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第四章「ディープな関係!?」
19 非常事態
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その日の夜。
夕食も終えた俺は執務室に戻り、机に隠していた『愛ゆえに』をまた読み返していた。そして最後まで読み終わり、パタンっと本を閉じて頭を抱える。
「ふぅっ。……んー、やっぱ神かな!(つまり最高!)」
……もう何度読んでも飽きん! いい本って言うのは、どーしてこうも何度読んでも感動するんだろ~。全世界の人にこの本、読んで欲しぃ~ッ!
俺は心からそう望む。でも物語の余韻に浸った後、俺はため息を吐く。
……この感動、誰かと分かち合えたらいいんだけどなー。なかなか同士が見つからないよな。アントニオは読むだけで熱はないし。ジェレミーはメルヘン系だし、ディエリゴは見かけによらず冒険ものが好みだもんなぁ。レノとかがBL好きで一緒にこの熱を語り合えたら最高だったのに。……でもそういや、最近BL以前にレノと話してないなぁ。
思い返せばここ数日、アシュカと時間を取ってばかりでレノとはまともに話していなかった。話したのは湖で帰ってきた後ぐらいだ。それ以外は報告・連絡・相談だけっで実にあっさりしている。いや、まあホウレンソウは大事だけどさ?
……レノは不安になったりしないんだろうか。俺、アシュカに構ってばっかりなのに。湖から帰って来た夜に『覚悟しとけよ?』的な事を言ってたけど、あれから何も突っ込まないし。ま、突っ込まれても困るんですけど。何がってナニも。
でもレノの言葉を思い出したら同時にアシュカにキスされた事も思い出し、俺はなんだかムズムズゾゾゾッと嫌な気持ちになってくる。
……アシュカめ、急にキスなんかして。
俺は無意識に唇をゴシゴシッと拭く。けれど不意に。
……でもレノにはデコもうなじもほっぺもキスされて、寝ぼけていたとはいえ俺から唇にキスもしたっていうのに不思議と嫌じゃないんだよな~。恥ずかしさはあるけど、嫌だって思わないのはなんでだろ? やっぱ、ずっと一緒にいるからかなー。兄弟みたいに育ってきたし。
俺は能天気にそんな答えを出すが、なんとなしに実の兄・ロディオンとキスする展開を思い浮かべる。すると、やっぱりムズムズゾゾゾッと嫌な気分になった。
……うげ、変な想像するんじゃなかった。胸の中、変な気分。
まるで色んな食材をぶち込んでミキサーにかけたものを飲み込んだような感じ。胸やけを起こしそうだ。
……ロディオンは兄弟なのに、やっぱり変な気持ちになるな。……じゃあ、レノには一度も感じないのはどうしてだろう。むしろ、この前は俺から顎に。……アレ? これ、まるで俺がレノの事、すごい好きみたいな?
その答えに辿り着いた俺はなんだか頬と胸がポポポッと熱くなってくる。
……え、うそ。俺ってレノのこと??
そう思った時だった。部屋へと駆けてくる足音が聞こえて、ドアが予告なく開けられた。なので俺は必然的に驚く。
「ヒャッ!?」
声を上げると、そこには今考えていたレノがそこにいて。
「れ、レノきゅん? どどど、どっしたのかな?」
俺はちょっとしどろもどろに尋ねる。でもレノの顔は焦っていた。
「キトリー様、非常事態です」
その言葉で俺は何かが起こったのだとすぐに理解した。
◇◇
「つまり、ケルビン達が部屋を抜け出してどこかに? 村の中を探したけど、どこにもいないと……」
玄関ロビーで俺は顎に手を当てながら呟いた。目の前にはケルビン達の養父母とザック、他の村の者もいる。そして俺の後ろにはレノにアシュカが控えていた。
「誘拐されたという訳じゃなさそうだな」
「はい。村に誰かが入ってきた痕跡はありませんでした」
俺の呟くとザックが報告する。そしてそこにお爺、フェルナンドとヒューゴ、そして他の使用人達がやってきた。
「坊ちゃん。くまなく屋敷内を探しましたが、子供達の姿はありませんでした」
お爺は俺にそう告げた。すると養父母達は「そんなっ」と見るも明らかに肩を落とす。彼らはここにならいるかもしれないと思ってわざわざ来たのだ、当てが外れて落胆するのも無理はない。
「納屋の中も確認した?」
俺が尋ねればフェルナンドが首を振って「確認しましたが、いませんでした」と答えた。
「全ての場所を二人でダブルチェックしています。恐らく子供達はここには来ていないでしょう」
レノが告げ、俺は頭を悩ませる。子供達が一体どこに行ってしまったのか?
