魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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21 対峙

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『お前達だけは必ず助けるわ。お前達は、幸せになりなさい』



あの時、主様の声を確かに聞いた。
シロがやられて、私にその手が伸びて来た時、しっかりとその声を聞いたのだ。主様が、私達との約束を違える事はなかった。そして、私は主様の魂の一部を貰い受けてこの世界にやって来た。それからは辛い日々が続いたけど、ようやく幸せになれると思っていたのに。
私は、ウィル様よりも前に出る。

「アンバー!?」
「コユキが受け継いだ魂は殆ど消えてしまってるわ。主様の魂を持っているのは私だけだから、私だけで十分でしょう!?」

きっと、モモカが私達を追って来たのは“主様の魂”を私達から奪う為だ。

あの時、主様の復活を恐れて、シロとクロを殺しに来たのだから。あれから、キクカ様達に追い詰められて、自身も姿を変え何とか生き延びた─と言ったところだろうに、未だに執着しているのには驚きだけど。でも、姿が違っていても、その妖力はまだまだ大きい。やっぱり私だけでは敵わない。

「ウィル様、巻き込んでしまってごめんなさい。私をモモカに差し出せば、ウィル様は──」
「差し出すつもりはないからね。差し出そうものなら、俺の命も危なくなるからね」
「危なくなる?」
「それに、俺、そんなに弱くはないから」

確かに。モモカの放つ妖術に全くダメージを食らっていない。将来、魔道騎士団のトップに立つ程の実力があると言うのは、本当の事のようだ。でも──

「これは、私の問題なんです。私が決着をつけないと……」
「とは言っても……申し訳無いけど、魔力無しのアンバーでは無理だ。それに、危険な状況で友達を見捨てるような事は、俺の矜持が赦さない」
「ウィル様………ありがとうございます」

「ふふっ……友情とは……昔も今も素晴らしいものね?その素晴らしい友情のせいで、シロは死んでしまったけど、今回は大丈夫かしら?」

モモカが手を上に上げると、あたり一面が炎に包まれた。

「光属性だけじゃなかったのか!?」

ーあれは、魔法じゃなくて……妖術だー

「なら、勝算はこっちか?」

ウィル様がスッと手を上げると、今度は辺り一面に水が広がっていく。ウィル様は水属性だ。
ウィル様を中心にゆっくり広がっていく水が、モモカが放った火を消して行く。それでも、モモカは焦る事も無く微笑んでいる。

「…………」

あの時もそうだった。あの時の女も、キクカ様達に追い詰められながらも微笑んでいたのだ。

「魔法の水では、私の火は消えないのよ」
「何を───っ!」

水が流れがひいた後から、再び炎が立ち上がって行く。それも、先程よりも勢いを増して。

「くそっ!」

あの火は、魔法の水で消す事はできない。妖術で創り上げられたモノだから。幸いな事に、その火が倒れている他の子達を襲っていない事だ。

ウィル様が更に水魔法で攻撃を仕掛け、それをかわしていくモモカ。

ーウィル様は本当に強い。強いけど……ー

「チョコチョコと鬱陶しいわね」
「くっ!!」
「ウィル様!」

モモカが手を翳すと、ウィル様の周りを炎が包み込んだ。それでも、ウィル様も何とかギリギリ水で自身の体に膜のようなモノを張って防御する事ができたようで、ウィル様が火傷や怪我を負った様子はない。

ー良かったー

でも、炎は衰える事なく燃え続けているから、ウィル様も身動きができない状態だ。

「さぁ、邪魔者は居なくなったわ。アンバー、その魂を今度こそ頂くわ。痛い思いをしたくないのなら、おとなしくしておくことね」
「どうして、そんなにも主様の魂に執着するの?もう主様は居ないのに……」
「そうね、あの女はもう居ないわ。でもね、馬鹿な女でも最高位の妖狐だったから、その小さな魂だけでもどれ程の影響を持っているか分からないから。それに、私の男を取った事も赦せない。だから、完全にこの存在を消さないと気が済まないのよ。お前達も可哀想に。あの馬鹿な女のせいで、お前達は殺されるのだから……」

話し終えると同時に、私の体が炎に包まれた。

「アンバー!!」

必死になってウィル様が名前を呼ぶ。

ー大丈夫ー

久し振りの感覚に、不安よりも懐かしさや温かさを感じるのは、主様の魂が私の中にあるから。

「残念だけど、私にはこの炎は効かないわ」
「ちっ……そのようね………」

私が腕をひと振りすれば、私の周りに青色の火が現れて真っ赤な炎を消し去った。

「私だって妖狐の端くれだから、貴方の炎は効かない」

妖狐は狐火を扱う妖だ。主様の様な燃え上がる炎を操ったり炎で攻撃する事はできないけど、妖術で創り上げられた炎で致命傷を負ったりする事はない。相殺する事はできる。それができなければ、黒狐にはなれなかったから。それができたから、私は黒狐になれた。ある意味、人間を護る為に必要な力だった。

「小さく弱い子狐と言っても、やっぱり黒狐なのね…弱い者いじめは好まないのだけど……癪に障るから、遠慮なくいくわ」
「───っ!!」
「アンバー!!」

モモカが手を振ると、炎の玉が私に向かって飛んで来た。







❋妖狐や黒狐に関しての設定は、独自の設定です❋




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