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第四章〜日丸国建国〜
第29話 大海型駆逐艦大海
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「お待ちしておりました!山本司令長官殿!」
海軍司令部から新造ドックがある鋼鉄島に移動した光太郎を、京介率いる作業員達に出迎えられていた。
「出迎えご苦労、早速で悪いのだが、大海型駆逐艦の進捗具合が見たい」
「では、どうぞこちらへ」
光太郎の頼みを聞き、京介は光太郎を新造艦の元へ案内する。
「これが…」
案内された先で、光太郎は声を漏らす。
光太郎の目線の先には、記念すべき日丸国最初の艦艇、大海型駆逐艦の一番艦である大海があった。
大海型駆逐艦大海艦本式タービン2基、ロ型艦体式缶3基を搭載。兵装は、護衛艦の5インチ砲を元に作られた62口径12.7cm連装砲を3基、高性能20mm機関銃を2基、六十八式四連装魚雷発射管を2基、九四式爆雷投射機1基、爆雷投下台6基が搭載され、レーダーやソナーとして、22号対水上電探、九三式水中聴音機を搭載されている。
大海型駆逐艦は、言うならば、史実の陽炎型駆逐艦を魔改造したような駆逐艦である。
現在は、一部兵装がまだ搭載されていないだけで、それを搭載すれば完成するという状態である。
「しかし、宜しかったのですか?最新の物を取り付けなくて……」
京介はレーダーやソナーなどが最新の物では無いことに疑問に思う。
異世界の技術がある以上、その技術をフル活用し、最新の艦艇を制作、更に量産すれば最強艦艇が作れるのでは?と、京介は思っているのだ。
「大海型駆逐艦は、セレーネ連邦国へライセンス生産する予定の代物だ。それ故に、できるだけ旧式の代物で作る必要があったのだよ…それに、我々からしたら旧式していても、彼らにとっては最新技術に当たるだろうしな」
「なるほど…よく分かりました」
光太郎から理由を聞き、京介は頷きながら納得した。
(まぁ、セレーネ連邦国に大海型駆逐艦の量産を頼み、イージス艦型の巡洋艦や、伊四百型を元にした特務潜水艦の建造に専念したいというのもあるがな…)
光太郎は、旧式化した装備を乗せた大海型駆逐艦を作るもう1つ理由を喋らなかった。
「しかし、原型自体は前々から作っていたとはいえ、もう完成状態なのは驚きだな……」
大海を見つめながら、光太郎はそう呟いた。
「ええ、ドワーフや一部獣人達のお陰ですよ。ドワーフは腕は確かで、直ぐに我々の技術を習得してくれ、獣人達の中には我々以上の力を持った者などいますので、作業がとても捗るのですよ」
京介は笑みを浮かべながら、光太郎の呟きに答えた。
「なるほどな……だが、彼らばかりに頼ってはいけないからな?」
「はっ、勿論であります!」
元奴隷だった彼らを京介達がどう思っているか、確認した光太郎は、笑みを浮かべながら大海の元へ向かっていく。
「ん?あれはなんだ?」
大海の元に向かう光太郎の目に、大海とよく似た一隻の小さな船に目が留まる。
「ああ、あれは木で作った大海の模型ですよ。何せ失敗が許されなかったので、あれを作ってこの大海を制作しました。今はあれをセレーネ連邦国に送り、量産してもらおうということで話が纏まっています」
「成程…だが、艦名が無ければ不便だな……」
大海の模型となった木船を見た光太郎は、その木船に名前を付けようと思い、良い案がないか考え始める。
「…ふむ、試験型駆逐艦大木なんてどうだ?」
少し考えた後、木船に光太郎は艦名の案を提案した。
「大木ですか……いいですね…では、そのように艦名を舷側に書いておきます!」
「ああ、頼む…」
光太郎が提案した名前を気に入った京介は、大木の舷側に平仮名で艦名を書くと光太郎に伝える。
「さてと、次は大和と武蔵に搭載する予定の高射砲の性能を見なければな……」
「では、こちらに」
帽子を被り直した光太郎は、京介に案内されて島を掘り抜かれて作られた秘匿倉庫へと移動する。
〇
「こちらであります」
秘匿倉庫に移動し、京介は高射砲にかかっている大きな布を捲った。
「ほうこれが…」
「はい。大海の主砲を高射砲として使えるよう改良した、62口径12.7cm連装高射砲ですよ」
京介は自慢げに、目の前の高射砲について説明する。
62口径12.7cm連装高射砲。京介が言う通り、ながとなどのイージス艦や大海の主砲として搭載されている62口径12.7cm砲を高射砲として使えるように改良した物で、数が揃い次第大和と武蔵の高射砲は、これに置きかわることになっている。
「実に素晴らしい働きだな…」
「お褒めにあづかり光栄です…ですが、現在完成している12.7cm連装高射砲は、この一基のみです…できるだけ早く、そして多く生産するつもりですが、大和と武蔵、どちらに優先的に配備した方がよろしいでしょうか?」
京介からの質問に、光太郎は口を覆うように手を当て考え始める。
「……武蔵に優先的に配備させてくれ…」
「宜しいのですか?主力艦隊の旗艦である大和ではなくて…」
武蔵に優先配備すると聞き、京介は大和ではない理由を尋ねた。
「ああ…今の武蔵は、日丸国防衛の要だ。武蔵強化を優先するのが、最優先すべきことだろう……それに、大和はそう簡単に沈まんよ」