でもその答えは随分と近くにあった。
「キトリー。もしかして子供達は昼の話を聞いてササランの花を取りに行ったんじゃない?」
そう告げたのはアシュカだった。
「ササラン? ……まさか森へ!?」
「きっと森に入らないように言われたから、わざわざ夜にこっそり抜け出して取りに行ったんじゃない?」
……確かに、そうだとしたら夜にこっそり抜け出した理由として頷ける。ササランは森の入り口に生えてるから。でも、それならもう戻ってきていい頃だろ。村から森まで歩いて十分程度だ。
俺は疑問に思ったが、すぐに熊が出た話を思い出した。
「まさか熊に!」
呟いた瞬間、俺の体から血の気が引く。あの可愛い子狐達が熊に襲われた最悪の想像をしてしまったから。
「すぐに森へ行くっ! レノ、ザック、ヒューゴ、フェルナンド、付いてきて!」
俺が声をかけると四人は頷いた。でもそこにアシュカが手を挙げる。
「キトリー、僕も行くよ」
「アシュカも? だけどっ」
聖人であるアシュカを連れていくことは躊躇われた。何かあった時に取り返しがつかないからだ。それは国同士の問題になってくる。
でもアシュカは自信のある目で俺を見た。
「心配しなくても自分の身は自分で守るよ。何より、僕を連れて行った方が便利だよ?」
「……わかった。一緒に行こう!」
俺は少し悩んだ末にアシュカにそう告げた。
そして俺達は急いで準備し、馬に乗って村から一番近い森の入口へと向かった――。
夕食も終えた俺は執務室に戻り、机に隠していた『愛ゆえに』をまた読み返していた。そして最後まで読み終わり、パタンっと本を閉じて頭を抱える。
「ふぅっ。……んー、やっぱ神かな!(つまり最高!)」
……もう何度読んでも飽きん! いい本って言うのは、どーしてこうも何度読んでも感動するんだろ~。全世界の人にこの本、読んで欲しぃ~ッ!
俺は心からそう望む。でも物語の余韻に浸った後、俺はため息を吐く。
……この感動、誰かと分かち合えたらいいんだけどなー。なかなか同士が見つからないよな。アントニオは読むだけで熱はないし。ジェレミーはメルヘン系だし、ディエリゴは見かけによらず冒険ものが好みだもんなぁ。レノとかがBL好きで一緒にこの熱を語り合えたら最高だったのに。……でもそういや、最近BL以前にレノと話してないなぁ。
思い返せばここ数日、アシュカと時間を取ってばかりでレノとはまともに話していなかった。話したのは湖で帰ってきた後ぐらいだ。それ以外は報告・連絡・相談だけっで実にあっさりしている。いや、まあホウレンソウは大事だけどさ?
