【リメイク版連載開始しました】悪役聖女の教育係に転生しました。このままだと十年後に死ぬようです……

ヒツキノドカ

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 私が転生してから一週間が経った。

 最近アイリスの様子がおかしい。元気がないのだ。少し前なんて、頬を赤くらしていたこともあった。私の“治癒”で時間をかけて治した後、理由を聞いたんだけど、「なんでもないです」の一点張り。

 聖女教育は真面目に受けてくれるけど……心配だ。

「うーん……」

「浮かない顔をしているね、ミリーリア」

「あ、す、すみませんお父様。食事中に」

 現在、屋敷での夕食中。とても美味しい食事だけど、アイリスのことが気がかりであんまり集中できない。

「何か悩み事かい? よかったら話してごらん」

 穏やかな声音で言うお父様。何て優しいんだろう。

「そうね。食事中にマナーをおろそかにするような情けない姿はいつまでも見ていたくありませんし」

「す、すみません!」

 そして全然優しくないお母様。
 元王宮勤めのマナー講師であるお母様は、作法にたいへん厳しい。ミリーリアの記憶があるからテーブルマナーは何とかなってるけど、最近ボロが出てきてそのたびに叱られてしまっている。
 元ただの社畜OLには、貴族のマナーに徹するのは難しいのよね……

「それで、何か悩みごとがあるのかい? 僕たちでよければ相談に乗るよ」

 そう言ってにっこりと微笑むお父様。せっかくの機会だから、ここはありがたく相談させてもらおう。

「ええと……頑張り過ぎてしまう子を休ませる方法はないでしょうか?」

「それはミリーリアがお世話をしている聖女候補の子のことかい?」

「はい」

「ふむ。ミリーリアはどうしてその子を休ませたいのかな」

「根を詰め過ぎてもよくありませんし……今のあの子は見ていて不安になります。このままでは絶対によくないことになるでしょう」

 ネット小説云々の話は濁しつつ言う私。
 お父様はこう言った。

「では、この気持ちを素直に伝えてみるのがいいんじゃないかな。相手の気持ちを変えるには、まずこちらから心を開かないと」

「心を開く、ですか……」

 言われてみれば、今までお菓子や遊びで気を引こうとはしていたけど、そういった真剣なコミュニケーションは取ってこなかったような気がする。
 相手と分かり合うには、まずはこちらから胸襟を開く。
 確かにそれは大切なことだろう。

「わかりました。やってみます」

 私が言うと、お父様は微笑みを浮かべながら、お母様は「しっかり務めを果たしなさい」と厳しめな口調で、それぞれ応援してくれた。




 翌日、さっそくアイリスと腹を割って話そうと教会に向かう。
 いつもより早めの時間だ。

「さーて、アイリスはこの時間なら宿舎にいるかしら?」

 教会の中を移動しながらアイリスの過ごしている場所に向かおうとすると……


「――あのさぁ、いつまで教会にいるつもりなの? そろそろ消えてくれない?」


 廊下に面した中庭の隅で、修道女の服を着た女の子三人が一人の女の子を取り囲んでいるのが見えた。

 あそこで囲まれてるのって……アイリス!?
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