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第3章 貴族活躍編
第65話 鑑定セット
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ユフィアの件はゴリオットの店に少し厄介をかけた。
大事な顧客の情報を洩らしてもらったのだから。
俺は人気だという菓子店でマドレーヌを買いゴリオットの店を尋ねた。
「こんにちは、これ差し入れ」
「ありがとうございます。今日も魔石の仕入れですか」
いつも通り店員が揉み手をしながらやって来た。
「この間の情報は役に立ったよ。お礼何が良い」
「いつも通りに魔石をお買い上げ頂けば結構です」
「主任、あの件を相談されては」
話を聞いていた女子店員が口を挟んだ。
「こら辞めないか。お客様に失礼だろ。申し訳ありません。今の事は忘れて下さい」
主任は俺に頭をぺこぺこ下げた。
「いや、あの件とか言われると気になるな。相談を聞くだけだったらいいよ」
「ではお言葉に甘えて。新レイモ男爵領ができたのはご存知ですか」
「そうなのか。知らなかったな」
「そこから記念品の発注を受けまして。今までに無い物をとの希望で困っております」
今までに無い物ねぇ。
超越者の生産の知識があれば変わった物が作り放題なんだけど。
このさい簡易魔道具でも良いか
「マリリという女の子がやっているジェファス商店で簡易魔道具を扱っているから、相談してみたらどうかな」
「その名前は聞いた事がありません」
「まだ王都に店を構えていないはずで、近々開店すると思う」
「そうですか。商業ギルドをあたって調べてみます」
俺は魔石を購入して、自宅で簡易魔道具を作り始めた。
貴族に嬉しい簡易魔道具ってなんだろう。
いやここは俺に嬉しいのが良いな。
そうだ、罪状鑑定、スキル鑑定、物品鑑定、魔力鑑定、真偽鑑定の鑑定セットなんてどうだろうか。
新レイモ男爵って事はきっと国王派に違いない。
国王派に渡せばきっと陰謀が減るに違いない。
体の内部を探るスキル鑑定と魔力鑑定と真偽鑑定は拒否できるのも都合が良い。
俺の情報が漏れる心配がないからな。
俺は鑑定セットを作りマリリの所に出かけた。
マリリは留守で団員がジェファス商店王都支店に案内してくれた。
店はこじんまりした平屋で売り場は十人も人が入れば一杯になる広さだ。
奥には商談スペースと倉庫がありそうだ。
「こんにちは」
「あら、いらっしゃい。フィルがお客様第一号ね」
「開店おめでとうと言いたいけど、まだ開店してないよね」
「ええ、一週間後の予定だわ」
「少し早めの開店祝いを持って来た」
「ありがとう。なにかしら」
「ちょっと迷っている。マリリ一緒に死んでくれるかい」
「ええ良いわよ」
マリリが笑いながら言った。
「それでどういうこと」
マリリの顔つきが真剣になった。
「簡易魔道具の鑑定セット。ゴリオットの店から使いがくるから、これをすすめて欲しい」
「何か陰謀みたい。フィルも貴族らしくなったわね」
「その陰謀が問題なんだ。面倒事になると思う」
「鑑定ぐらいで大げさだわ。騎士団が守ってくれるから私の心配はしないで。それに普段はアドラムだから大丈夫よ」
「店員にも気をつけるよう言ってくれ」
「店員は騎士団のメンバーだから大丈夫だと思う。それに商売に危険は付き物よ」
そうだよな。
辺境ならいざ知らず王都では治安の悪い所は悪い。
貴重品を扱うマリリの店は狙われるか。
それでも、もの凄い迷惑を掛けた気になった。
けど言ってしまった言葉は取り消せない。
次に作るのは防犯の簡易魔道具だな
俺は店を後にして結果を待った。
結果を待つ間に防犯の簡易魔道具を作りに掛かる。
「ライタ、防犯の魔道具考えてよ」
『防犯って事はスパイ物やっちゃう。レーザーで探知っての一度やってみたかった』
「どんな仕組み?」
『照明で細いレーザー光線を放出してそれを遮る者がいた時に警告音を鳴らすのさ』
「なるほど」
警告音は幕だけのスピーカーを作り念動で振動させる。
光線を受け取るのは吸光でなんとかなった。
魔力回路も最適なものをライタが魔力に直接命令して刻んでくれる。
複雑な仕組みも思いのままだ。
完成品を店や団員の住宅に設置。
ついでに孤児院にも設置した。
そして、マリリから追加で鑑定セットの注文を受け増産に入る。
後日、登城の折にランデ男爵に会った。
「サンダー準男爵やってくれましたね」
「何の事」
「簡易魔道具です。出所はあなたでしょう。あの女店主の所にあなたが出入りしているのは分かっています」
「それで」
「大騒ぎですよ。特に罪状鑑定、あれは酷い。問題のある貴族が分かってしまうのだから」
