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第3章 貴族活躍編

第66話 宅配の帰りに人助け

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 ハングライダーに乗ってお届け物の飛行となった。
 途中で鳥の魔獣に出会った。

 空中戦になり俺はハングライダーをわざと失速させ後ろを取る。
 それから対空ミサイルを撃ってやった。
 ミサイルは誘導され鳥魔獣に追いつき爆散。
 対空装備を開発しておいてよかったな。

 飛行は風魔法と念動を最大限使った事で時速100キロメートラは出ていると思う。
 そうして、一日で目的地に着く事ができた。



 帰りも順調とは行かなかった。
 前方にオーガに襲われている馬車が見える。
 馬車から人が蹴り落とされるのが分かった。
 オーガが蹴り落とされた人に駆け寄る。

 俺は対空ミサイルをオーガに発射してやった。
 ミサイルはオーガに当たり爆発。
 オーガはダメージを負い血を流し立ち止まった。
 その隙に蹴り落とされた人のそばに降り立つ。

 蹴り落とされた人を見ると衣服はボロボロで髪の毛もボサボサだ。
 訳ありかな。
 そんな事よりもオーガだ。
 当たり所が悪かったので、一撃で仕留め切れなかった。
 血をだらだら流しオーガは仇敵を睨み殺さんとばかりにこっちを見ている。
 俺は死魔法を放つ。
 即死の魔力となったゴーレムがオーガに吸い込まれる。
 オーガは足をもつれさせて転がり息絶えた。



「怪我はないか」
「すいません。こんな私の為に」

 蹴り落とされた人は女性のようだ。

「俺はフィル。名前は?」
「名前は……です」

 この症状には覚えがある。
 違法奴隷に違いない。
 俺は魔力ゴーレムを自然の魔力に偽装して彼女の中の契約魔法を潰した。

「これで名前が言えるはずだ」
「エンミです。やった名前が取り戻せた」
「なんでこんな事になった」
「夫が高利の金貸しに金を借りて返せなくなったんです」
「行き場所はどこだ」
「それは知らされていません。奴隷達の噂では山に送られるとしか。それより馬車にはまだ違法奴隷がいます。彼らを助けてやって下さい」
「そうだな。違法奴隷は解放しないと」



 俺は魔木の馬ゴーレムをアイテム鞄から取り出し、彼女と二人乗りで駆け出した。
 俺達が馬車に追いつくと馬車は動物の馬に引かせていたようで、野営地で休ませているところだった。
 俺は少し離れた所でゴーレムを停め、仮面を被り迷彩スキルを発動して近づく。

「どうすんだ。奴隷が一人減っちまったじゃねぇか。お前が代わりに働くか」
「勘弁してくだせぇ」
「賃金から奴隷の分はさっぴくからな。ただでさえ護衛役の奴隷がやられて大赤字だってのに。馬を休ませたらすぐに出るぞ」

 どうやら、闇ギルドの人間は二人みたいで、護衛はどうやらオーガにやられたようだ。
 俺はスタンガン魔法で二人を眠らせた。



「おい起きろ」

 俺は縛り上げた二人を小突いた。
 二人は契約魔法でスキルを封じてある。

「こんな事して俺達が誰だかわかっているんだろうな」
「兄貴、俺達消されちまうんじゃ。死にたくねぇ死にたくねぇ」

 起きると男達はわめき始めた。

「お前達は闇ギルドの下っ端だろう」
「ふっ、こんな縄。筋力強化。あがっがが……ひぃはぁ。何しやがった」
「呪いをかけたんだよ。スキルを使うと呪いが発動する」
「分かったぞ。お前は闇ギルドに恨みを持つ復讐者だな」

 なにか変な勘違いをしているな。
 契約魔法を許可なく掛けられるのを誤魔化す為に呪いと偽った。
 それで、こいつには俺が禁忌に手を染めた復讐者にでも映っているんだろう。
 その話の筋に従ってみるか。



 俺は真偽鑑定の簡易魔道具を取り出し、男を尋問する事にした。

「俺は闇ギルドをぶっ潰す為に禁忌に手を染めた魔法使いだ。この道具は真偽鑑定の効果がある。質問に答えろ」
「俺は何にも喋らない」
「兄貴、喋ったら闇ギルドに消されるって事になりゃしませんか」
「馬鹿何も喋るな」
「闇ギルドだと認めたな。なら俺がどんな禁忌を犯したのか説明してやろう。それがお前達に起こる事だ」
「脅しには屈しない」
「ある禁忌の事実を知ると身体が壊れて全身がミンチになる。脅しだと思っているだろう。そこで真偽鑑定の道具をお前に使わせる。本当かどうか確かめると良い」

 俺は弟分の方に簡易魔道具を渡した。

「さぁ聞いてみろ。まずは身体がミンチになる禁忌を俺が行ったかだ」
「身体がミンチになる禁忌をやったのか」
「ああ、やったさ」
「本当だ。兄貴この人やばいぜ」
「分かっただろう。禁忌の事実を囁いてやろう。そうすれば拷問の手間が省ける」



 俺は簡易魔道具を取り上げ質問を開始した。

「お前達は闇ギルドか」
「何もいわねぇぞ」

 鑑定を拒否したイメージが簡易魔道具から送られて来た。

「闇ギルドだ」

 弟分は素直に答えた。
 真実だと簡易魔道具からイメージが来た。

「馬車の行き先は?」
「違法カジノだ」

 嘘の結果が簡易魔道具から送られて来た。

「山だ、場所はしらねぇ」
「山に行くのだな。行き先は兄貴分しか知らないと」



 弟分に再び簡易魔道具を渡した。

「もう一つの禁忌について教えてやろう。ある条件で契約魔法を掛けると、自分が分裂し自分が誰だか分からなくなる。自分に溺れて死ぬんだ。さぁ裏づけを取ってみろ」
「自分を分裂する禁忌はあるのか」
「ある」
「本当だぜ。それは本人が承知してなくとも掛かるもんなのか」
「ああ掛かる」
「やばいぜ。他にも色々な禁忌を知ってそうだ。兄貴、降参しましょうや」

「ちきしょう、役人に突き出されても死ぬんだ。禁忌で死ぬぐらいなら喋ってやる。俺達は隠し鉱山に行く予定だった」
「鉱山では何を掘っている」
「知らなねぇよ。もの凄く貴重な物らしい。箱を落とした奴隷が首を切られたのを見たことがある」
「場所は?」
「ホークネストだ」

 さてどうするかな。
 乗りかかった舟だ。
 鉱山の違法奴隷を解放してやろう。



「違法奴隷を連れて来ました」

 エンミが違法奴隷を連れて来た。

「お前はエンミ。オーガに食われて死んだんじゃ」
「お生憎様、ぴんぴんしてるよ」
「よし並べ。契約魔法を解除してやる」

 俺は違法奴隷を全て解放した。

「エンミはこれからどうする? 証人になるのなら保護先を紹介してやれるが」
「私は自由に生きたいです。縛られるのはもう嫌」

 周りを見ると違法奴隷だった彼らはみな頷いている。

「そうか、好きにするさ」

 それから、街までひとっ飛びして衣類を買いあさり、野営地まで戻った。

「奴隷から開放されたお祝いに、衣服と当座の生活費と食料だ」
「街に行ったら、闇ギルドの人は役人に突き出しておきます」
「それじゃ元気でな」

 彼等と別れホークネストに向けて飛び立った。
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