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神に選ばれた家
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王様に帝国へグリフォンを届けたことを伝え、皇帝の友の証として記章を貰ったと伝えたところ考えていた以上の効果が出たと喜んでいた。
皇帝陛下が調教スキルを持っていることは知らず、グリフォンを聖獣に指定してる帝国なら気に入ってくれるだろう程度のことしか考えてなかったと言ってたが本当なのか怪しい。あの王様なら全て知っててもおかしくない。
帰宅の挨拶を両親にしたところ、父が火属性の初級魔法を使えるようになっていた。水の精霊が言うように魔力があれば魔法は使えるようだ。俺も早く使えるようになりたい。
「しかし、これは困りましたね」
俺は父が魔法を使えるようになって普通に喜んでたのだが、母が真剣な顔してそんなことを言った。
困るとは?
「誰でも魔法が使えるようになるのは良いことなのではないですか?」
「誰にでもなのが問題なのです。例えば盗賊でも習いさえすれば使えるでは」
確かに悪い奴らも習えば使えるようになるのは不味いか。
町の喧嘩で魔法の撃ち合いとかやり始めたら大変だし、選別は必要だな。
「それは良くないですね」
「それから気になる事が幾つか出て来ました」
「気になることですか?」
「この国には必ず魔法スキルを持って産まれると言われる家2つ、他国にも必ず聖魔法を持って産まれる家などが有ります。彼等は神に選ばれた血族と自称して居るのですが…」
子供に親のスキルが引き継がれることは1つの例外を抜かしてないと言われている。
その例外が神に選ばれた血族で有る。聖魔法の家は神の血を引くとも言われていてそこの娘は聖女となるそうだ。
「訓練によって習得した魔法をスキルを手に入れて使えるようになったと偽っている可能性が有ると」
「この国にある2つの家に限ればその可能性は高いでしょうね。彼等はスキルを持っている魔法使いと比べてそれほど威力が高くない。それがスキルで手に入れた魔法の能力と訓練で身に付けた魔法の違いだとしたら納得できます」
「訓練で身に付けた魔法はスキルによって手に入れた魔法よりも威力が劣る?」
「私や私の友人は彼等に負けた事がありませんから」
母の推測では、魔法に関するスキルを手に入れた時に魔力が増加される可能性が高いそうだ。
魔力の量はそんな簡単に増えたりしないので、スキルによる補正を得られない神に選ばれた血族たちが使う魔法はそこまで強くはない。
代々魔法を使えるが他より優れているわけではないのでこの国ではそんなに重宝もされないそうだ。
「優れた血を外に出したくないと言って近親婚をしているのも、魔法の訓練方法を外部に漏らしたくなかったからなのかも知れませんね」
「他国に有る聖魔法を使う家もそうなのでしょうか?」
「そうかも知れないですし違うかも知れません」
他国の事だからな、母もよく知らないのか。
*
父が王城に行くより王が来るのを待って話すことになった。
俺が居ない間も何度か来て庭で寛いでいたそうなのでそのうち来るだろうと言っていた。
王の気に入った庭があるということで話題になり、自宅で色彩鯉を飼おうと考えた人も出てきたそうで繁殖予定地なども含めて計画の見直しがされたと商家の子から聞かされた。
元々住んでいた湖に色彩鯉は居ないので彼女の家からでしか買えなくなったからな。
「近くの村に頼んで繁殖させるつもりだったのだけれど、治安の問題で取りやめになって旧市街で繁殖させることになったのよ」
「王都で繁殖させるの?」
「貴方の家に鯉目当てで忍び込む連中が何回か捕まったって話を聞いて村では対応出来ないなって」
「俺のうち? 父たちは何も言ってなかったけど」
「王都のドゥーンハルト家じゃないわ、領都の貴方の家よ」
「そっちか。まぁ、そこそこあったな」
「先に言って欲しかったわ、貴族の家に盗みに入るくらい欲しがる人が居るなんて考えてなかったもの」
旧市街地に入場料を取って色彩鯉を見せる施設を作るそうだ。繁殖もそこで行うようで多めに土地を買って近々上の建物を建物を取り壊す予定なんだとか。
今は空き家に住み着いてる連中を追い出してる最中らしい。
「旧市街は旧市街で治安悪いように思えるけど、大丈夫なの?」
「壁の中だからマシよ、盗賊や盗賊のフリした連中に村ごと襲われるなんて心配はしなくて良いし」
旧市街を仕切ってるつもりの連中ってそんなに強くないしな。
魔物にも対応しなければならない盗賊や山賊に比べたら所詮は人相手だし、生き物を殺すことにもそんなに慣れてないから怪我をさせるくらいで殺したりしない。
彼女の父は行商で何人か殺してるらしいし、雰囲気だけの連中は怖くないのかも知れないな。
「手伝おうか?」
「あら良いの?」
「空き家を全部貰えるなら無料で良いよ」
「父に話してみるわ」
数日後に住み着いてる人間ごと収納した。
家として使える物は3つ、ただし住み着いていた連中が汚したので清掃の必要がある。
その他の住めなそうな家や大量の瓦礫は家の補強や修理に使おう。
「疲れた」
「お腹すいた」
「何か食べさせてよ…」
「まだ30分も経ってないだろ、そんなに体力ないのか?」
草原に出かけて家や瓦礫を出し、家と一緒に収納した連中に掃除させている。
開けた穴に家の中のゴミやら瓦礫の中でも使えなさそうなものを捨てさせている。
作業をしたら金を払う約束でやらせているのだがなかなか進まない。
「そんなに食ってないのか?」
「3日くらい水だけ」
仕方がないのでパン粥を出して食べさせた。
ある程度体力つけさせてからじゃないと無理か。
彼等の面倒を見ながら作業させるより冒険者辺りに頼んだ方が早いかな。
皇帝陛下が調教スキルを持っていることは知らず、グリフォンを聖獣に指定してる帝国なら気に入ってくれるだろう程度のことしか考えてなかったと言ってたが本当なのか怪しい。あの王様なら全て知っててもおかしくない。
帰宅の挨拶を両親にしたところ、父が火属性の初級魔法を使えるようになっていた。水の精霊が言うように魔力があれば魔法は使えるようだ。俺も早く使えるようになりたい。
「しかし、これは困りましたね」
俺は父が魔法を使えるようになって普通に喜んでたのだが、母が真剣な顔してそんなことを言った。
困るとは?
