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第74歩 2001年

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 2001年の夏、大工のKさんは時々、自宅二階から
出漁して海に浮かぶイカ釣り船の漁火いさりびながめていた。
地元の人間でさえ海に浮かぶ漁火は何度見ても美しく
飽きのこない風景だった。

 漁火の見える窓を開け部屋でくつろいでいると
21時過ぎ家人が部屋に入ってきて

「UFOだ」という。

言われて漁火の浮かぶ海を見ると
イカ釣り船の上空にオレンジ色の光が浮かんでいて
横に移動したり消えたり現れたりを繰り返すと
光の数は増えて五個ほどになった。

大きさは船と同じくらいの大きさで船のすぐ上に現れていた。

 船の漁師さんは、なるべく顔を上げずに下を見て作業しないと
目の表面をライトの光で火傷やけどしてしまうため、
もしかしたらUFOには気づいていないかも知れなかった。

 すると米軍基地からか、それとも航空自衛隊か解らないが
ジェット戦闘機が飛来してきた。

―ゴオーというジェット機のエンジン音がしている。

海でUFOも珍しいが夜間のジェット機は、もっと珍しいと思った。

目を離さず見ているとオレンジの光は消えて見えなくなり
UFOもジェット機も居なくなった。

 翌日TVや新聞を見たがニュースにUFOの報道は無かった。
 
 2004年、ある日、仕事場で同業者と話をしていると、
その同業者は釣りが趣味で
Kさんの住む町の岸壁で時々夜釣りするのだと云い

「そういえば一度夜釣りをしていてUFOとジェット機を見た」
と彼は話しだした。

 やはり2001年の夏で時間帯も21時過ぎ、どうやらKさんと
同業者の彼は違う場所から
同じものを目撃していたらしい。
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