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2 無いものばかり
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勿論、国としてちゃんと保護して世話をしているかを定期的に確認しに来ているけど、私の扱いを伯爵は上手く隠している。
普段は使用人扱いされているけど、最低限のマナーレッスンや勉強はさせられているし、食事も1日1食か2食は与えられているから、やせ過ぎている事もない。その為、国から派遣された調査員からすれば、ちゃんと世話をされている様に見えるようだ。
ただただ、その調査員が来る時だけ、私が伯爵令嬢として存在する事ができる時であり、その時以外はただの使用人扱いで、服も使用人用で、デビュダントの歳を迎えていないからドレスは持っていない。部屋も使用人達と同じ─以下の屋根裏部屋で、小さい天窓と最低限の家具があるだけ。
辛いなら、調査員に助けを求めれば?
求めようとする前にそれがバレて、ムチで打たれた後部屋に閉じ込められて、『体調を崩して寝ている』事にされた。調査員は調査員で、その伯爵の言葉を信じ、私の姿を確認する事なく帰って行った。そして、それから1ヶ月程の間、私がまた行動を起こさないように─と色々と躾けられた。
そうするともう、それ以上抵抗する気にはなれなくなった。
抵抗したところで、調査員も真摯に対応してくれるとは思えなかったから─と言う事もある。
それに……何故か、私はこの黒色を疎ましく思っていないと言う事もある。この黒色のせいで酷い扱いをされているのに、この黒色が嫌いではないのだ。寧ろ─
「ダメダメ!そんな事より急いで洗濯しないと、昼食に間に合わないわ」
と、私は気持ちを切り替えて、また裏庭へと走り出した。
******
結局、今日は午前中に洗濯が終わらず、昼食を食べる事ができなかった。
「アンバーは、不吉な色の上に能無しの役立たずよね」
「………」
“能無し”とは、私の場合は“魔力が無い”と言う事だ。
この世界には魔法がある。人によって、持っている魔力に強い弱い、多い少ないはあるけど、殆どの人が魔力を持って生まれて来るのに、私にはその魔力すら無かった。平民でも魔力があり、貴族ともなれば当たり前のように魔力を持っている。
私は、不吉な黒色持ちの魔力無し。それ故に、私は捨てられたのだろうと思う。
「黒色持ちで、魔力無しだから捨てられたんだろう?お父様に拾ってもらった事に感謝しないとな?お前みたいな奴でも伯爵令嬢になれて、美味しいご飯が食べられるんだからな」
「………」
ー何が伯爵令嬢なのかー
伯爵令嬢としてどころか、家族として扱ってくれた事などないのに。
唯一、夕食だけは私も一緒に食べる事を義務付けられている。だから、朝食や昼食が食べられなくても夕食は必ず食べられるから良いけど、家族一緒に食事をしなければいけないのが苦痛だ。毎回食事をする度に、貶されるのだから、美味しい食事も美味しく感じられなくなる。
「本当の親の顔どころか、記憶も無いなんて…本当に不吉の塊よね」
「………」
私には、伯爵に拾われる前の記憶がない。伯爵に拾われてからの記憶しかない。
黒色持ちの魔力無しの記憶無し
待遇はどうあれ、こんな私を拾って伯爵家の籍に入れてくれた事は有り難いと思っている。でなければ、私はとっくの昔に死んでいただろうから。例え、私を拾ってくれた理由が補助金目当てだったとしても。
それに、黒色持ちの私でも、成人すれば国が斡旋してくれる職に就く事ができる。黒色持ちや魔力無しが差別される事がないように、国が後ろ盾となり働く場所を提供してくれるのだ。そうすれば、私もここから出る事ができる。だから、それまで耐えていれば良い。
基本的な貴族は、ある程度家に家庭教師を付けて最低限の教養を身に付け、16歳から18歳の3年間学校に通い、卒業と同時に成人を迎える。
私も15歳で、来年は入学できる年齢になる。学校には行けるだろう。国から補助金を受けているのに、学校に行かない─となると、補助金が減らされたり、最悪打ち切られたりする事があるから。
学校に行けば行ったで、黒色持ちだと虐げられるかもしれないけど、私としては、やっぱり学校には通いたい。もっと、色んな世界を見てみたい。
「フランシーヌ、学校はどう?」
「学校は楽しいわ。それに、来年は第二王子のリッカルド殿下がご入学されるから、今から学校中がざわついているわ」
フランシーヌは私の一つ年上で、今年から学校に通っている。ちなみに、王太子殿下が入れ替わるように卒業だったようで、フランシーヌが残念がっていた。
「第二王子殿下の入学と同じ年に…まさかの黒色持ちが…だなんて……縁起が悪いと思わない?お父様」
「フランシーヌ、そんな事を言ってはいけないよ。黒色持ちだとしても、勉強をする権利があるのだからね。ただ…体が不自由にでもなれば、学校に通う事はできなくなるだろうけど」
「─────っ!」
普段は使用人扱いされているけど、最低限のマナーレッスンや勉強はさせられているし、食事も1日1食か2食は与えられているから、やせ過ぎている事もない。その為、国から派遣された調査員からすれば、ちゃんと世話をされている様に見えるようだ。
ただただ、その調査員が来る時だけ、私が伯爵令嬢として存在する事ができる時であり、その時以外はただの使用人扱いで、服も使用人用で、デビュダントの歳を迎えていないからドレスは持っていない。部屋も使用人達と同じ─以下の屋根裏部屋で、小さい天窓と最低限の家具があるだけ。
辛いなら、調査員に助けを求めれば?
