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第五章
公開ステージ
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「さあ、良い子のみんなーっ、大きな声で銀河番長ガンガガンを呼ぼうねーっ!」
司会の大倉美祢子がマイクを口許に近づけ、高い声で叫ぶと、ステージ前に詰めかけた小学生とそれ以下の幼児たちから黄色い歓声が上がった。
子供たちの姿は、一様に小さなツッパリ、ヤンキーと言えるもので、髪の毛は男の子は後ろを伸ばし、前髪は短くした「ジャンボ尾崎」スタイルで、女の子は前髪を立て、ポニーテールを金髪や、赤く染めていた。
「ガンガガンーっ!」
一斉に叫び声が上がり、ステージ横の出演者控室からドスドスと重々しい足音が聞こえ、番長ロボが姿を現した。同時に「銀河番長ガンガガン」のテーマソングが流れる。
大人気アニメ「銀河番長ガンガガン」の公開ステージで、登場したロボットは言うまでもなく公開アクション専用の着ぐるみだ。アニメの設定では、銀河番長ロボは身長二十メートルの巨大ロボということになっている。軽い樹脂で出来た着ぐるみはそれでもかなりの完成度で、いかにもロボットらしい動きを披露した。
番長ロボが手を振ると、ステージ前に陣取っていた子供たちは熱狂的に歓声を上げた。
ここは郊外型の大規模ショッピングモールで、毎月様々なイベントを行っているが、今回の「ガンガガン」のステージは最も集客が見込まれるイベントであった。
子供たちの熱意が頂点に達したのを見計らい、司会の美祢子はいかにも切迫したという口調で叫んだ。
「あっ! みんな、大変だよ! 銀河を狙うオータック大魔王がこの会場を狙って悪いロリコンを送り込んできたみたいだ!」
美祢子の声を合図に、ステージの反対側からいかにも悪者といった衣装を身に着けたロリコン怪人たちが奇声を上げて突進してきた。怪人たちはそれぞれ、武器のようなものを手にしている。
子供たちの間から悲鳴が上がる。
恐ろし気な怪人の衣装に、頭を抱え泣き出してしまう子供もいた。
怪人たちは手にした武器を番長ロボに向け、おのおの引き金を引いた。武器の銃口からは盛大に光線と水蒸気が飛び出し、番長ロボの胸にぶち当たった。同時に銃撃音が響き渡る。演出効果は抜群で、本当の銃弾が当たっているように見えた。
ロボがぐらり、と体を揺らした。苦し気に胸を押さえる。
子供たちは精いっぱい声を張り上げ「がんばれーっ! ロボーっ!」と声援を上げた。
司会がすかさず叫んだ。
「あーっ、番長ロボの危機です! 大丈夫かなあ、ロボはこの攻撃に耐えられるのでしょうか?」
巻き起こる水蒸気と光線、響き渡る銃撃音。その中でロボはがっくりと膝を折り、とうとううずくまってしまった。
子供たちは大騒ぎで立ち上がり、ぴょんびょんと何度も飛び跳ねて声を張り上げ声援を続ける。しかしロボは水蒸気と騒音の中ステージに倒れ込んでしまった。ロボの姿が真っ白な水蒸気の中に見えなくなった。
子供たちはしーん、と静まり返ってしまった。全員茫然と、今見た光景を信じられないようで、涙を堪えている子供たちもいた。
「わははははは!」
と恐ろし気な笑い声が轟いた。
ぎょっと恐怖の表情を浮かべ、子供たちは声の方向を振り向いた。
司会が声を張り上げる。
「大変です! とうとうオータック大魔王が姿を現しました!」
新たに登場したのは「ガンガガン」で番長ロボの敵役のオータック大魔王だった。盛大に巻き起こる水蒸気をかき分け、オータック大魔王はゆっくりと歩を進めた。
オータック大魔王は喚いた。
「この銀河は我がオータック大魔王のものだ! 死ね! 番長ロボ!」
大魔王の声が終わるか終わらないうちに、新たな声が会場に響いた。
「そうはいかないぞ!」
新たな声は、凛凛と甲高く少女のような声音だった。
すかさず司会の美祢子がマイクを取り上げ、叫んだ。
「みんな! 番長ロボを助けにリームがやって来たよ!」
再び高らかに「ガンガガン」のテーマソングが響き渡った。
