魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

文字の大きさ
22 / 29

22 最終手段

しおりを挟む
ー避けきれない!ー

ギュッと目を瞑って体に力を入れて、衝撃を受ける覚悟を決める。

ー主様、シロ、ごめんなさい!ー


ドンッ──ガシャンッ───

「なっ!?」
「????」

何かが壊れるような大きな音が響き渡るけど、自身が衝撃を受ける事はなく、何故か驚きの声を上げたモモカ。何が起こったのか分からず目を開けると、出入り口付近の壁が破壊されていて──

「え?ドラゴン?竜??」

私の目の前に、真っ白な色の竜が居た。

遥か昔、一度だけ向こうの世界で龍に出会った事がある。でも、向こうの世界の龍は蛇のように長い体に小さい手足がある姿をしていた。
でも、この世界のドラゴン─竜は、大きな翼があって手足もそれなりに大きい。

『遅くなってすまない。なかなか厄介な結界が張られていて、壊すのに時間が掛かった。ウィル、アンバー、大丈夫か?』
「何とかギリギリセーフかな?」
「え?その声……グウェイン様!?」
『アンバーも大丈夫そうで良かった』

ちょんちょんと、大きな人差し指?で私の頭を突く真っ白な竜。姿は全く違うけど、グウェイン様で間違いない。声もそうだけど、私を触れる手はいつだって優しくて温かい。

「まさか竜だったとは……だから、ウィルにも私の妖術が効かなかったのね」

ウィル様が竜族と言う事は………

「ウィル様は……竜王国の王太子!?」
「まぁ…そうだね」

今の竜王は黒竜で、その子供も黒竜だと言う事は知っていた。同じ世代で黒竜が2人居るのはとても珍しい─奇跡のようなものらしく、竜王国は過去にも見ない繁栄ぶりだと言われている。竜王は最強の力を持つ者が立つそうで、殆ど親子で継承される事はないけど、現竜王に次いで実力を持っているのが王子であるから、竜王国では珍しく、既にその王子が立太子していると言う。その王太子が、ウィル様だったとは……。第二王子のリッカルド様が、何度も頭を下げて謝っていた理由が分かった。と言う事は……この国の王太子のミリウス様は、ウィル様が竜王国の王太子とは……知らなかったか忘れているかなんだろう。同じ王太子なのに、この違い。

「ここは私の分が悪いわね」

モモカがポツリと呟いた後、ホール全体に炎が立ち上がり、モモカの腕の中に気を失ったコユキが居た。

「アンバー、私と一緒に来てもらうわ。でなければ、どうなるか分かるわよね?」

ツー……と、モモカがコユキの頬を指でなぞると、そこから血が流れた。

「そうそう。ウィルもグウェインも動かないでね。動いたりしたら、私、ビックリしてこのホールを燃やしてしまうかもしれないから」

「………モモカ…………」

このホールには、気を失った生徒達がたくさん居る。グウェイン様が来たけど、学校に居る筈の先生達でさえ来ないと言う事は、先生達も気を失っているか、結界があって来れないか──だ。

ー私が行けば、ウィル様やグウェイン様や皆が助かる?ー

「アンバー、行くな!」
「グウェイン様……」

グウェイン様はこんな時でも優しい。

私だって、ただただやられるのを受け入れるつもりはない。少しでも抗って隙を作れば、ウィル様とグウェイン様が何とかしてくれるかもしれない。ゆっくりとモモカの方へと歩いて行く。

「ふふっ。正しい選択だわ」

ーせめて、炎だけでもー

モモカの元に辿り着くのと同時にコユキに手を伸ばしながら、一気に妖力を開放して狐火を出し辺りの炎を相殺する。

「忌々しい子狐が!」
「アンバー!!」

目の前のモモカが大きな炎を創り上げた。

ー今度は私がシロを護る番だー

ギュッとコユキを抱きしめる。



『───を呼びなさい』



主様の懐かしい声が頭の中に響いた。





「キクカ様!!!」




『アンバー!コユキ!』
『ようやく私の名を呼んだわね!』

そこに現れたのは、琥珀色の髪と三つの尻尾のある女性と、着物を着て長い黒髪を靡かせた女性だった。

「ちっ……よ───っ!?」
『ほう…私を覚えていたのね?嬉しいわ』

千代様が軽く手を振ると、モモカの足下に魔法陣が現れた。


私の元の世界の女神──千代様

私の主様の親友でもあった。シロを転生させて、私をこの世界に送ってくれた女神様。圧倒的な存在感。

「アンバー、大丈夫?」
「キクカ様!はい、私は大丈夫です。でも、コユキが…」
「コユキも他の子達も大丈夫よ。ただ、あの女の妖術で眠らされているだけだから」
「良かっ───」
「アンバー!」
「ぐぅ──っ……ウェイ……ンさま!?」

キクカ様が、私の腕の中に居るコユキを見てくれていると、人の姿に戻ったグウェイン様に後ろから抱きしめられた。

「アンバーが無事で良かった」
「グウェイン様……」

ーグウェイン様の腕の中が、安心するのは何故だろう?ー

後ろから回されているグウェイン様の腕を、ポンポンと叩く。

「どうせ、私を消滅させる事もできないくせに。私を捕らえても無意味よ。私は何度だって……逃げて……あの女の魂を追ってやるから……ふふっ………」

『私も随分舐められたものね……私が手を出せないままお前を放っておくと思っていたの?面白い冗談ね……アンバー!』
「はい!!」
『お前の主が、最終手段で呼ぶように言った名は思い出したの?思い出してない訳ないわよね?思い出したわね?今すぐ呼びなさい!』

ーあ、千代様って、こんな女神でしたね!ー

「はい!しっかり思い出しました!」




『───もし、困った事があれば菊花と千代を呼ぶと良いわ。*****は最終手段よ』



「オールデン様!」


『────呼ぶのが遅かったな。待ちくたびれたぞ』
「すみません!!!」


そこに現れたのは──

髪も瞳も黒色の腹ぐ──なオールデン神様だった。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

番(つがい)と言われても愛せない

黒姫
恋愛
竜人族のつがい召喚で異世界に転移させられた2人の少女達の運命は?

番(つがい)はいりません

にいるず
恋愛
 私の世界には、番(つがい)という厄介なものがあります。私は番というものが大嫌いです。なぜなら私フェロメナ・パーソンズは、番が理由で婚約解消されたからです。私の母も私が幼い頃、番に父をとられ私たちは捨てられました。でもものすごく番を嫌っている私には、特殊な番の体質があったようです。もうかんべんしてください。静かに生きていきたいのですから。そう思っていたのに外見はキラキラの王子様、でも中身は口を開けば毒舌を吐くどうしようもない正真正銘の王太子様が私の周りをうろつき始めました。 本編、王太子視点、元婚約者視点と続きます。約3万字程度です。よろしくお願いします。  

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。 ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの? お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。 ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。 少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。 どうしてくれるのよ。 ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ! 腹立つわ〜。 舞台は独自の世界です。 ご都合主義です。 緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

処理中です...