求めようとする前にそれがバレて、ムチで打たれた後部屋に閉じ込められて、『体調を崩して寝ている』事にされた。調査員は調査員で、その伯爵の言葉を信じ、私の姿を確認する事なく帰って行った。そして、それから1ヶ月程の間、私がまた行動を起こさないように─と色々と躾けられた。
そうするともう、それ以上抵抗する気にはなれなくなった。
抵抗したところで、調査員も真摯に対応してくれるとは思えなかったから─と言う事もある。
それに……何故か、私はこの黒色を疎ましく思っていないと言う事もある。この黒色のせいで酷い扱いをされているのに、この黒色が嫌いではないのだ。寧ろ─
「ダメダメ!そんな事より急いで洗濯しないと、昼食に間に合わないわ」
と、私は気持ちを切り替えて、また裏庭へと走り出した。
******
結局、今日は午前中に洗濯が終わらず、昼食を食べる事ができなかった。
「アンバーは、不吉な色の上に能無しの役立たずよね」
「………」
“能無し”とは、私の場合は“魔力が無い”と言う事だ。
この世界には魔法がある。人によって、持っている魔力に強い弱い、多い少ないはあるけど、殆どの人が魔力を持って生まれて来るのに、私にはその魔力すら無かった。平民でも魔力があり、貴族ともなれば当たり前のように魔力を持っている。
私は、不吉な黒色持ちの魔力無し。それ故に、私は捨てられたのだろうと思う。
「黒色持ちで、魔力無しだから捨てられたんだろう?お父様に拾ってもらった事に感謝しないとな?お前みたいな奴でも伯爵令嬢になれて、美味しいご飯が食べられるんだからな」
「………」
ー何が伯爵令嬢なのかー
伯爵令嬢としてどころか、家族として扱ってくれた事などないのに。
唯一、夕食だけは私も一緒に食べる事を義務付けられている。だから、朝食や昼食が食べられなくても夕食は必ず食べられるから良いけど、家族一緒に食事をしなければいけないのが苦痛だ。毎回食事をする度に、貶されるのだから、美味しい食事も美味しく感じられなくなる。
「本当の親の顔どころか、記憶も無いなんて…本当に不吉の塊よね」
「………」
私には、伯爵に拾われる前の記憶がない。伯爵に拾われてからの記憶しかない。
黒色持ちの魔力無しの記憶無し
待遇はどうあれ、こんな私を拾って伯爵家の籍に入れてくれた事は有り難いと思っている。でなければ、私はとっくの昔に死んでいただろうから。例え、私を拾ってくれた理由が補助金目当てだったとしても。
それに、黒色持ちの私でも、成人すれば国が斡旋してくれる職に就く事ができる。黒色持ちや魔力無しが差別される事がないように、国が後ろ盾となり働く場所を提供してくれるのだ。そうすれば、私もここから出る事ができる。だから、それまで耐えていれば良い。
基本的な貴族は、ある程度家に家庭教師を付けて最低限の教養を身に付け、16歳から18歳の3年間学校に通い、卒業と同時に成人を迎える。
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学校に行けば行ったで、黒色持ちだと虐げられるかもしれないけど、私としては、やっぱり学校には通いたい。もっと、色んな世界を見てみたい。
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「学校は楽しいわ。それに、来年は第二王子のリッカルド殿下がご入学されるから、今から学校中がざわついているわ」
フランシーヌは私の一つ年上で、今年から学校に通っている。ちなみに、王太子殿下が入れ替わるように卒業だったようで、フランシーヌが残念がっていた。
「第二王子殿下の入学と同じ年に…まさかの黒色持ちが…だなんて……縁起が悪いと思わない?お父様」
「フランシーヌ、そんな事を言ってはいけないよ。黒色持ちだとしても、勉強をする権利があるのだからね。ただ…体が不自由にでもなれば、学校に通う事はできなくなるだろうけど」
「─────っ!」
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