子供たちは声をそろえ、テーマソングを唱和した。
控室から水蒸気をかき分け、新たなキャラクターが登場した。小柄で少女のような体つきで、顔はマスクに覆われている。
リームは「ガンガガン」シリーズに新たに加わった宇宙人のキャラクターだ。姿は少女のように見えるが、超能力者という設定だった。
「リーム! リーム! リーム!」
登場したリームに子供たちは夢中だった。
リームはステージ上から観覧の子供たちに向け、声を張り上げた。もっとも声は、アニメ版のリーム役を務めている黒木来夢という声優のものだ。ステージ用にセリフだけ録音して、アクターの動きに合わせ再生している。
「みんな! ロボが危ない! みんなのエネルギーをロボに送ろう! さあ、一緒にロボの名前を叫ぶんだ!」
リームが大きく腕を振ると、子供たちは腕の振りに合わせ、声をそろえた。
「ロボーっ! ロボーっ!」
倒れ込んだロボに向け、リームは両手をそろえて向けた。リームの両方の手のひらが発光し、オレンジ色の光線がロボに注ぎ込まれた。
ぴくっ、と倒れたロボが身動きし、ゆっくりと立ち上がった。
テーマソングがさらに大きく鳴り響く。
子供たちは夢中になって声援を送った。
遂にロボは両足を踏ん張り、オータック大魔王に向き直った。
ぐいっとロボは右腕を上げると、大魔王に向けて指先を向けた。
「オータック大魔王! 銀河の平和はオレが守る!」
ロボの指先から眩しい光が迸り、大魔王の胸で炸裂した。
大魔王はぐらりと体を揺らし、悲鳴を上げた。
「ぐおおおおおっ!」
大量の水蒸気が大魔王の姿を隠し、リームはステージから飛び降りて大魔王の周りにいた怪人たちを次々と倒していった。
リームの動きに、怪人たちは悲鳴を上げて退散していった。
とうとうすべての悪の手先が姿を消し、リームはステージに戻ると、番長ロボの横に並んで子供たちに挨拶をした。
司会の美祢子は上機嫌でマイクに向かい、子供たちに声をかけた。
「みんなの力で、悪い大魔王は逃げちゃったよ! さあ、全員でガンガガンのテーマソングを歌おう!」
子供たちの唱和するテーマソングが、広いショッピングモールに響いていた。
司会の大倉美祢子がマイクを口許に近づけ、高い声で叫ぶと、ステージ前に詰めかけた小学生とそれ以下の幼児たちから黄色い歓声が上がった。
子供たちの姿は、一様に小さなツッパリ、ヤンキーと言えるもので、髪の毛は男の子は後ろを伸ばし、前髪は短くした「ジャンボ尾崎」スタイルで、女の子は前髪を立て、ポニーテールを金髪や、赤く染めていた。
「ガンガガンーっ!」
一斉に叫び声が上がり、ステージ横の出演者控室からドスドスと重々しい足音が聞こえ、番長ロボが姿を現した。同時に「銀河番長ガンガガン」のテーマソングが流れる。
大人気アニメ「銀河番長ガンガガン」の公開ステージで、登場したロボットは言うまでもなく公開アクション専用の着ぐるみだ。アニメの設定では、銀河番長ロボは身長二十メートルの巨大ロボということになっている。軽い樹脂で出来た着ぐるみはそれでもかなりの完成度で、いかにもロボットらしい動きを披露した。
番長ロボが手を振ると、ステージ前に陣取っていた子供たちは熱狂的に歓声を上げた。
ここは郊外型の大規模ショッピングモールで、毎月様々なイベントを行っているが、今回の「ガンガガン」のステージは最も集客が見込まれるイベントであった。
子供たちの熱意が頂点に達したのを見計らい、司会の美祢子はいかにも切迫したという口調で叫んだ。
「あっ! みんな、大変だよ! 銀河を狙うオータック大魔王がこの会場を狙って悪いロリコンを送り込んできたみたいだ!」
美祢子の声を合図に、ステージの反対側からいかにも悪者といった衣装を身に着けたロリコン怪人たちが奇声を上げて突進してきた。怪人たちはそれぞれ、武器のようなものを手にしている。
子供たちの間から悲鳴が上がる。
恐ろし気な怪人の衣装に、頭を抱え泣き出してしまう子供もいた。
怪人たちは手にした武器を番長ロボに向け、おのおの引き金を引いた。武器の銃口からは盛大に光線と水蒸気が飛び出し、番長ロボの胸にぶち当たった。同時に銃撃音が響き渡る。演出効果は抜群で、本当の銃弾が当たっているように見えた。
