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第四章ー王都ー
小さな…
しおりを挟む『これ、クッキーのお礼。あの時、ハル殿からクッキーをもらった5人から。王都では結構有名で評判の良いお店のなんだ。ハル殿の作ったクッキーも美味しかったけど、これも美味しいと思うから、食べてみてくれ。』
そう言って、オーブリー様達からもらったお菓子。本当に美味しかったんです!また食べたいな─なんて思ったりしてたから、また食べれると思うと楽しみだ。
ただ、お店の名前しか分からなかったので、どうしようかと思ったけど、そのお店は本当に有名だったようで、歩いている人に訊くと、直ぐに場所が判った。しかも、店内でケーキなども食べられると言う事で、店内で食べる事にした。
「このケーキ、美味しいですねー!」
「これも美味しいよ!一口食べてみる?」
「じゃあ、皆で一口ずついっちゃいましょう!」
ーあぁ…こう言う高校生みたいなノリ、懐かしいなぁー
王城に居た頃は、『モブだし…』と思って引き籠ってたけど…こうやって、誰かとお出掛けしたりお茶したりするのは、やっぱり楽しい。
「いらっしゃいませ。」
「2人なんだけど、席は空いてる?」
「すみません。今は満席で…。少しお待ちいただけますか?」
丁度、3人ともがケーキを食べ終った頃、そんなやりとりの声が聞こえて来た。私がルナさんとリディさんを見ると、2人ともが頷いたので─
「あのー、私達、丁度食べ終ったので、良かったらこちらの席にどうぞ…って…えっ!?」
「えっ!?」
店員さんに声を掛けながら振り返ると…オーブリー様が居た。
「お客様、ありがとうございます。では、ご用意致しますので、少しお待ち下さい。」
「え?えっとー…ルディ…さん?」
オーブリー様もビックリしている。
「…はい…。」
えっと…私の記憶違いでなければ、あの時私は挨拶をしたけど、オーブリー様からはされてなかった…筈。だから、私からオーブリー様の名は呼べないし、話し掛けなくても良い…よね?と思い、ルナさん達の方に振り返り
「ルナさん、リディさん、行きましょうか。」
「「はい。」」
オーブリー様の横を通り過ぎる時にチラリと見ると、どうやらデート?だったようで、可愛らしい女の人と一緒だった。
ー流石は騎士様。彼女も可愛いんだなぁー
「…あっ…」
と、オーブリー様の声が聞こえたような気もしたけど、私達3人はそのまま店を出た。
「まさか、いきなり遭遇するとは思わなかった…」
只今、パルヴァン邸の自室で項垂れ中です。
「本当に。まさかオーブリー様と会うとは思いませんでしたね。」
あれから私達は、そのままパルヴァン邸迄帰って来たのだ。
「明日からは…どうされますか?」
ルナさんが、少し心配そうな顔をして訊いてくる。
「うーん…取り敢えず、明日は邸に籠ります。」
ーフジさん、『街で偶然会っちゃった☆』って、本当にありましたー
「はーぁ…やっぱり王城に行って、国王陛下に謁見するのは疲れるなぁ…。」
夕食を食べ始めた時に、レオン様が苦笑しながら言う。
「でも、着飾ったリーナを堪能できるから、嫌でも疲れてでも頑張れるけどね。」
と、ニッコリ微笑むレオン様。
ーえ?何?まだ食べ始めたばっかりだけど、私、消えた方が良いの?ー
チラリとルナさんとリディさんを見ると…目を反らされた。
ーえー!?それ、裏切りじゃない!?ー
と、内心焦っていると
「レオン様、堪能するのは食後、お部屋に戻ってからにしていただきましょうか?」
と、ロンさんが、レオン様に負けない位の笑顔で言い放った。
「…ロンは…相変わらずだね…。」
ーえ?何?ロンさんの方が恐いんですけど!?ー
ルナさんリディさんは…顔が引き攣っている─のは、見なかった事にしよう!
ーあれ?ー
ふと、違和感を感じた。ただ、この場では口を開く事が怖かったので、後で確認しよう!と思い、いつもより早く夕食を食べた。
食後、少し勇気を振り絞り、部屋に下がる前にカテリーナ様に声を掛け、私の部屋に来てもらった。
レオン様の目が笑ってなかった…なんて事は気のせいにしておく。
「やっぱり…。と言うか…カテリーナ様は気付いてなかったんですか!?」
「え…えぇ…本当に…全く気付いてなかったわ…」
私とルナさんとリディさんは勿論の事、カテリーナ様本人が気付いていないとは…本当に驚きである。
「まぁ…体調に変化がないようですから…分からなかったとしても仕方がない…事なのかなぁ?私も経験が無いので分かりませんが…。ただ、まだ安定期には入ってないと思うので、体調が良くても無理はしないで下さいね。この事は…カテリーナ様からレオン様に直接伝えますか?」
そう、私が感じた“違和感”は、カテリーナ様に対してだった。何となくだけど、カテリーナ様から、カテリーナ様とは違う雰囲気?オーラ?みたいな物が感じられたのだ。もしかして…?と思って、カテリーナ様をジッと視てみたら…お腹の中に…
小さな小さな命が宿っていたのだ。
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