魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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13 失った記憶

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「黒は不吉だ。黒い生き物など、追い払ってしまえ!」



黒─特に黒色の生き物に対する憎悪が膨らんでくると、クロにも少しずつ影響が出始めた。

キラキラと輝いていた毛並みは光を失い、フワフワしていた毛が抜け落ちていき、走り回る事が好きだった足が重くなり、自由に動く事すら難しくなり、揺らめいていた琥珀色の瞳も光を失い影を落とした。その目さえ、1日閉じている時間が増えていった。

『クロ………』

そのクロに寄り添うのはシロ。大好きな主の元、2匹は人々に幸せを運んでいたけど、それももう随分昔の話となっていた。
今では、数年に一度、シロだけがほんの少しだけの幸せを、ほんの一握りの人に幸せを運ぶだけとなっていた。

黒は不吉だと人々から忌み嫌われ、クロの存在自体が脆くなり、いつ消えてもおかしくない状態になっている。
白は忌み嫌われる事はないが、人々が信じて願う事を忘れつつある為、存在はあれど、力は微々たるものとなっていた。
そんな2匹の主は、なんとかシロとクロの存在を消すまいと、毎日どこかへと足を運んで解決の糸口を探している。





そんなある日、主がシロとクロの元に帰って来ると、その主から衝撃的な話を聞かされる事になった。


『人間の男に恋をしてしまったの』

シロとクロを助ける為に人里に降り立った主は、とある男性と出会い、幾度か顔を合わせるうちに恋心を抱き、相手もまた、主を受け入れたのだと言う。

『それで、**に相談すると、私の**を取り上げてシロとクロに込めれば、お前達は人々の信じる気持ちや願いとは関係無く存在していく事ができるようになると……』
『そんな……それじゃあ……主様は……主様とは………』
『そうね。私は**ではなくなるし、お前達とはもう会えなくなるわ。でも……お前達を失うより良いわ。私は、お前達を失う事が一番怖ろしい事だから。お前達は、私の愛しい子達だから』
『あるじ……さま………』

クロは寝てしまっていて、シロだけが涙をながしながら主に鼻を寄せている。

『クロが目覚めたら、愛していると伝えてちょうだい。お前達も、人々からの柵から抜けて、幸せになりなさい。もし、困った事があれば**と**を呼ぶと良いわ。*****は最終手段よ』

そう言って笑った主を目にしたのは、その時が最後だった。




それから暫くすると、クロは少しずつ元気を取り戻して行った。最初こそ、主に二度と会えないと泣いていたが、大好きなシロが側に居るのだと──それは当たり前ではない幸せな事なのだと、前向きに進んで行く事ができた。

『シロは、ずっと私と一緒に居てくれる?』
『勿論よ。クロも、ずっと私と一緒に居てくれる?』
『勿論!』


そんな幸せな日々は、ある日突然終わりを告げる事となった。



『人間の男なんかに現を抜かすから、命を落とす事になるのよ。ふふっ……』

突然現れた女の手は血まみれで、その手の中に小さな光り輝く石が握られていた。

『ある……じ…さま?』
『コレがまだ分かるのね?そうよ。コレは、お前達の主だった狐の魂よ。意味……分かる?お前達の主だった狐はね、私の男に手を出したのよ。だから……魂を奪ってやったのよ。でもね、お前達は、あの女の魂の一部を引き継いでいるでしょう?それがある限り、あの女がまた現れるかもしれないから……貰いに来たのよ』

主から貰い受けたソレ。ソレが無ければシロもクロも、また存在が脆くなり消えてしまう。2匹と主の約束は、皆幸せになる事。主のソレを、奪われる訳にはいかない。
でも、目の前に居る女がただの人間ではない事も、自分達よりも遥かに力が強いと言う事は明白だった。

でも、シロとクロは精一杯抵抗して攻撃して逃げて──

『遊びは終わりよ』

と、女が手をひと振りすると、クロの足に激痛が走り、その場に勢い良く倒れ込んだ

『───シロ!シロだけでも逃げて!』
『クロ!!』
『大丈夫よ。お前を始末した後、すぐにシロもクロに追い付くようにしてあげるから』

その女がスッとクロに向かって手を翳す。
シロは、そんな女に向かって飛び付き、その勢いのまま女をなぎ倒した。

『ちっ─生意気な子狐が!』
『シロ!!!』
『クロ────クロだけでも………』

クロの目の前で、シロの体が赤く染まって行く。

『あ………シロ………』

ー誰か……助けて……お願い………ー

『**様!お願い、シロを助けて!!』



『ようやく繋がったわ!』
『シロ!クロ!』

そこで光を放ちながら現れたのは、長い黒髪を靡かせた着物を着た女性と、琥珀色に輝く毛並みの3尾の狐だった。








******


「………し…………ろ」

「あっ!アンバー!気が付いた!?」
「───え?し………コユキ?」
「良かった……えっと、すぐにお医者さんを呼んで来るから、このまま動かずに待っててね!」

そう言うと、コユキはバタバタと走って行った。

「………」

ーまだ欠けている処もあるけど、思い出したー

何故黒色で魔力が無いのかも分かった。


私はクロ─黒狐。そして、コユキがシロ─白狐。

を持つ妖狐だ。




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