」
照れたようにぼそりと言うと、アステルは笑顔のまま彼の手を握った。
「また色々とお話ししてね?」
アステルが優しく語りかけるとシリウスは何も答えなかったが嫌な顔はせずに静かにアステルの手を握り返した。
◆
アステルとシリウス、それからヴァンとの二人と一匹の生活が始まった。
まずシリウスは一緒のテーブルでアステルの作った料理を食べるようになった。最初は美味しいとも不味いとも言わず、黙って食べていたが少しずつ感想を言うようになってくれた。
誰かと一緒に会話をしながら食べる食事は楽しいものだとアステルとシリウスは何年かぶりに感じた。
森で薬の素材を取りに行けなくなったアステルの為に夜中になるとシリウスがヴァンを連れて森へ行くようになった。
彼はいつもアステルが一人で行っていた場所よりも奥まで行くので、珍しい植物や薬草を見つけることができた。
それを持ち帰った時のアステルの喜びようは凄まじいもので、興奮した様子でシリウスに抱きついたりもした。
森の奥は魔物が多く生息しており危険なのだが、それでも彼は進んで森に入り、薬草を集めた。
アステルは彼を止めようとしたが、その度に魔物を倒すことで腕を上げたい、できるだけ強い魔物と戦いたいなど様々な理由をつけては森の中に籠ることもあった。
彼にとって戦うことは生きる上で必要なことなのだろう。
アステルの方から身の上話をすればシリウスも少しずつ自分のことを話してくれるようになった。
好きな食べ物は肉、嫌いな食べ物はハーブで、チーズの中にハーブを練り込まないで欲しいと頼まれてしまった。年齢は20歳のアステルよりも4つ年下の16歳。
出生や冒険者になる前の時のことは教えてくれなかったが些細なことでもアステルに教えてくれたのはそれだけ信頼してくれている証拠だ。
しかし、アステルにとって一番嬉しいのは彼が笑うようになってくれたことだ。出会った頃は常に険しい表情をしていたが少しずつ穏やかに笑うようになった。それにアステルに対して気遣いができるようになり、彼の方から話しかけてくれることもたくさん増えたのだ。
オーガゴートは巨大な山羊の様な姿形をしているが非常に凶暴で人の姿を見かけると襲いかかってくるらしい。ここではない別の山岳地帯で討伐に向かった多くの冒険者を返り討ちにしたがオーガゴートはこの森に移動した為、改めて冒険者を募って討伐をすることになった。
シリウスもその内の一人で、他の冒険者と共にオーガゴートを討伐をしようとしていたが、冒険者に対して更に凶悪になったオーガゴートに手に負えない状況に追い込まれ、シリウスを囮にして他の冒険者は逃げてしまったという。
残されたシリウスは命からがら逃げ出して、なんとかこのエルフの集落の近くまでたどり着き、力尽きたそうだ。
「そしてアステルに助けられて今に至るわけだ」
「そんなことが……」
シリウスの言葉にアステルは悲しそうな表情を浮かべたがそれでもシリウスは言葉を続ける。
「だからオーガゴートを倒すまではあの森には近づくな」
下級の魔物ならアステルの風魔法で追い払うことはできるが冒険者が苦戦するような強い魔物相手となると逃げるのも難しいだろう。
薬草採取ができなくなってしまうのは困るがアステルはシリウスの話を聞く限り彼の言うとおりにした方が良いと判断した。
「それなら貴方を見つけた場所まで案内させて、その方が確実で早く回収出来ると思うの」
シリウスは少し考えると「わかった」と言ってアステルを一緒に連れて行くことにした。
◆
昼間だと他のエルフに見つかってしまう可能性があるので夜遅くに行くことになり、二人は顔を見られないよう、フードの着いたローブを身にまとい、周りを警戒しながら静かに家を出ると暗い森の中を進んで行った。
しばらく歩くとシリウスを見つけたあの場所にたどり着き、家から持ってきていたランタンで辺りを照らし、シリウスの槍を探した。
そして長い雑草が多い茂る中から銀色に輝く乾いた血の付いた槍を見つけるとシリウスはそれを拾い、懐かしそうに眺め、アステルはその様子を黙って見守っていた。槍の状態を確認し、問題無いことがわかると持ち主は安堵の息をつく。
帰ろうとした所で森に放していたフクロウのヴァンがアステルの肩に乗って彼女の金色の髪を一房啄んで引っ張り始めた。
「ヴァン?どうしたの?」
すると遠くの方で獣の鳴き声が聞こえ、アステルがシリウスの顔を見ると彼も同じことを考えたのか無言で頷き、二人と一匹は急いでその場から離れると茂みの中に隠れて息を殺す。
数分後、草木を踏みしめる音が聞こえると暗闇の中から大きな影が姿を現した。それが月明かりに照らされて全身が露になるとアステルは驚愕する。
現れたのが体長三メートルはありそうな巨大な山羊の姿をした魔物のオーガゴートだったからだ。普通の山羊よりも凶悪な角を持ち、真っ赤に充血した瞳をしている。
アステルが恐怖のあまり声が出ず、シリウスにしがみつくと彼はアステルの背中に手を添える。
川の水を飲みに来たのだろうか、オーガゴートはそこに口を近づけて飲み始めた。二人が潜んでいる場所は川から離れた場所なので気づかれる心配は無いが、このままでは見つかるのも時間の問題だ。
アステル達はこの場所から立ち去ろうと腰を上げると音を立てないようにしてその場を後にした。
◆
無事に家に戻るとアステルはミルクを温め、そこに蜂蜜をひとさじ入れてシリウスに差し出す。
彼は礼を言ってそれを受け取るとゆっくりと口をつけた。そしてアステルは椅子に座っているシリウスの向かいの席に着く。
「あんなに大きな魔物がこの近くにいるなんて……」