ロボがぐらり、と体を揺らした。苦し気に胸を押さえる。
子供たちは精いっぱい声を張り上げ「がんばれーっ! ロボーっ!」と声援を上げた。
司会がすかさず叫んだ。
「あーっ、番長ロボの危機です! 大丈夫かなあ、ロボはこの攻撃に耐えられるのでしょうか?」
巻き起こる水蒸気と光線、響き渡る銃撃音。その中でロボはがっくりと膝を折り、とうとううずくまってしまった。
子供たちは大騒ぎで立ち上がり、ぴょんびょんと何度も飛び跳ねて声を張り上げ声援を続ける。しかしロボは水蒸気と騒音の中ステージに倒れ込んでしまった。ロボの姿が真っ白な水蒸気の中に見えなくなった。
子供たちはしーん、と静まり返ってしまった。全員茫然と、今見た光景を信じられないようで、涙を堪えている子供たちもいた。
「わははははは!」
と恐ろし気な笑い声が轟いた。
ぎょっと恐怖の表情を浮かべ、子供たちは声の方向を振り向いた。
司会が声を張り上げる。
「大変です! とうとうオータック大魔王が姿を現しました!」
新たに登場したのは「ガンガガン」で番長ロボの敵役のオータック大魔王だった。盛大に巻き起こる水蒸気をかき分け、オータック大魔王はゆっくりと歩を進めた。
オータック大魔王は喚いた。
「この銀河は我がオータック大魔王のものだ! 死ね! 番長ロボ!」
大魔王の声が終わるか終わらないうちに、新たな声が会場に響いた。
「そうはいかないぞ!」
新たな声は、凛凛と甲高く少女のような声音だった。
すかさず司会の美祢子がマイクを取り上げ、叫んだ。
「みんな! 番長ロボを助けにリームがやって来たよ!」
再び高らかに「ガンガガン」のテーマソングが響き渡った。
子供たちは声をそろえ、テーマソングを唱和した。
控室から水蒸気をかき分け、新たなキャラクターが登場した。小柄で少女のような体つきで、顔はマスクに覆われている。
リームは「ガンガガン」シリーズに新たに加わった宇宙人のキャラクターだ。姿は少女のように見えるが、超能力者という設定だった。
「リーム! リーム! リーム!」
登場したリームに子供たちは夢中だった。
リームはステージ上から観覧の子供たちに向け、声を張り上げた。もっとも声は、アニメ版のリーム役を務めている黒木来夢という声優のものだ。ステージ用にセリフだけ録音して、アクターの動きに合わせ再生している。
「みんな! ロボが危ない! みんなのエネルギーをロボに送ろう! さあ、一緒にロボの名前を叫ぶんだ!」
リームが大きく腕を振ると、子供たちは腕の振りに合わせ、声をそろえた。
「ロボーっ! ロボーっ!」
倒れ込んだロボに向け、リームは両手をそろえて向けた。リームの両方の手のひらが発光し、オレンジ色の光線がロボに注ぎ込まれた。
ぴくっ、と倒れたロボが身動きし、ゆっくりと立ち上がった。
テーマソングがさらに大きく鳴り響く。
子供たちは夢中になって声援を送った。
遂にロボは両足を踏ん張り、オータック大魔王に向き直った。
ぐいっとロボは右腕を上げると、大魔王に向けて指先を向けた。
「オータック大魔王! 銀河の平和はオレが守る!」
ロボの指先から眩しい光が迸り、大魔王の胸で炸裂した。
大魔王はぐらりと体を揺らし、悲鳴を上げた。
「ぐおおおおおっ!」
大量の水蒸気が大魔王の姿を隠し、リームはステージから飛び降りて大魔王の周りにいた怪人たちを次々と倒していった。
リームの動きに、怪人たちは悲鳴を上げて退散していった。
とうとうすべての悪の手先が姿を消し、リームはステージに戻ると、番長ロボの横に並んで子供たちに挨拶をした。
司会の美祢子は上機嫌でマイクに向かい、子供たちに声をかけた。
「みんなの力で、悪い大魔王は逃げちゃったよ! さあ、全員でガンガガンのテーマソングを歌おう!」
子供たちの唱和するテーマソングが、広いショッピングモールに響いていた。
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