大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第四章〜日丸国建国〜

第30話 戦争の火種

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日丸国とセレーネ連邦国が同盟を締結してから、五ヶ月が経った。
大海型駆逐艦のライセンス生産により、日丸国とセレーネ連邦国の海軍力は、急激に増していた。
現在、日丸国に所属している大海型駆逐艦は、大海型駆逐艦一番艦大海、大海型駆逐艦二番艦雲海、大海型駆逐艦三番艦荒海、大海型駆逐艦四番艦海原の計四隻である。
一方のセレーネ連邦国では、大海型駆逐艦生産のノウハウを生かし、オーシャン級と呼ばれる駆逐艦の量産が始まっており、現在オーシャン級は四隻完成している。
この数ヶ月で、セレーネ連邦国が駆逐艦を量産できている理由は、各国にある工場に各部品を量産させ、それを列車輸送で大東洋に面している国家まで運び、そこで組み立ているからである。
更にこの世界にある魔法が、駆逐艦の各部品の量産に拍車をかけている点もある。
日丸国とセレーネ連邦国が海軍力を高める一方で、シュヴァルツでは陸軍増強が行われている。
現在では、巨大な列車砲の存在や戦闘機の量産、更に戦車の存在が確認されている。
セレーネ連邦国とシュヴァルツは、いつ戦争が始まってもおかしくないレベルで、緊張度が高まっている。

「そうか。陸軍増強計画が終わったか…」

シュヴァルツの最高幹部達が集まっている、総統府の会議室にて、ザルラは、陸軍最高司令官であるヴィービンデン・ルーバルから、陸軍の増強が一通り終わったと報告を受けていた。

「では次に…エルラ君、頼むぞ?」

「はっ!」

ザルラから指名を受け、エルラは席を立ち上がり、親衛隊の状況を包み隠さず話し始める。

「現在親衛隊は、宣伝省の素晴らしいプロパガンダにより、民衆と軍部による暴動を抑え込めている状態です。対処としては、暴動を行おうとした者を拘束、少し頭を冷やさせた後、解放しておりますが、これ以上は限界ですね…」

書類の内容をチラッと見ながら、エルラは親衛隊の現状を説明する。
現在、シュヴァルツの世論は、宣伝省からの偽情報プロパガンダによって、セレーネ連邦国と日丸国を、大帝国と同じ凶悪国家と思い込んでいる。そのため、シュヴァルツ国内では、セレーネ連邦国と日丸国の速やかな打倒を行うよう、暴動が起きている。親衛隊は現在、その暴動を何とかして押さえ込んでいる状態だ。

「陸軍の増強が終わったのだ。今すぐ開戦すれば、暴動も落ち着くだろう」

ザルラは椅子の背もたれに持たれ、セレーネ連邦国と今すぐに開戦すると述べた。
ザルラに意思もあり、殆どの幹部が、セレーネ連邦国との開戦に賛成する。
そんな中、ヨルゼフは違った。
エルラのことを調査していたヨルゼフは、エルラが大帝国と繋がっていることを知ったのだ。そして、大帝国の命令により、エルラがシュヴァルツとセレーネ連邦国をぶつかり合わせ、陸海の戦力を削ろうとしていることも理解出来た。

(手に入れた大帝国の暗号乱数表に、エルラの名が入っている大帝国との通信記録…証拠として十分な代物が二つあるのだ!…エルラ…いや、大帝国の犬め!この国を!総統閣下を!貴様の操り人形なんかにはさせんぞ!)

ヨルゼフがエルラの正体を暴くと決意し、ザルラに声をかけようとしたその時だった。

「…それと総統閣下、ヨルゼフが大帝国と繋がっていることがわかりました」

エルラが口を開き、ヨルゼフを大帝国のスパイだとザルラに申したのだ。
それを聞き、ヨルゼフ含めて全員が驚いた表情を浮かべる。

「巫山戯るな!スパイは貴様だろう!?」

驚きと同時に、エルラの図々しいに腹が立ち、ヨルゼフは机を思いっきり叩きながら、立ち上がって反論した。

「ならば、証拠をお見せしましょう…おい」

「失礼致します」

エルラは部下に命じ、全員の前にスパイの証拠となる書類を出させた。

「なっ!」

その書類を見て、ヨルゼフは声を出して動揺した。
何せエルラが出てきたその書類は、ヨルゼフが手に入れた、大帝国の暗号乱数表に、エルラの名が入った大帝国との通信記録だったからだ。但し、エルラの名が入っていた所は、ヨルゼフの名に変わっている。

(してやられた!!)

二つの偽の証拠を見て、ヨルゼフは自身が嵌められたことに気づいた。

「総統閣下!この証拠は私が集めていた証拠です!それをエルラが「黙れ裏切り者!!」

ヨルゼフは何とかしてエルラがスパイだと知らせようと、必死にザルラに訴えかけるが、裏切り者と一喝される。
一喝を受け、ヨルゼフは会議室に居る全員が、自分を敵として見つめていることに気づき、膝から崩れ落ちた。

「裏切り者めが…エルラ君!連れて行って、早急に処刑したまえ!」

「はっ」

ヨルゼフを裏切り者だと認識したザルラは、エルラにヨルゼフの処刑を命じた。
処刑を命じられたヨルゼフは、会議室に入ってきた二名の親衛隊員に連れられていく。

「総統閣下…どうか、どうか……お気をつけください………」

会議室に出る間際、ヨルゼフはザルラに最後の忠告だけし、会議室から処刑場へ連れられて行った。

「さて、総統閣下…大帝国のスパイは居なくなりました…シュヴァルツの体制が磐石となった今、セレーネ連邦国と開戦をするべきです」

ヨルゼフが連れていかれた後、エルラはザルラにセレーネ連邦国との開戦を進言する。

「うむ…社会主義国家シュヴァルツの総統、エーデル・ザルラが命ずる!偉大なるシュヴァルツの軍勢よ、セレーネ連邦国へ進軍せよ!!」

ゲー・クラー承知致しました!!!

この日、ザルラの命令により、狂気に染まった軍勢が、セレーネ連邦国と日丸国の打倒に向け、動き出した。
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