アステルは先ほど見たオーガゴートの姿を思い出して身震いをした。
「確かにオーガゴートだが俺が戦った個体じゃない……奴はもっと大きかったはずだ」
「えっ!じゃあ二体もいるの……明日、村長に報告しないと」
シリウスの言葉にアステルは驚く。今までこんなにも大きい魔物を見たことが無いのに更にもう一体、しかももっと大きい個体いるかもしれないというのだ。
この集落の周りには魔物除けの強力な結界が張られている為、外から魔物が侵入することはありえないがもしもの場合に備えて警戒をする必要がある。
それにもし、知らずに森に入ってしまったエルフが襲われでもしたら大変だ。
「その必要はない」
シリウスの言葉にアステルは首を傾げる。
「どうして?」
「討伐依頼を出したのはここの村長だからだ」
「あ……そうなの、じゃあ私が知らないだけなのね……」
アステルは悲しそうに苦笑をした。彼女はこの集落での立場は低く、他のエルフ達からは距離を置かれている為、集落で起こった出来事についていつも疎かったからだ。
人間の女と駆け落ちをした父親を持つアステルは『エルフの恥さらしの娘』と言われていた。その為、アステルは仲間に馬鹿にされたり、無視をされることがたまにあった。
だからだろうか、アステルがダークエルフのシリウスを差別をせずに助けてあげたいと思ったのは。彼に自分を重ねていたのかもしれない。
しかし、アステルに強い迫害や追放が無かったのは貴重な純血なエルフだからだ。異種族の血が混ざらない純血なエルフは年々数が減ってきており、彼等にとっては失いたくない血なのだ。
それにアステルの作る薬は評判が良く、集落の外から人間が買いにくることもあるが、そのことはアステル本人には伝えられていない。
彼女の作る薬の価値が高いと知ればこの集落を出て行って外の世界で暮らし始めるかもしれないという不安があるからだろう。
「オーガゴートを討伐するまでは森に入らない方がいい。奴等は凶暴で人の姿を見かけると襲ってくる。それに他の魔物もオーガゴートが来たことによって気が立って活発になっているかもしれない」
「わかったわ」
アステルは素直にうなずくと自分の分のミルクを一口飲む。
「そういえばシリウスはこれからどうするの?」
シリウスはコップに入っていたミルクを全て飲むとテーブルに置く。そして真剣な表情でアステルを見つめると意を決して言った。
「オーガゴートを倒せる冒険者が来ないなら俺が倒す……だからもうしばらく置いてほしい」
シリウスは頭を下げる。突然の行動にアステルは驚いて目を丸くさせた。彼が言うにはオーガゴートを退治できるほどの実力を持った冒険者がいないなら自分が行くしかないと考えているようだ。
「それはいいけど……無理しないでね?」
アステルは心配そうにシリウスを見る。本来ならば危険を伴うので反対すべきところだが、彼女に口を挟む権利は無く、シリウスの強い意志を感じ取ったのか止めようとはしなかった。
「助かる」
シリウスが感謝の言葉を呟くとアステルは「ふふっ」と微笑み、彼は不思議そうな顔をする。
「急にたくさん話してくれたからつい……」
ずっと無口で自分のことは名前しか教えてくれなかったシリウスがここまで自分から話すとは思わなかった。アステルは嬉しくて思わず笑みを浮かべた。そんな彼女を見てシリウスは照れくさくなったのかそっぽを向いてしまう。
「こんなに長く話すのは久々だ……」
照れたようにぼそりと言うと、アステルは笑顔のまま彼の手を握った。
「また色々とお話ししてね?」
アステルが優しく語りかけるとシリウスは何も答えなかったが嫌な顔はせずに静かにアステルの手を握り返した。
◆
アステルとシリウス、それからヴァンとの二人と一匹の生活が始まった。
まずシリウスは一緒のテーブルでアステルの作った料理を食べるようになった。最初は美味しいとも不味いとも言わず、黙って食べていたが少しずつ感想を言うようになってくれた。
誰かと一緒に会話をしながら食べる食事は楽しいものだとアステルとシリウスは何年かぶりに感じた。
森で薬の素材を取りに行けなくなったアステルの為に夜中になるとシリウスがヴァンを連れて森へ行くようになった。
彼はいつもアステルが一人で行っていた場所よりも奥まで行くので、珍しい植物や薬草を見つけることができた。
それを持ち帰った時のアステルの喜びようは凄まじいもので、興奮した様子でシリウスに抱きついたりもした。
森の奥は魔物が多く生息しており危険なのだが、それでも彼は進んで森に入り、薬草を集めた。
アステルは彼を止めようとしたが、その度に魔物を倒すことで腕を上げたい、できるだけ強い魔物と戦いたいなど様々な理由をつけては森の中に籠ることもあった。
彼にとって戦うことは生きる上で必要なことなのだろう。
アステルの方から身の上話をすればシリウスも少しずつ自分のことを話してくれるようになった。
好きな食べ物は肉、嫌いな食べ物はハーブで、チーズの中にハーブを練り込まないで欲しいと頼まれてしまった。年齢は20歳のアステルよりも4つ年下の16歳。
出生や冒険者になる前の時のことは教えてくれなかったが些細なことでもアステルに教えてくれたのはそれだけ信頼してくれている証拠だ。
しかし、アステルにとって一番嬉しいのは彼が笑うようになってくれたことだ。出会った頃は常に険しい表情をしていたが少しずつ穏やかに笑うようになった。それにアステルに対して気遣いができるようになり、彼の方から話しかけてくれることもたくさん増えたのだ。
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