「誰でも魔法が使えるようになるのは良いことなのではないですか?」
「誰にでもなのが問題なのです。例えば盗賊でも習いさえすれば使えるでは」
確かに悪い奴らも習えば使えるようになるのは不味いか。
町の喧嘩で魔法の撃ち合いとかやり始めたら大変だし、選別は必要だな。
「それは良くないですね」
「それから気になる事が幾つか出て来ました」
「気になることですか?」
「この国には必ず魔法スキルを持って産まれると言われる家2つ、他国にも必ず聖魔法を持って産まれる家などが有ります。彼等は神に選ばれた血族と自称して居るのですが…」
子供に親のスキルが引き継がれることは1つの例外を抜かしてないと言われている。
その例外が神に選ばれた血族で有る。聖魔法の家は神の血を引くとも言われていてそこの娘は聖女となるそうだ。
「訓練によって習得した魔法をスキルを手に入れて使えるようになったと偽っている可能性が有ると」
「この国にある2つの家に限ればその可能性は高いでしょうね。彼等はスキルを持っている魔法使いと比べてそれほど威力が高くない。それがスキルで手に入れた魔法の能力と訓練で身に付けた魔法の違いだとしたら納得できます」
「訓練で身に付けた魔法はスキルによって手に入れた魔法よりも威力が劣る?」
「私や私の友人は彼等に負けた事がありませんから」
母の推測では、魔法に関するスキルを手に入れた時に魔力が増加される可能性が高いそうだ。
魔力の量はそんな簡単に増えたりしないので、スキルによる補正を得られない神に選ばれた血族たちが使う魔法はそこまで強くはない。
代々魔法を使えるが他より優れているわけではないのでこの国ではそんなに重宝もされないそうだ。
「優れた血を外に出したくないと言って近親婚をしているのも、魔法の訓練方法を外部に漏らしたくなかったからなのかも知れませんね」
「他国に有る聖魔法を使う家もそうなのでしょうか?」
「そうかも知れないですし違うかも知れません」
他国の事だからな、母もよく知らないのか。
*
父が王城に行くより王が来るのを待って話すことになった。
俺が居ない間も何度か来て庭で寛いでいたそうなのでそのうち来るだろうと言っていた。
王の気に入った庭があるということで話題になり、自宅で色彩鯉を飼おうと考えた人も出てきたそうで繁殖予定地なども含めて計画の見直しがされたと商家の子から聞かされた。
元々住んでいた湖に色彩鯉は居ないので彼女の家からでしか買えなくなったからな。
「近くの村に頼んで繁殖させるつもりだったのだけれど、治安の問題で取りやめになって旧市街で繁殖させることになったのよ」
「王都で繁殖させるの?」
「貴方の家に鯉目当てで忍び込む連中が何回か捕まったって話を聞いて村では対応出来ないなって」
「俺のうち? 父たちは何も言ってなかったけど」
「王都のドゥーンハルト家じゃないわ、領都の貴方の家よ」
「そっちか。まぁ、そこそこあったな」
「先に言って欲しかったわ、貴族の家に盗みに入るくらい欲しがる人が居るなんて考えてなかったもの」
旧市街地に入場料を取って色彩鯉を見せる施設を作るそうだ。繁殖もそこで行うようで多めに土地を買って近々上の建物を建物を取り壊す予定なんだとか。
今は空き家に住み着いてる連中を追い出してる最中らしい。
「旧市街は旧市街で治安悪いように思えるけど、大丈夫なの?」
「壁の中だからマシよ、盗賊や盗賊のフリした連中に村ごと襲われるなんて心配はしなくて良いし」
旧市街を仕切ってるつもりの連中ってそんなに強くないしな。
魔物にも対応しなければならない盗賊や山賊に比べたら所詮は人相手だし、生き物を殺すことにもそんなに慣れてないから怪我をさせるくらいで殺したりしない。
彼女の父は行商で何人か殺してるらしいし、雰囲気だけの連中は怖くないのかも知れないな。
「手伝おうか?」
「あら良いの?」
「空き家を全部貰えるなら無料で良いよ」
「父に話してみるわ」
数日後に住み着いてる人間ごと収納した。
家として使える物は3つ、ただし住み着いていた連中が汚したので清掃の必要がある。
その他の住めなそうな家や大量の瓦礫は家の補強や修理に使おう。
「疲れた」
「お腹すいた」
「何か食べさせてよ…」
「まだ30分も経ってないだろ、そんなに体力ないのか?」
草原に出かけて家や瓦礫を出し、家と一緒に収納した連中に掃除させている。
開けた穴に家の中のゴミやら瓦礫の中でも使えなさそうなものを捨てさせている。
作業をしたら金を払う約束でやらせているのだがなかなか進まない。
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