「大和艦長である貴方がそういうのであれば、文句を言う者はいないでしょう」
光太郎から武蔵強化を優先する理由を聞き、京介はその理由に納得していた。
海軍司令部から新造ドックがある鋼鉄島に移動した光太郎を、京介率いる作業員達に出迎えられていた。
「出迎えご苦労、早速で悪いのだが、大海型駆逐艦の進捗具合が見たい」
「では、どうぞこちらへ」
光太郎の頼みを聞き、京介は光太郎を新造艦の元へ案内する。
「これが…」
案内された先で、光太郎は声を漏らす。
光太郎の目線の先には、記念すべき日丸国最初の艦艇、大海型駆逐艦の一番艦である大海があった。
大海型駆逐艦大海艦本式タービン2基、ロ型艦体式缶3基を搭載。兵装は、護衛艦の5インチ砲を元に作られた62口径12.7cm連装砲を3基、高性能20mm機関銃を2基、六十八式四連装魚雷発射管を2基、九四式爆雷投射機1基、爆雷投下台6基が搭載され、レーダーやソナーとして、22号対水上電探、九三式水中聴音機を搭載されている。
大海型駆逐艦は、言うならば、史実の陽炎型駆逐艦を魔改造したような駆逐艦である。
現在は、一部兵装がまだ搭載されていないだけで、それを搭載すれば完成するという状態である。
「しかし、宜しかったのですか?最新の物を取り付けなくて……」
京介はレーダーやソナーなどが最新の物では無いことに疑問に思う。
異世界の技術がある以上、その技術をフル活用し、最新の艦艇を制作、更に量産すれば最強艦艇が作れるのでは?と、京介は思っているのだ。
「大海型駆逐艦は、セレーネ連邦国へライセンス生産する予定の代物だ。それ故に、できるだけ旧式の代物で作る必要があったのだよ…それに、我々からしたら旧式していても、彼らにとっては最新技術に当たるだろうしな」
「なるほど…よく分かりました」
光太郎から理由を聞き、京介は頷きながら納得した。
(まぁ、セレーネ連邦国に大海型駆逐艦の量産を頼み、イージス艦型の巡洋艦や、伊四百型を元にした特務潜水艦の建造に専念したいというのもあるがな…)
光太郎は、旧式化した装備を乗せた大海型駆逐艦を作るもう1つ理由を喋らなかった。
「しかし、原型自体は前々から作っていたとはいえ、もう完成状態なのは驚きだな……」
大海を見つめながら、光太郎はそう呟いた。
「ええ、ドワーフや一部獣人達のお陰ですよ。ドワーフは腕は確かで、直ぐに我々の技術を習得してくれ、獣人達の中には我々以上の力を持った者などいますので、作業がとても捗るのですよ」
京介は笑みを浮かべながら、光太郎の呟きに答えた。
「なるほどな……だが、彼らばかりに頼ってはいけないからな?」
「はっ、勿論であります!」
元奴隷だった彼らを京介達がどう思っているか、確認した光太郎は、笑みを浮かべながら大海の元へ向かっていく。
「ん?あれはなんだ?」
大海の元に向かう光太郎の目に、大海とよく似た一隻の小さな船に目が留まる。
「ああ、あれは木で作った大海の模型ですよ。何せ失敗が許されなかったので、あれを作ってこの大海を制作しました。今はあれをセレーネ連邦国に送り、量産してもらおうということで話が纏まっています」
「成程…だが、艦名が無ければ不便だな……」
大海の模型となった木船を見た光太郎は、その木船に名前を付けようと思い、良い案がないか考え始める。
「…ふむ、試験型駆逐艦大木なんてどうだ?」
少し考えた後、木船に光太郎は艦名の案を提案した。
「大木ですか……いいですね…では、そのように艦名を舷側に書いておきます!」
「ああ、頼む…」
光太郎が提案した名前を気に入った京介は、大木の舷側に平仮名で艦名を書くと光太郎に伝える。
「さてと、次は大和と武蔵に搭載する予定の高射砲の性能を見なければな……」
「では、こちらに」
帽子を被り直した光太郎は、京介に案内されて島を掘り抜かれて作られた秘匿倉庫へと移動する。
〇
「こちらであります」
秘匿倉庫に移動し、京介は高射砲にかかっている大きな布を捲った。
「ほうこれが…」
「はい。大海の主砲を高射砲として使えるよう改良した、62口径12.7cm連装高射砲ですよ」
京介は自慢げに、目の前の高射砲について説明する。
62口径12.7cm連装高射砲。京介が言う通り、ながとなどのイージス艦や大海の主砲として搭載されている62口径12.7cm砲を高射砲として使えるように改良した物で、数が揃い次第大和と武蔵の高射砲は、これに置きかわることになっている。
「実に素晴らしい働きだな…」
「お褒めにあづかり光栄です…ですが、現在完成している12.7cm連装高射砲は、この一基のみです…できるだけ早く、そして多く生産するつもりですが、大和と武蔵、どちらに優先的に配備した方がよろしいでしょうか?」
京介からの質問に、光太郎は口を覆うように手を当て考え始める。
「……武蔵に優先的に配備させてくれ…」
「宜しいのですか?主力艦隊の旗艦である大和ではなくて…」
武蔵に優先配備すると聞き、京介は大和ではない理由を尋ねた。
「ああ…今の武蔵は、日丸国防衛の要だ。武蔵強化を優先するのが、最優先すべきことだろう……それに、大和はそう簡単に沈まんよ」
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