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調査
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「どうだ」
「訓練で身に付けた物だそうです。本当のスキルは早駆けみたいですね」
「早駆けか。それなりに使えるものだな」
「では予定通りに」
「ああ」
お付きの人に指示された騎士が自称神に選ばれた血族の当主を連れて行く。
彼は別室で尋問されることになる。
「問題はこの後か」
「今日に限って到着が遅れているのが気になりますね」
この国に有る神に選ばれた血族はもう1つある。
そちらは侯爵家なので先程連れて行かれた子爵家当主よりも気を使う必要があり、舞踏会終了後に王様が直々に部屋へ連れて行く予定だ。
だが、その家はまだ到着していない。
この計画は誰が聞いているのかわからない城ではなく、水の精霊が魔法で外に声が漏れないようにしたうちの庭で話しているので予め知るのは難しいと思うのだけれど。
「城の部屋を用意したのは昨日ですよね」
「ああ」
「その時に誰を迎えるかも言いましたか?」
「爵位だけで家名までは出してないな」
王が挨拶をされている間にお付きの人と話した。
「そこから推測した可能性も有るのでしょうか?」
「合わせて200以上は有る家からこの組み合わせを見つけるのは無理だろう」
「それもそうですね」
たまたまか?
あるいは知られていないなにかがあるとか?
「人に気が付かれないスキルや人を操るスキルなんて有るのでしょうか?」
「そう言ったスキルは有るが国に取り込まれるか処理されるな。…それらのスキルを魔法として使えるようにしてるかも知れないと考えたのか?」
「可能性も有るかなと」
「なんとも言えないな。我らはこの前まで訓練で魔法を身に付けられると知らなかったのだからな」
「侯爵家はその手のことを調べていたのでしょうか」
「それは調べるだろうな」
「ですよね」
処理したと偽って監禁し、魔法化の実験をしていたとしてもそんなには驚かないな。
王様や領主様が訓練で魔法を身に付けられると知っていたならそれくらいやるだろうし、会ったことはないが侯爵なんて高い位に居る人ならやはりやるだろう。
口には出さないが、王様は訓練次第で収納魔法を手に入れられるか考えているはずだ。
中に入れた人のスキルを手に入れられると知ったら必ず手に入れて王家で秘匿、ついでに俺は処分される可能性もなくもない。
人を操るスキルは有ると言っていたし見つけたら国が取り込んでるとも言っていた、今居ると言わなかったが居ないとも限らない。
絶対知られないようにしなくてはならないな。
「来たぞ」
「はい」
色々と考えてる間に問題の侯爵家当主が現れたと思ったのだが、話を聞いている感じでは違うようだ。
領地から王都へ向かってる途中、当主の乗った馬車が魔物に襲われて当主本人が怪我をしたので引き返し次期当主で有る息子の彼が代わりにやってきたのだとか。
たまたまか?
収納庫の中に居る水の精霊が言うには魔法のスキルを持っているが訓練して出来るようになった物はないそうだ。
運良く魔法関連のスキルを手に入れたから訓練しなかったのだろうか?
でも、使える魔法が増えると知ったら多くの魔法使いは訓練して新しい魔法を身につけるだろうと母は言っていたしな。
それとも、本当に魔法関連のスキルだけが手に入る家の可能性も?
王に侯爵家跡取りの話をする。
推測は言わず結果だけ。
王は納得出来なかったようで、あの男は本当の息子ではない可能性も有ると言い始めた。
「魔法関連のスキルを授かった子供を自分の子として育てるとかな」
「貴族の家に生まれたならともかく平民はスキルを手にする儀式をしない家も有りますし、そう簡単にはわからないのでは?」
俺の生まれた村には儀式をする教会が無かったから街で生まれた人たちよりも数年遅れて行ったし。
「お前のとこよりも先にスキルを活用することにしたのかもな」
領主様がやりはじめたことを先にか。
それは有るかもしれないが、侯爵家が周りに気が付かれず出来ることなのか?
「でも、手に入れた子供を次期当主にする物なのですか? 血の繋がった自分の子供に跡を継がせたいと思う物なのでは?」
貴族や商家とはそう言う物だと考えてたんだが。
*
後日分かったことは、次期当主としてやってきた男は本当の息子では無かった。
後妻の連れ子で魔法関連のスキルを持っているものの血が繋がらないので当主候補に含まれなかったらしく、それが不満で色々とやったらしい。
侯爵家の血が流れている人間で残されたのは彼の母と侯爵の間に産まれた4歳の娘だけ。
魔法の訓練法などはその男が処分したとのことで何も残っていなかった。
魔法関係のスキルを持っている自分が血の繋がりがないことを理由に跡継ぎにされないことが不満で行動を起こしたそうだが、血の繋がりが無いのに貴族家の跡継ぎになれると考えるほうがどうかしている。
子爵家の方には代々引き継がれてきた魔法の訓練法が書かれた書物が有り、その中には気配を消す物や人を魅了するなども含まれていた。
現在の当主はそれらの訓練をしたことがないと言っているが、身に付かなかっただけの可能性もある。
子爵は全ての資料を没収、親族だけでなく使用人なども監禁や処分された。
これまで隠し続けていた家を信用出来ないと言うことだった。
友人関係である事を利用して皇帝陛下へ報告しに行かされた。
皇帝陛下は魔法が使える事を隠している貴族が居る可能性もあるなと言っていた。
彼等は見えない武器を所持して私の前に来ることが出来るのだと。
目の前に居る俺も似たような物だが特に何も言われなかった。
帝国の宮殿に池を作らされ、後日色彩鯉を持ってくる約束もさせられてから帰った。
代わりに貰った鉢植えを王様に見せたら凄く喜んでいた。まだ収納の中にあるので自分でも栽培してみようかな。
「訓練で身に付けた物だそうです。本当のスキルは早駆けみたいですね」
「早駆けか。それなりに使えるものだな」
「では予定通りに」
「ああ」
お付きの人に指示された騎士が自称神に選ばれた血族の当主を連れて行く。
彼は別室で尋問されることになる。
「問題はこの後か」
「今日に限って到着が遅れているのが気になりますね」
この国に有る神に選ばれた血族はもう1つある。
そちらは侯爵家なので先程連れて行かれた子爵家当主よりも気を使う必要があり、舞踏会終了後に王様が直々に部屋へ連れて行く予定だ。
だが、その家はまだ到着していない。
この計画は誰が聞いているのかわからない城ではなく、水の精霊が魔法で外に声が漏れないようにしたうちの庭で話しているので予め知るのは難しいと思うのだけれど。
「城の部屋を用意したのは昨日ですよね」
「ああ」
「その時に誰を迎えるかも言いましたか?」
「爵位だけで家名までは出してないな」
王が挨拶をされている間にお付きの人と話した。
「そこから推測した可能性も有るのでしょうか?」
「合わせて200以上は有る家からこの組み合わせを見つけるのは無理だろう」
「それもそうですね」
たまたまか?