……レノは不安になったりしないんだろうか。俺、アシュカに構ってばっかりなのに。湖から帰って来た夜に『覚悟しとけよ?』的な事を言ってたけど、あれから何も突っ込まないし。ま、突っ込まれても困るんですけど。何がってナニも。
でもレノの言葉を思い出したら同時にアシュカにキスされた事も思い出し、俺はなんだかムズムズゾゾゾッと嫌な気持ちになってくる。
……アシュカめ、急にキスなんかして。
俺は無意識に唇をゴシゴシッと拭く。けれど不意に。
……でもレノにはデコもうなじもほっぺもキスされて、寝ぼけていたとはいえ俺から唇にキスもしたっていうのに不思議と嫌じゃないんだよな~。恥ずかしさはあるけど、嫌だって思わないのはなんでだろ? やっぱ、ずっと一緒にいるからかなー。兄弟みたいに育ってきたし。
俺は能天気にそんな答えを出すが、なんとなしに実の兄・ロディオンとキスする展開を思い浮かべる。すると、やっぱりムズムズゾゾゾッと嫌な気分になった。
……うげ、変な想像するんじゃなかった。胸の中、変な気分。
まるで色んな食材をぶち込んでミキサーにかけたものを飲み込んだような感じ。胸やけを起こしそうだ。
……ロディオンは兄弟なのに、やっぱり変な気持ちになるな。……じゃあ、レノには一度も感じないのはどうしてだろう。むしろ、この前は俺から顎に。……アレ? これ、まるで俺がレノの事、すごい好きみたいな?
その答えに辿り着いた俺はなんだか頬と胸がポポポッと熱くなってくる。
……え、うそ。俺ってレノのこと??
そう思った時だった。部屋へと駆けてくる足音が聞こえて、ドアが予告なく開けられた。なので俺は必然的に驚く。
「ヒャッ!?」
声を上げると、そこには今考えていたレノがそこにいて。
「れ、レノきゅん? どどど、どっしたのかな?」
俺はちょっとしどろもどろに尋ねる。でもレノの顔は焦っていた。
「キトリー様、非常事態です」
その言葉で俺は何かが起こったのだとすぐに理解した。
◇◇
「つまり、ケルビン達が部屋を抜け出してどこかに? 村の中を探したけど、どこにもいないと……」
玄関ロビーで俺は顎に手を当てながら呟いた。目の前にはケルビン達の養父母とザック、他の村の者もいる。そして俺の後ろにはレノにアシュカが控えていた。
「誘拐されたという訳じゃなさそうだな」
「はい。村に誰かが入ってきた痕跡はありませんでした」
俺の呟くとザックが報告する。そしてそこにお爺、フェルナンドとヒューゴ、そして他の使用人達がやってきた。
「坊ちゃん。くまなく屋敷内を探しましたが、子供達の姿はありませんでした」
お爺は俺にそう告げた。すると養父母達は「そんなっ」と見るも明らかに肩を落とす。彼らはここにならいるかもしれないと思ってわざわざ来たのだ、当てが外れて落胆するのも無理はない。
「納屋の中も確認した?」
俺が尋ねればフェルナンドが首を振って「確認しましたが、いませんでした」と答えた。
「全ての場所を二人でダブルチェックしています。恐らく子供達はここには来ていないでしょう」
レノが告げ、俺は頭を悩ませる。子供達が一体どこに行ってしまったのか?
でもその答えは随分と近くにあった。
「キトリー。もしかして子供達は昼の話を聞いてササランの花を取りに行ったんじゃない?」
そう告げたのはアシュカだった。
「ササラン? ……まさか森へ!?」
「きっと森に入らないように言われたから、わざわざ夜にこっそり抜け出して取りに行ったんじゃない?」
……確かに、そうだとしたら夜にこっそり抜け出した理由として頷ける。ササランは森の入り口に生えてるから。でも、それならもう戻ってきていい頃だろ。村から森まで歩いて十分程度だ。
俺は疑問に思ったが、すぐに熊が出た話を思い出した。
「まさか熊に!」
呟いた瞬間、俺の体から血の気が引く。あの可愛い子狐達が熊に襲われた最悪の想像をしてしまったから。
「すぐに森へ行くっ! レノ、ザック、ヒューゴ、フェルナンド、付いてきて!」
俺が声をかけると四人は頷いた。でもそこにアシュカが手を挙げる。
「キトリー、僕も行くよ」
「アシュカも? だけどっ」
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でもアシュカは自信のある目で俺を見た。
「心配しなくても自分の身は自分で守るよ。何より、僕を連れて行った方が便利だよ?」
「……わかった。一緒に行こう!」
俺は少し悩んだ末にアシュカにそう告げた。
そして俺達は急いで準備し、馬に乗って村から一番近い森の入口へと向かった――。
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