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3.Ω嫌いのαと、Ωになることを受け入れたβ編
3-3:Ω嫌いのαと、Ωになることを受け入れたβ編3【R-18】
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「奪われる可能性はαも同じだよ。俺も、いつ籠理さんをΩに取られるか分からない」
「私に限ってはあり得ませんよ。Ω転換は、生半可な執着では起きませんから」
籠理さんは話してるうちに覚悟が決まったのか、俺を真っ直ぐに見つめてきた。
そして体を起こし、俺の手を取って指先に唇を落とす。
「狭間くん、私の番になってください。一生大切にしたいから、Ωの貴方が欲しい」
「責任、だと思ってない? それなら俺は応じられないよ」
好きな人からの告白は当然嬉しいけど、疑念が入り混じって頷くことができない。
罪悪感が恋情に化けているなら、籠理さんの手を取るべきではなかった。
けれど彼は首を横に振った後、優しく微笑んで俺の顔にも唇を落としてくる。
「いいえ、私の我欲です。こんな惨状になっても、まだ貴方を手放したくない」
籠理さんは自分の執着心に向き合い、逃げずに肯定する道を選んだ。
迷いのない姿には、もう罪悪感による揺らぎなど見当たらない。
「好きです、狭間くん。私の恋人になってください」
籠理さんは何度も愛を囁き、俺の唇を親指の腹で撫でてくる。
そこだけは未だ触れ合わず、許されるのを静かに待っていた。
だから俺はその手を柔らかく払って、直接彼の唇に自分のものを押し当てる。
「……それならいいよ、全部あげる。俺も籠理さんのこと、好きだから」
「本当、ですか? 貴方、私に執着心とか見せなかったのに」
告白を受け入れられたのに、籠理さんは信じられないと目を見開いている。
確かに俺は好意を口にしなかったし、性行為でも触れ合いは最小限で抑えていた。
――けれどそれは諦めが先に立っていただけで、恋情がなかったわけじゃない。
「いつか取られる人に固執したくなかったから、そうしてただけだよ」
「ならもっと早く、告白すればよかった。今更ですけど」
籠理さんは俺の答えに安堵したようで、気が抜けたように寄り掛かってくる。
お互いの気持ちは確かめたから、もうくっついていても後ろめたさは感じない。
「でも順序が逆になったことは、謝らせてください。曖昧な時間が長すぎた」
「いいよ、好きだから全部大丈夫。その代わり、この選択を正解にして」
今まで開けていた距離を埋めるように、顔を寄せ合って口づけを交わし合う。
体も隙間なく密着させ、心まで満たされていくのを実感する。
「もちろん。これから末永く番として、恋人としてよろしくお願いいたします」
首に巻かれていた包帯に触れられ、俺は導かれるようにそれを解いていく。
そして自ら首筋を晒し、籠理さんに噛んで欲しいと訴えた。
(……ん、うなじを噛まれたけど痛くない。本当に番になったんだ、俺たち)
傷跡と痛みが残る場所だけど、籠理さんに噛まれると多幸感で上書きされる。
同時に彼の番になったという感覚が刻まれ、押し殺していた感情が溢れ出てきた。
(手に入らない人だと、思ってたのにな)
俺の首筋に顔を埋める籠理さんは、煮詰めた砂糖のような愛情を向けてくる。
けれど拒否する理由はもう存在せず、俺は溺れるような幸福に身を委ねて笑った。
Ω転換を完全に受け入れた体は、番った相手との交わりを本能的に求めてくる。
発情した俺は寝室へと運ばれ、籠理さんの手で優しく服を脱がされていた。
「ごめんね籠理さん、発情期に付き合わせて。一応薬使ってるんだけど」
「ならそれはもう、使わないでください。私がいるんですから」
火照った肌に籠理さんの指先が触れると、それだけで全身が歓喜で満たされる。
けれど嫌なことに付き合わせている事実が、俺の心に影を作っていた。
「Ωの発情期、嫌いでしょ。普段一緒にいてくれれば十分、……んあっ♡」
「貴方が相手なら別ですし、むしろ嬉しいですよ」
籠理さんは緩く首を振ると、俺の耳朶を甘噛みしながら体を愛撫してくる。
胸の先端を弄られた俺は、籠理さんの肩に縋りついて堪えるしかない。
「いつも私ばかり求めてたから、狭間くんから誘ってほしいって思ってたんです」
「んう゛っ♡ やぁっ、だからって、こんな急に♡♡」
いつもの籠理さんは発情しても、遠慮がちに様子を窺いながら行為を進めてくる。
でも今は檻から解き放たれた獣のように、情欲を剥き出しにしていた。
「ずっとこうしたかった。もう絶対に、貴方を手放しませんからね」
「あ゛っ、あ゛あっ♡ そんなのっ♡ おれだって、一緒だし♡♡」
籠理さんの指が後孔に入り込み、ぐちゅぐちゅと水音を立てて中を解していく。
Ωになった体は勝手に愛液を分泌し、αに貫かれるのを心待ちにしていた。
「籠理さんっ♡♡ も、はやく挿れて♡♡ めちゃくちゃにして♡♡」
