魔力無しの黒色持ちの私だけど、(色んな意味で)きっちりお返しさせていただきます。

みん

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*フランシーヌ視点*


「あの黒色持ちが、留学生のお世話をするって、どう言う事なの!?」
「フランシーヌ、落ち着きなさい」
「お父様、落ち着けるわけないじゃない!だって!留学生のお世話をするって事は、リッカルド殿下と接点ができるって事でしょう!?」

黒色持ちで魔力無しの無能なアンバー。アレが私の妹だと思うだけで腹立たしいのに。それなのに、本物の伯爵令嬢である私を差し置いて、偽物のあの子がリッカルド殿下と──

「これは、国王陛下の意向でもあるんだ。陛下は、黒色持ちの待遇を良くしようとされているから、今回の件は陛下にとっては願ってもない流れなんだ。私達がこれ以上反対したり、陛下に対して不敬どころか反逆と見做される可能性がある。だから、今回の件は、おとなしく受け入れるしかない」
「なっ………」
「それと、その留学生の家から連絡があって、治療をした後、そのままその家でアレを預かるそうだ」
「預かる?」
「この国にまだ不慣れだから、一緒に過ごした方が助かるんだそうだ。だから、アレは暫くはウチには帰って来ない。この話はこれで終わりだ」
「………」

お父様はそう言うと、今居る部屋から出て行った。
正直、アレがここに帰って来ないと言う事は嬉しい。嬉しいけど……。その留学生も黒色持ちだそうだけど、留学できる程の財力があり、その上、将来は魔道騎士団のトップに立てるだろう─と言われている程の実力者。そんな人のお世話に能無しのアンバーが付く事が許せない。

「有り得ない!有り得ない!」

私と入れ違いで学校を卒業した王太子殿下には、既に公爵令嬢のベレニス様と言う婚約者が居たから、私がどうこうできる事もなかったけど、第二王子のリッカルド殿下は違う。未だに婚約者も居ない。年下ではあるけど、そうは見えない程の容姿をしている。表立っては言えないけど、王太子殿下よりもリッカルド殿下の方がしっかりしている─と言われている。だから、何としてでもリッカルド殿下に近付きたかったのに。

私は、伯爵令嬢で公爵や侯爵令嬢ではないけど、容姿には自信がある。デビュダントもまだだけど、“あの花が誰を選ぶのか”“あの花に選ばれた者は幸せ者だ”と言われているのも知っている。

「そんな私を差し置いて、あの女が───ふふっ…」

そうよ。一緒に居られるのも最初だけよ。黒色は置いておいても、結局は魔力無しの能無しに変わりはない。それに、アレは使用人としての能力は多少あるかもしれないけど、貴族としての知識は最低限以下のレベルだろうから、きっと直ぐに呆れられて捨てられる。

「ふふっ…その、捨てられた時のあの子の顔を見るのが楽しみだわ……ふふっ…………」

ー一体どれだけもつのか……それ迄、せいぜい頑張れば良いわー





******


「ねぇ……本当の本当に、これで全部なの?」
「はい。これで全部です」
「そう……………私、ちょっと用を思い出したから出て行くけど、アンバーは……すぐ終わるでしょうけど、その荷物を好きな様に片付けておいて…」
「はい」

そう言って、私を診察してくれた医者オティリーさんは綺麗な笑顔で部屋から出て行った。

スペンサー様の邸に来た2日後。
オティリーさんが、ウェント伯爵家から私の荷物を持って来てくれた──のは良かったけど、あまりの少なさに驚いていた。荷物を纏めてくれたのがカリーヌさんだったようで、荷物も何一つ欠ける事なく入っていた。本当に、荷物は少ない。鞄一つで事足りている。
部屋にある小さなクローゼットでも余裕があった。アクセサリーなんて一つも持っていなかったし、靴も履いている物しかなかった。

「って、思い返してるうちに、片付けが終わっちゃった」

いや、そもそも片付けると言うレベルでもなかった。

「今からどうしよう?」

いつもなら、休憩する間もなく動き回っていたけど、暫くの間は体を休めるように言われているし、自分勝手に部屋を出て歩き回るのも良くないだろう。

トントン

「ウィルだけど、入っても良いかな?」
「あ、はい、勿論です!」

扉を開けて入って来たのは、スペンサー様と侍女らしき女の人だった。

「ウェントから荷物が届いたと聞いてね。片付けの手伝いをと思った……んだけど…あれ?まだ届いてなかった?」
「ちゃんと届きました。本当に、手配していただいてありがとうございました」
「え?でも………荷物がないよね?ついさっき届いたって……」
「鞄一つ分も無かったので、片付けも終わりました」
「「…………」」
「オフェリー……」
「承知しました」

スペンサー様と侍女らしき人は少しの沈黙の後、一言交わしてから、侍女らしき人はまた部屋から出て行った。

「あの……」
「うん。気にしなくて良いよ。また後で紹介するけど、さっきの彼女はオフェリー。この邸に居る間、アンバーの世話をしてもらうから。それと、これからは気軽に“ウィル”と呼んでくれ。同級生だし、俺は堅苦しいのが好きではないから」
「えっと?はい?え?うん???」

ー何だか、色々と展開が早くないですか?ー







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