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piece7 卒業式、前日
勇誠学園との交流
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2人組は、まだ話し足りないのか、口元に笑みをたたえたまま、悪戯っぽく声を顰めた。
「カンナ先輩ね。自分の親友が原因で、勇誠バスケ部との交流が無くなったからって。責任感じててね?」
エリカの顔が思い浮かび、悠里の胸に再び緊張が走る。
「だからウチらみたいに、男子校との交流を楽しみに入ってきた1年や、カレシが欲しい部員のためを思って、定期的に男子との交流会をセッティングしてくれてるんだ!」
硬い表情をした悠里をそっちのけで、2人は、カンナへの感謝を述べている。
「マジ、カンナ会がなかったらウチら、バスケ部辞めてた可能性すらあるよね!」
「わかる! それに合コン以外でも、ゴハン連れてってくれたり、バスケ部の悩み相談してくれたりね」
頼りになるんだよ? と、2人は悠里に向かい、にっこり笑った。
「そうなんだね……」
悠里は複雑な表情を浮かべながらも、先程と同じ、無難な相槌を返した。
自分にとってカンナは、理不尽と恐怖を感じる存在でしかない。
しかしバスケ部の後輩にとっては、違う。
彼女たちからしてみれば、カンナは接しやすく、頼れる先輩なのだろう。
自分からは見えなかったカンナの一面を知り、悠里は難しい気持ちに囚われた。
「あーでも、合コンもいいけどさ。いつか勇誠との交流は、復活して欲しいよねー! 部活のモチベ上がる」
「わかる! 先輩たちの話聞いてたら、やっぱり楽しそうだよね! 合同練習とか、遠征とか!」
2人は楽しそうに語り続ける。
「ねえ知ってる? 勇誠のキャプテン。めっちゃカッコいいよ!」
「知ってる! 3ポイントを外さないオトコ!」
ゲラゲラと、2人は手を叩いて笑い出した。
「ヤバくね? 3ポイント外さないって、ウソじゃん?」
「いやいやマジだってさ! ここで入ったら逆転とか、そういうチャンスのとき、絶対外さないらしいよ!」
「マジか!」
カッケー!と、2人は弾んだ声で盛り上がっている。
剛士のことだ。
悠里の胸が、嫌な音を立てる。
「カンナ先輩ね。自分の親友が原因で、勇誠バスケ部との交流が無くなったからって。責任感じててね?」
エリカの顔が思い浮かび、悠里の胸に再び緊張が走る。
「だからウチらみたいに、男子校との交流を楽しみに入ってきた1年や、カレシが欲しい部員のためを思って、定期的に男子との交流会をセッティングしてくれてるんだ!」
硬い表情をした悠里をそっちのけで、2人は、カンナへの感謝を述べている。
「マジ、カンナ会がなかったらウチら、バスケ部辞めてた可能性すらあるよね!」
「わかる! それに合コン以外でも、ゴハン連れてってくれたり、バスケ部の悩み相談してくれたりね」
頼りになるんだよ? と、2人は悠里に向かい、にっこり笑った。
「そうなんだね……」
悠里は複雑な表情を浮かべながらも、先程と同じ、無難な相槌を返した。
自分にとってカンナは、理不尽と恐怖を感じる存在でしかない。
しかしバスケ部の後輩にとっては、違う。
彼女たちからしてみれば、カンナは接しやすく、頼れる先輩なのだろう。
自分からは見えなかったカンナの一面を知り、悠里は難しい気持ちに囚われた。
「あーでも、合コンもいいけどさ。いつか勇誠との交流は、復活して欲しいよねー! 部活のモチベ上がる」
「わかる! 先輩たちの話聞いてたら、やっぱり楽しそうだよね! 合同練習とか、遠征とか!」
2人は楽しそうに語り続ける。
「ねえ知ってる? 勇誠のキャプテン。めっちゃカッコいいよ!」
「知ってる! 3ポイントを外さないオトコ!」
ゲラゲラと、2人は手を叩いて笑い出した。
「ヤバくね? 3ポイント外さないって、ウソじゃん?」
「いやいやマジだってさ! ここで入ったら逆転とか、そういうチャンスのとき、絶対外さないらしいよ!」
「マジか!」
カッケー!と、2人は弾んだ声で盛り上がっている。
剛士のことだ。
悠里の胸が、嫌な音を立てる。
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