あるいは知られていないなにかがあるとか?
「人に気が付かれないスキルや人を操るスキルなんて有るのでしょうか?」
「そう言ったスキルは有るが国に取り込まれるか処理されるな。…それらのスキルを魔法として使えるようにしてるかも知れないと考えたのか?」
「可能性も有るかなと」
「なんとも言えないな。我らはこの前まで訓練で魔法を身に付けられると知らなかったのだからな」
「侯爵家はその手のことを調べていたのでしょうか」
「それは調べるだろうな」
「ですよね」
処理したと偽って監禁し、魔法化の実験をしていたとしてもそんなには驚かないな。
王様や領主様が訓練で魔法を身に付けられると知っていたならそれくらいやるだろうし、会ったことはないが侯爵なんて高い位に居る人ならやはりやるだろう。
口には出さないが、王様は訓練次第で収納魔法を手に入れられるか考えているはずだ。
中に入れた人のスキルを手に入れられると知ったら必ず手に入れて王家で秘匿、ついでに俺は処分される可能性もなくもない。
人を操るスキルは有ると言っていたし見つけたら国が取り込んでるとも言っていた、今居ると言わなかったが居ないとも限らない。
絶対知られないようにしなくてはならないな。
「来たぞ」
「はい」
色々と考えてる間に問題の侯爵家当主が現れたと思ったのだが、話を聞いている感じでは違うようだ。
領地から王都へ向かってる途中、当主の乗った馬車が魔物に襲われて当主本人が怪我をしたので引き返し次期当主で有る息子の彼が代わりにやってきたのだとか。
たまたまか?
収納庫の中に居る水の精霊が言うには魔法のスキルを持っているが訓練して出来るようになった物はないそうだ。
運良く魔法関連のスキルを手に入れたから訓練しなかったのだろうか?
でも、使える魔法が増えると知ったら多くの魔法使いは訓練して新しい魔法を身につけるだろうと母は言っていたしな。
それとも、本当に魔法関連のスキルだけが手に入る家の可能性も?
王に侯爵家跡取りの話をする。
推測は言わず結果だけ。
王は納得出来なかったようで、あの男は本当の息子ではない可能性も有ると言い始めた。
「魔法関連のスキルを授かった子供を自分の子として育てるとかな」
「貴族の家に生まれたならともかく平民はスキルを手にする儀式をしない家も有りますし、そう簡単にはわからないのでは?」
俺の生まれた村には儀式をする教会が無かったから街で生まれた人たちよりも数年遅れて行ったし。
「お前のとこよりも先にスキルを活用することにしたのかもな」
領主様がやりはじめたことを先にか。
それは有るかもしれないが、侯爵家が周りに気が付かれず出来ることなのか?
「でも、手に入れた子供を次期当主にする物なのですか? 血の繋がった自分の子供に跡を継がせたいと思う物なのでは?」
貴族や商家とはそう言う物だと考えてたんだが。
*
後日分かったことは、次期当主としてやってきた男は本当の息子では無かった。
後妻の連れ子で魔法関連のスキルを持っているものの血が繋がらないので当主候補に含まれなかったらしく、それが不満で色々とやったらしい。
侯爵家の血が流れている人間で残されたのは彼の母と侯爵の間に産まれた4歳の娘だけ。
魔法の訓練法などはその男が処分したとのことで何も残っていなかった。
魔法関係のスキルを持っている自分が血の繋がりがないことを理由に跡継ぎにされないことが不満で行動を起こしたそうだが、血の繋がりが無いのに貴族家の跡継ぎになれると考えるほうがどうかしている。
子爵家の方には代々引き継がれてきた魔法の訓練法が書かれた書物が有り、その中には気配を消す物や人を魅了するなども含まれていた。
現在の当主はそれらの訓練をしたことがないと言っているが、身に付かなかっただけの可能性もある。
子爵は全ての資料を没収、親族だけでなく使用人なども監禁や処分された。
これまで隠し続けていた家を信用出来ないと言うことだった。
友人関係である事を利用して皇帝陛下へ報告しに行かされた。
皇帝陛下は魔法が使える事を隠している貴族が居る可能性もあるなと言っていた。
彼等は見えない武器を所持して私の前に来ることが出来るのだと。
目の前に居る俺も似たような物だが特に何も言われなかった。
帝国の宮殿に池を作らされ、後日色彩鯉を持ってくる約束もさせられてから帰った。
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