電脳ロスト・ワールド

万卜人

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不条理三兄弟

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真葛まくず兄弟探偵事務所》と、ドアに金文字で書かれている。
 二郎はドアを叩く。
「お入り!」との返事に、二郎はドアを勢い良く開け放った。
「これは、客家二郎! 珍しき客人であるな!」
 入ったところに机があって、向かい側の椅子に一人の中年男性が座っている。もじゃもじゃの黒髪を真ん中分けにして、大きな黒縁眼鏡を掛けている。
 口元には黒々とした髭があった。手には太い葉巻。身に着けているのは、黒いスーツに濃い灰色のズボンと、まあ、一見まともな格好である。首許は大きな蝶ネクタイで締めていた。
 男は、じろりとタバサとゲルダを見ると、目を輝かせた。
「なんと! 今日は、妙齢のご婦人を、お二人も連れてまいったのか! いや、感謝!」
 ぴょこんと発条ばね仕掛けのような動作で立ち上がり、尻を後ろに突き出し、前のめりのような奇妙な格好で男は、ささっとタバサの近くに寄ってきた。
「ふうむ、お美しいお若い女性に、吾輩いたく感動いたしましたぞ! さて、お食事でもいかが?」
 男の顔を覗きこみ、タバサは気づいた。眼鏡は、レンズが嵌まっていない伊達眼鏡で、口元の髭は、べったりと絵の具を塗りたくったものではないか。
「おいおい」と二郎が割り込んだ。
「入ったすぐにナンパかね? 今日は仕事の話で来たんだ。秋波を送るのは、後にして貰えないか」
「ふむ?」と男は首をかしげ、ひょこひょことした歩き方で元の椅子に戻った。
 どっかりと腰を下ろし、両足をデスクに投げ出す。手に持った葉巻を口に咥え、すぱーっと吸い込み、朦々と煙を吐き出す。
「仕事とな? して、どのような」
「《ロスト・ワールド》だ! 遂に、攻略の時節が来たんだ!」
 二郎の言葉に、男は眼鏡の奥の両目を大きく見開いた。
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