普段の温厚さは消え去り、雄の顔をした籠理さんが舌なめずりをしている。
その獰猛な表情に俺の下腹部は疼き、早く一つになりたいと屈服していた。
「私に限ってはあり得ませんよ。Ω転換は、生半可な執着では起きませんから」
籠理さんは話してるうちに覚悟が決まったのか、俺を真っ直ぐに見つめてきた。
そして体を起こし、俺の手を取って指先に唇を落とす。
「狭間くん、私の番になってください。一生大切にしたいから、Ωの貴方が欲しい」
「責任、だと思ってない? それなら俺は応じられないよ」
好きな人からの告白は当然嬉しいけど、疑念が入り混じって頷くことができない。
罪悪感が恋情に化けているなら、籠理さんの手を取るべきではなかった。
けれど彼は首を横に振った後、優しく微笑んで俺の顔にも唇を落としてくる。
「いいえ、私の我欲です。こんな惨状になっても、まだ貴方を手放したくない」
籠理さんは自分の執着心に向き合い、逃げずに肯定する道を選んだ。
迷いのない姿には、もう罪悪感による揺らぎなど見当たらない。
「好きです、狭間くん。私の恋人になってください」
籠理さんは何度も愛を囁き、俺の唇を親指の腹で撫でてくる。
そこだけは未だ触れ合わず、許されるのを静かに待っていた。
だから俺はその手を柔らかく払って、直接彼の唇に自分のものを押し当てる。
「……それならいいよ、全部あげる。俺も籠理さんのこと、好きだから」
「本当、ですか? 貴方、私に執着心とか見せなかったのに」
告白を受け入れられたのに、籠理さんは信じられないと目を見開いている。
確かに俺は好意を口にしなかったし、性行為でも触れ合いは最小限で抑えていた。
――けれどそれは諦めが先に立っていただけで、恋情がなかったわけじゃない。
「いつか取られる人に固執したくなかったから、そうしてただけだよ」
「ならもっと早く、告白すればよかった。今更ですけど」
籠理さんは俺の答えに安堵したようで、気が抜けたように寄り掛かってくる。
お互いの気持ちは確かめたから、もうくっついていても後ろめたさは感じない。
「でも順序が逆になったことは、謝らせてください。曖昧な時間が長すぎた」
「いいよ、好きだから全部大丈夫。その代わり、この選択を正解にして」
今まで開けていた距離を埋めるように、顔を寄せ合って口づけを交わし合う。
体も隙間なく密着させ、心まで満たされていくのを実感する。
「もちろん。これから末永く番として、恋人としてよろしくお願いいたします」
首に巻かれていた包帯に触れられ、俺は導かれるようにそれを解いていく。
そして自ら首筋を晒し、籠理さんに噛んで欲しいと訴えた。
(……ん、うなじを噛まれたけど痛くない。本当に番になったんだ、俺たち)
傷跡と痛みが残る場所だけど、籠理さんに噛まれると多幸感で上書きされる。
同時に彼の番になったという感覚が刻まれ、押し殺していた感情が溢れ出てきた。
(手に入らない人だと、思ってたのにな)
俺の首筋に顔を埋める籠理さんは、煮詰めた砂糖のような愛情を向けてくる。
けれど拒否する理由はもう存在せず、俺は溺れるような幸福に身を委ねて笑った。
Ω転換を完全に受け入れた体は、番った相手との交わりを本能的に求めてくる。
発情した俺は寝室へと運ばれ、籠理さんの手で優しく服を脱がされていた。
「ごめんね籠理さん、発情期に付き合わせて。一応薬使ってるんだけど」
「ならそれはもう、使わないでください。私がいるんですから」
火照った肌に籠理さんの指先が触れると、それだけで全身が歓喜で満たされる。
けれど嫌なことに付き合わせている事実が、俺の心に影を作っていた。
「Ωの発情期、嫌いでしょ。普段一緒にいてくれれば十分、……んあっ♡」
「貴方が相手なら別ですし、むしろ嬉しいですよ」
籠理さんは緩く首を振ると、俺の耳朶を甘噛みしながら体を愛撫してくる。
胸の先端を弄られた俺は、籠理さんの肩に縋りついて堪えるしかない。
「いつも私ばかり求めてたから、狭間くんから誘ってほしいって思ってたんです」
「んう゛っ♡ やぁっ、だからって、こんな急に♡♡」
いつもの籠理さんは発情しても、遠慮がちに様子を窺いながら行為を進めてくる。
でも今は檻から解き放たれた獣のように、情欲を剥き出しにしていた。
「ずっとこうしたかった。もう絶対に、貴方を手放しませんからね」
「あ゛っ、あ゛あっ♡ そんなのっ♡ おれだって、一緒だし♡♡」
籠理さんの指が後孔に入り込み、ぐちゅぐちゅと水音を立てて中を解していく。
Ωになった体は勝手に愛液を分泌し、αに貫かれるのを心待ちにしていた。
「籠理さんっ♡♡ も、はやく挿れて♡♡ めちゃくちゃにして♡♡」
普段の温厚さは消え去り、雄の顔をした籠理さんが舌なめずりをしている。
その獰猛な表情に俺の下腹部は疼き、早く一つになりたいと屈服していた。
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