魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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11 不思議な女の子

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*グウェイン視点*


「グウェイン様、どうしてここに?」
「ウィルが忘れ物をしていたから、届けに来たら……本当に、ウェント家の者達のやり方は酷いな」
「……すみません」
「いやいや、アンバーが謝る事じゃないから。寧ろ、アンバーは被害者だから」

申し訳無さそうに謝るアンバーの頭をポンポンと叩く。

「カリーヌと言う子の事は、俺に任せてくれ。ウェントの思い通りにはさせないから」
「ありがとうございます。カリーヌさんは、唯一私に優しくしてくれた人なんです」
「直ぐに対処するから」

そう言って、俺はウィルに忘れ物を届けた後、直ぐに学校を出て王城へと向かった。




「ウェント家は、本当に予想通りの動きをする典型的な悪だな……」

貴族社会に於いてのウェント伯爵への好感度は高い。
“血の繋がりの無い黒色持ちの魔力無しの無能な者を保護した上、養女として育てている”から。

“態々拾って虐めて金を貰っている”の間違いだろう。

「それに何より、アンバーの黒色は、本当に綺麗な色なのにな…」

ウィルの黒色も、父親兄上と同じ黒色だけど、母親義姉上の銀色を含んでいるからか、光の加減では少し薄い黒色に見えるけど、アンバーの黒色は純粋な黒色だ。初めてアンバーを見た時は、本当に綺麗な黒色の髪だなと思った。生まれた国がウェザリアでなければ、それなりにモテていただろうと思う。

「でもなぁ………」

アンバーに関しては、分からない事や不思議な事があり過ぎる。


『確かに、アンバーには魔力が無い。無いんだけど、魔力が無い事に違和感があるのよ。それと…これもハッキリとしないんだけど、アンバーには獣人の血も入ってるんじゃないかと思うわ。純粋な人間なら、長年あんな仕打ちを受けていて、マトモに身体が機能するとは思えないから』

医術に関してトップクラスのオティリーでさえ、アンバーの身体に関してはハッキリと確認する事ができなかった。

そして、アンバーの出自が不明な事。

記憶を失っているのは仕方無いとしても、どれだけ調べても、ウェント家に拾われる前のアンバーについての情報が一切出て来ない。黒色持ちだから、直ぐに何か情報が手に入るのだろうと思っていたのに、全く出て来ないのだ。

拾われる前のアンバーなんて、どこにも居なかったかのように。

「何とも色々気になる女の子だな……」

何もかも諦めたような目をしていると思えば、周りを見て判断して動いているところもある。か弱く見えるのに、芯はしっかりしていてブレていない。黒色持ちだからと虐げられていたのに、スレているところもない。不思議な女の子。それが、俺がアンバーが気になっている理由だろう。

「………だよな?」

ー取り敢えず、カリーヌと言う使用人の件をサクッと片付けようー




******

「カリーヌさん!」
「アンバー、元気そうで良かった」

アンバーが学校から帰って来る迄に、カリーヌの一件は何事もなく処理を終える事ができた。と言うのも、このカリーヌは蛇の獣人だったようで、俺がウェント家に出向いた時には、自分を拘束しようとしていた奴を蛇の姿で締め上げている所だった。
“蛇”としては大き過ぎるとは思うが、カリーヌ本人が『私は蛇です』と言うのだから……そう言う事にしておこう。
兎に角、そのままそこでウェント伯爵を脅し───話し合って、カリーヌを連れて帰って来た。

「カリーヌも、今日からスペンサー邸ここで過ごす事になった。アンバーの侍女として」
「カリーヌさんが私の侍女!?でも……」
「アンバーは伯爵令嬢だから、侍女が居てもおかしくない。と言うより、今迄居なかった事の方がおかしかったんだ。兎に角、カリーヌ、これから宜しく頼むよ」
「はい。お任せ下さい。アンバー様、これからも宜しくお願いします」
「カリーヌさん……はい。こちらこそ、宜しくお願いします」

はにかむように笑うアンバーは、素直に可愛らしいな─と思った。







「アンバーって、結構人気があるみたいだよ」
「え?」

学校やこの国での生活にも慣れて来た頃、ウィルがふと口にした。

「まだまだこの国の黒色持ちに対する差別意識は強いけど、それが若い世代に行く程軟化しているみたいでね。それに、アンバーは儚げで可愛いから、結構気にしてる令息が多いんだ。ただ、おとなしいし、姉のフランシーヌが在学してるって事もあって、堂々と声をかけられないってだけで、毎日俺やリッカルドにアンバーの事を訊いて来る令息が居るんだ」
「そうか………甘酸っぱいな………まぁ、アンバーにとっては良い事なのかもな。何事も諦めているところがあるから、恋でもすれば───」

ーアンバーも変われるかもしれないー

「…………」
「グウェ───叔父上、無自覚ですか?」
「ん?何がだ?」
「………いえ、何でもありません。父上と叔父上の年の差は10歳でしたか?」
「12歳だが、それがどうした?」
「25歳なら、問題無い範囲ですね?」

と、何故かウィルは愉快そうに笑った。








*ウィルの呟き*


が無自覚な行動なら、静かに見守っている方が良いだろう。でも──


「面白そうだから、父上と母上には報告しておこう」




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