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piece2 バースデーケーキ
深夜の試作
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その夜と、翌日の夜を費やし、悠里はデコレーションの試作を繰り返していた。
彩奈のアイディアであるスコアボード風の日付プレート。
これは、ホワイトチョコを四角に固めて作ることにした。
日付に関しては、ちょうどデジタル時計のようなフォントの数字の型が家にあった。
ビターチョコレートを流し込んで数字を作り、ホワイトチョコのプレートに貼り付ける。
上に西暦、それから、下に日付だ。
ふと思い立ち、日付である2と14の間に、バスケットボール型のクッキーを貼り付けてみる。
「……可愛い!」
悠里は微笑み、満足そうに頷いた。
「あとは、真ん中にお名前か……Goushi?」
これは、自分で描きたい。
クッキングシートを敷き、チョコペンでアルファベットを一文字ずつ描く。
出来の良い字を選んで、シートから剥がす。
そうして悠里は、丁寧に接着剤代わりのチョコを塗り、プレートに貼り付けていった。
「……うん!いいかな?」
我ながら、うまくスコアボード風のプレートに仕上がったと思い、悠里は微笑んだ。
ユニフォーム型のクッキーのアイシングを考える際は、彩奈から貰った練習試合の写真が助けになった。
悠里は写真の中の剛士を、じっと見つめる。
勇誠学園のユニフォームは、黒。
漆黒の布地に、ローマ字表記の学校名とナンバーが、白字で入る。
そして、襟、袖口、そしてサイドにも、白のラインが走っている。
引き締まったデザインで、いかにも強豪校というイメージだ。
彩奈がくれた写真を、丁寧に見返す。
鋭い瞳で勝利を渇望し、躍動する剛士の姿が、たくさん収められている。
美しいフォームでシュートを放つ剛士。
笑顔でハイタッチする剛士。
仲間と何かを話し合っている剛士。
悠里は、剛士と話している仲間の顔を見つめる。
身長は、剛士よりも幾分低い。
短い髪をツンと上に立てた、いかめしい顔立ち。
何より、勝利をもぎ取ろうとする強い目が印象的な選手だった。
「……副キャプテンさんだ」
5番。悠人に教えて貰った、ユニフォームの番号を思い出す。
イルミネーションの下で、剛士が穏やかな笑顔で話してくれた、副キャプテンへの感謝の言葉が悠里の脳裏に蘇る。
剛士にとって、この人は大切な戦友なのだと思うと、悠里の胸も熱くなった。
こんなに真剣に打ち込むものがあって。
努力を重ねて。仲間に恵まれて。
全力でバスケに取り組む剛士を、ずっと応援していたい。
悠里はそう思うのだった。
ふと時計を見ると、写真を見始めてから30分以上経過していた。
「えっ?いやいやいや」
早く、ユニフォーム型クッキーの試作をしないと。
悠里は慌てて作業を再開する。
この日の試作が深夜にまで及んだのは、言うまでもない。
彩奈のアイディアであるスコアボード風の日付プレート。
これは、ホワイトチョコを四角に固めて作ることにした。
日付に関しては、ちょうどデジタル時計のようなフォントの数字の型が家にあった。
ビターチョコレートを流し込んで数字を作り、ホワイトチョコのプレートに貼り付ける。
上に西暦、それから、下に日付だ。
ふと思い立ち、日付である2と14の間に、バスケットボール型のクッキーを貼り付けてみる。
「……可愛い!」
悠里は微笑み、満足そうに頷いた。
「あとは、真ん中にお名前か……Goushi?」
これは、自分で描きたい。
クッキングシートを敷き、チョコペンでアルファベットを一文字ずつ描く。
出来の良い字を選んで、シートから剥がす。
そうして悠里は、丁寧に接着剤代わりのチョコを塗り、プレートに貼り付けていった。
「……うん!いいかな?」
我ながら、うまくスコアボード風のプレートに仕上がったと思い、悠里は微笑んだ。
ユニフォーム型のクッキーのアイシングを考える際は、彩奈から貰った練習試合の写真が助けになった。
悠里は写真の中の剛士を、じっと見つめる。
勇誠学園のユニフォームは、黒。
漆黒の布地に、ローマ字表記の学校名とナンバーが、白字で入る。
そして、襟、袖口、そしてサイドにも、白のラインが走っている。
引き締まったデザインで、いかにも強豪校というイメージだ。
彩奈がくれた写真を、丁寧に見返す。
鋭い瞳で勝利を渇望し、躍動する剛士の姿が、たくさん収められている。
美しいフォームでシュートを放つ剛士。
笑顔でハイタッチする剛士。
仲間と何かを話し合っている剛士。
悠里は、剛士と話している仲間の顔を見つめる。
身長は、剛士よりも幾分低い。
短い髪をツンと上に立てた、いかめしい顔立ち。
何より、勝利をもぎ取ろうとする強い目が印象的な選手だった。
「……副キャプテンさんだ」
5番。悠人に教えて貰った、ユニフォームの番号を思い出す。
イルミネーションの下で、剛士が穏やかな笑顔で話してくれた、副キャプテンへの感謝の言葉が悠里の脳裏に蘇る。
剛士にとって、この人は大切な戦友なのだと思うと、悠里の胸も熱くなった。
こんなに真剣に打ち込むものがあって。
努力を重ねて。仲間に恵まれて。
全力でバスケに取り組む剛士を、ずっと応援していたい。
悠里はそう思うのだった。
ふと時計を見ると、写真を見始めてから30分以上経過していた。
「えっ?いやいやいや」
早く、ユニフォーム型クッキーの試作をしないと。
悠里は慌てて作業を再開する。
この日の試作が深夜にまで及んだのは、言うまでもない。
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