White cat in Wonderland~その白い猫はイケメンに溺愛される~

ハルカ

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Wedding~消えた花嫁~

第24話

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 花嫁の控室では、最初に見つかってしまったセバスチャンとイーサンのことをアリスが揶揄っていた。
「ほんとふたりともダメダメだよねー。こんな早くに見つかるなんて」
「やかましい。こいつが森なんかに隠れるのが悪いんだ」
「はぁ? セバスチャンが声を出したから見つかったんだろ」
「へぇ~?」
「アリス、元に戻れたんだから責めないであげて」
 お互いに押し付け合うセバスチャンとイーサンをにやにやと眺めるアリスを、ジェイクが必死に宥める。
 そんな4人をグスターヴァルは無表情に、イアンは状況が分からずおろおろとしながら見つめていた。

 すると突然、ノックがしたのと同時に部屋のドアが開いた。
 入ってきたのは人の姿に戻ったルイであった。
 エリスも心配だからか、ルイと一緒に部屋へと入ってきた。
「良かった……皆戻っていたんだな」
 4人の顔を見るなりルイは申し訳なさそうな顔をする。
 自分のせいで他の人まで巻き込んでしまったことを深く反省していた。
「ルイっ、そんな顔しないでよ」
 初めて見るルイの表情にアリスは困った顔をしてルイに駆け寄った。
「そうだな。少しは驚いたがすぐに戻れたことだし、気にすることはない」
 ソファーに座るセバスチャンもルイに答える。
「ありがとう。……キティは無事だろうか……」
 ふたりの言葉を聞いてルイは深く頭を下げる。
 しかしキティが無事なことを知らない為、再び顔が曇る。
 そんなルイを見て、アリスとジェイクは顔を見合せた。
「あっ、あの……ルイ様っ、こちらにお掛けくださいっ」
 今回のことに関わっていなかったイアンは、一体何があったのかとひとり混乱していたのだが、ルイの姿を見て慌てて立ち上がった。
「いえ、大丈夫ですよ」
 ちらりと振り返ったルイはにこりと笑ってイアンに答える。
 普段のルイであればイアンの存在を不思議に思う所だが、余程動揺しているのか気にする様子はなかった。
 とそこへ、再びコンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。

「はぁーいっ」
 元気な声を出しながらアリスが部屋のドアへと向かう。
 ぱっと開けるとそこにいたのは、こちらも見つかって人の姿に戻った優希と海斗であった。
 そして海斗の肩の上には妖精が1匹座っている。
「あーあ、ユウキ達も見つかっちゃったんだねっ……て、カイト、なんで肩に妖精が乗ってるの?」
 残念そうな顔で声を上げたアリスだったが、海斗の肩に乗っている妖精に気が付き首を傾げる。
「…………」
 なぜか優希も海斗も無言であった。しかも優希はむすっと口を尖らせている。
「なぁに? どうかしたの?」
 反対側に首を傾げると、にやりと笑ってアリスが問い掛ける。
 なんだか面白そうなことになっていると考えたのだ。
「ちょっとっ、部屋に戻ったんだからもう下りてっ!」
 突然優希が海斗の肩に座る妖精に向かって声を荒らげた。
 腰に手を当てながら頬を膨らませる。
「やだっ!」
 先程諦めたかと思われた妖精だったが、人の姿に変わった海斗を見て更に気に入ってしまったらしい。
 海斗の肩から離れようとしない。
 優希が睨み付けてもぷいっと横を向いてしまった。
「もうっ!」
 自分の恋人だからダメだと大声で言ってやりたい気持ちだったが、それは恥ずかしくて言えない。
 しかし、海斗から離れない妖精のことが気に入らなくて優希は地団駄を踏む。
「どうしたユウキ」
 部屋の中まで聞こえてきた優希の声に、心配になったグスターヴァルがドアの方へと歩いて来た。
「グスターヴァルっ」
 初めて人と人の姿で会うことになり、優希は目の前のグスターヴァルの姿にドキドキとしてしまった。
 見上げる程の背の高さにいつものように低く良い声。そして端正な顔立ち。
 思わず見惚れてしまっていた。
 あれだけ機嫌が悪かったはずなのに、頬を赤く染めながらぼんやりとグスターヴァルを見上げる。
「優希っ」
 その様子に気が付いた海斗が怒ったように優希を呼んだ。
「海斗なんて知らないっ。いいもん、俺にはグスターヴァルがいるから」
 じろりと海斗を睨み付けると、優希はグスターヴァルの腕に自分の腕を絡ませ、そのまま部屋の中へと歩いて行く。
 妖精を拒否しない海斗も悪いと思っているのだ。
「ユウキ?」
 どうしたんだと不思議そうに首を傾げながら、グスターヴァルもそのまま連れられるように歩く。
「優希っ!」
 慌てて優希の腕を掴むと、海斗が焦った顔で優希を自分の方へと向かせる。
「悪い、俺の肩から下りてくれ。さっきも言ったが俺は優希のものなんだ」
 そして自分の肩に座る妖精に向かって必死に訴えた。
「いやーっ」
 しかし妖精はぷいっと横を向いてしまう。
 下りるつもりは全くないようだ。
「……なるほど。カイトはこの子に気に入られたのか。……フェイ」
 漸く事態が飲み込めたグスターヴァルはじっと海斗の肩に座っている妖精を見つめると、部屋の中でふわふわと飛んでいるもう1匹の妖精を呼んだ。
「なぁに?」
 蝶のようにふわふわと飛びながら妖精がグスターヴァルの所へと来た。
「この子をなんとかしてくれないか?」
 そのままグスターヴァルの肩に止まった妖精に向かって話し掛ける。
「どうして?」
 きょとんとした顔で妖精は首を傾げる。
「このふたりは恋人同士なんだ。このままでは喧嘩になってしまうかもしれない。ユウキは私の主なんだ。頼む」
 そう言ってグスターヴァルは妖精に向かって頭を下げた。
「グスターヴァルっ!」
 そんな姿に驚いた優希が声を上げた。
「……聞いた?」
 頭を下げられ、妖精はじっとグスターヴァルを見つめた後、海斗の肩に座るもう1匹の妖精に声を掛けた。
「だって……」
 しかし、海斗の肩に座る女の子の姿をした妖精はむすっとした顔で退こうとしない。
「ダメなんだって。それに僕らじゃ無理なんだよ?」
 ふわりと飛ぶと、妖精は女の子の姿の妖精の前に行き、腰に手を当てながらじっと見つめる。
「……分かった」
 漸く頷いた女の子の姿の妖精はふわりと飛んで海斗の肩から離れた。
「ありがとう」
 顔を上げたグスターヴァルが女の子の姿の妖精をじっと見つめる。
「別にっ」
 照れ隠しなのか、妖精はぷいっと横を向きながらも頬を赤らめていた。
「ユウキ、カイトと仲直りできるな?」
 ぎゅっと腕を掴んだままの優希に向かってグスターヴァルが問い掛ける。
「うん……」
 頷くと、優希はそっとグスターヴァルの腕を離した。
 そして隣に立つ海斗をじっと見上げる。
「ごめん、優希」
 先に謝ると、海斗は優希をぎゅっと抱き締める。
「も、もう怒ってないってばっ。皆見てるからっ!」
 抱き締められて顔を真っ赤にすると、優希は海斗から慌てて離れる。
「俺が好きなのは優希だけだから心配するな」
 くすっと笑うと、海斗はそっと優希の頭を撫でる。
「ちょっ……」
 再び優希が真っ赤な顔で海斗の手を叩いていた。

 あと5分。残るはライアンただひとり。
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