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最終章 勇者編

第112話 決闘

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 決闘場所は砂浜だった。
 剣士にとって不利な場所なんじゃないか。
 魔力ゴーレムは砂浜には足はとられない。

 相手は一人だ。
 リリオは猿轡をされて手足を縛られ転がされていた。
 むがー、むがーと声が聞こえる。

「じゃあやるか」
「応」

 魔力ゴーレムを剣士の手前で爆発させる。
 手前なので剣も届かないがダメージも軽微だ。
 ファイヤーボールのつるべ撃ちをするが、切って落とされた。

「俊足」

 剣士が俊足スキルを使う。
 動きが一層速くなって手に終えなくなる。

『弾幕だよ』
「ライタ頼む」
『ミニ魔力ゴーレム突撃』

 手の平大の魔力ゴーレムが百ほど相手に向っていく。

「斬、斬、斬、斬」

 どこまでこの猛攻に耐えるのだろう。
 疲れてきたのか。
 ミニ魔力ゴーレムの至近距離からの爆発が当たり始めた。

「気合」

 相手の動きがもっと速くなって、次々に生み出されるミニ魔力ゴーレムと拮抗し始めた。

「金貨一万枚」

 いい身なりをしたおっさんが乱入する。

「おっさん危ないよ」
「何が金貨一万枚なんだ」
「剣士の買収額だ。金貨二万枚」

「ぐぬぬ」

 効いている。
 おっさんの金貨攻撃が効いている。

「金貨三万枚」
「承諾」

 剣士が剣を鞘に納めたので、俺も攻撃を止めた。

「なん何だよ、一体」
「議員が入れ替わったのはご存知ですよね」
「そう聞いたな」
「議員一同はあなたを支援する事にしました」
「そんな事しても護衛はしないぞ」
「良いのです。伝手が出来ただけで充分です。そう議会は結論を出しました」
「伝手か。まあこの借りはいつか返すよ」
「そう言ってもらえると、駆けつけた甲斐かいがあります」

「リリオ、大丈夫か」

 リリオの拘束を外してやった。

「師匠、俺なんにもできなかった」
「子供のうちは大人を頼れ。そして、大人になったら子供に頼られろ」
「うん」

 剣士はしばらく議員に雇われて行動する事になった。
 なんでも盗賊退治をするらしい。
 殺ししかしない奴らしい行動だ。



 今日は魔獣退治だ。
 俺は船に乗り毒ミートゴーレムを海で泳がせる。
 毒ミートゴーレムに群がる海の魔獣。

「何度見ても壮絶ですな」

 船長が舳先へさきにいる俺の所に来た。

「あまりへりに行くと爆雷の水しぶきが掛かるよ」

 爆雷攻撃を始めた。
 水柱が幾つも上がる。

 海面は血で染まり、更に魔獣を集める。
 船より大きい魔獣も来るが、爆雷攻撃の敵ではない。
 素材を回収できないのが勿体無もったいないが、船より大きい素材を一々回収していたら何度も港と往復しないといけない。
 最後の大物を船で牽引する。
 港に入ると喝采が上がった。

「今日も素材は浜のみんなで分けるのですか」
「漁に出られない人の糧にしてくれ」
「ありがたい事ですな」

 俺は船から降りて砂浜を歩いた。
 砂浜では地元の子供達が熊手くまでを持ってしきりに砂をかいていた。

「どうだ、魔石は集まったか」

 俺は今日砂浜に遊びに来ていたモリー、ユフィア、リリオに話し掛けた。

「うん、沢山取れた。大漁だよ」
「私も沢山、獲れましたわ」
「師匠、俺が一番だ」

 魔力視を使えば地中の魔石も分かるが、はした金を稼いでもな。
 砂に埋もれた魔石拾い。
 Sランクの魔石を見つければ一攫千金いっかくせんきんなんて夢があるな。
 夢は壊さないでおこう。



 宿に帰るとランデ男爵が訪れていた。

「サンダー準男爵、議会から救援達成の宣言が取れました」
「今回はすんなりと行ったな」
「簡易魔道具がダメ押しになりました」

 俺は爆雷、機雷、魚雷の簡易魔道具を作った。
 武器を作る事にこだわりがあったが、これで金貨三万枚の借りを返したつもりだ。

 全部で三千個作ったが、足りなくなったらマリリに注文が行くはずだ。
 生産はゴーレム騎士団にも手伝ってもらったから、俺の異常な生産力は分からないと思う。

 三日後、俺達は帰路についた。
 戻るとまた救援依頼が入っていた。
 こんどは力主義王国からだ。
 別名ビースト国。
 獣人の国だ。
 今度はどんな事が待ち構えているのだろう。
 これを救援すると国境を接している国は全て行った事になる。
 そろそろ救援依頼の終わりも近いはずだ。
 それとも再び魔獣が増えて二週目をしないといけないのだろうか。
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