「無罪なら問題ないだろ」
「紛争で人を殺した事のある貴族から批判の声が上がっています」
「国の為に戦ったのなら胸を張れば良い」
「まあ、紛争で人を殺したというのは大半がいい訳なんですけどね」
「分かっているのなら良いだろ」
「あなた恨まれますよ」
「殺し屋の一人や二人腹を括ったさ」
効果は出ている様だ。
貴族派の封じ込めになればな。
でも状況はそんなに変わらないだろう。
罪状鑑定は人を雇えば簡易魔道具がなくても同じ事はできる。
知らない人がいれば用心するけどそれだけだ。
壁の向こうからこっそり罪状鑑定を持っている人が使うなんて事もできる。
今回は大掛かりな仕掛けなんかなくともこっそり罪状鑑定ができるというのが肝なんだろうな。
貧乏貴族には感謝されるだろう。
その他は問題ないな。
真偽鑑定と物品鑑定は取引するにはもってこいだと思う。
偽物をつかまされなくなって貴族は喜んだに違いない。
殺し屋などは現れずゴリオットの店から仕事の依頼が来た。
記念品の簡易魔道具を地方に届けたいので請け負って欲しいと。
何でも急ぎらしい。
大きい取引に使いたいのだそうだ。
馬車だと間に合わず、そこに俺が空を飛んで救援に行った話が聞こえてきた。
そして俺に依頼がきたという訳だ。
しょうがない一肌脱いでやろうか。
大事な顧客の情報を洩らしてもらったのだから。
俺は人気だという菓子店でマドレーヌを買いゴリオットの店を尋ねた。
「こんにちは、これ差し入れ」
「ありがとうございます。今日も魔石の仕入れですか」
いつも通り店員が揉み手をしながらやって来た。
「この間の情報は役に立ったよ。お礼何が良い」
「いつも通りに魔石をお買い上げ頂けば結構です」
「主任、あの件を相談されては」
話を聞いていた女子店員が口を挟んだ。
「こら辞めないか。お客様に失礼だろ。申し訳ありません。今の事は忘れて下さい」
主任は俺に頭をぺこぺこ下げた。
「いや、あの件とか言われると気になるな。相談を聞くだけだったらいいよ」
「ではお言葉に甘えて。新レイモ男爵領ができたのはご存知ですか」
「そうなのか。知らなかったな」
「そこから記念品の発注を受けまして。今までに無い物をとの希望で困っております」
今までに無い物ねぇ。
超越者の生産の知識があれば変わった物が作り放題なんだけど。
このさい簡易魔道具でも良いか
「マリリという女の子がやっているジェファス商店で簡易魔道具を扱っているから、相談してみたらどうかな」
「その名前は聞いた事がありません」
「まだ王都に店を構えていないはずで、近々開店すると思う」
「そうですか。商業ギルドをあたって調べてみます」
俺は魔石を購入して、自宅で簡易魔道具を作り始めた。
貴族に嬉しい簡易魔道具ってなんだろう。
いやここは俺に嬉しいのが良いな。
そうだ、罪状鑑定、スキル鑑定、物品鑑定、魔力鑑定、真偽鑑定の鑑定セットなんてどうだろうか。
新レイモ男爵って事はきっと国王派に違いない。
国王派に渡せばきっと陰謀が減るに違いない。
体の内部を探るスキル鑑定と魔力鑑定と真偽鑑定は拒否できるのも都合が良い。
俺の情報が漏れる心配がないからな。
俺は鑑定セットを作りマリリの所に出かけた。
マリリは留守で団員がジェファス商店王都支店に案内してくれた。
店はこじんまりした平屋で売り場は十人も人が入れば一杯になる広さだ。
奥には商談スペースと倉庫がありそうだ。
「こんにちは」
「あら、いらっしゃい。フィルがお客様第一号ね」
「開店おめでとうと言いたいけど、まだ開店してないよね」
「ええ、一週間後の予定だわ」
「少し早めの開店祝いを持って来た」
「ありがとう。なにかしら」
「ちょっと迷っている。マリリ一緒に死んでくれるかい」
「ええ良いわよ」
マリリが笑いながら言った。
「それでどういうこと」
マリリの顔つきが真剣になった。
「簡易魔道具の鑑定セット。ゴリオットの店から使いがくるから、これをすすめて欲しい」
「何か陰謀みたい。フィルも貴族らしくなったわね」
「その陰謀が問題なんだ。面倒事になると思う」
「鑑定ぐらいで大げさだわ。騎士団が守ってくれるから私の心配はしないで。それに普段はアドラムだから大丈夫よ」
「店員にも気をつけるよう言ってくれ」
「店員は騎士団のメンバーだから大丈夫だと思う。それに商売に危険は付き物よ」
そうだよな。
辺境ならいざ知らず王都では治安の悪い所は悪い。
貴重品を扱うマリリの店は狙われるか。
それでも、もの凄い迷惑を掛けた気になった。
けど言ってしまった言葉は取り消せない。
次に作るのは防犯の簡易魔道具だな
俺は店を後にして結果を待った。
結果を待つ間に防犯の簡易魔道具を作りに掛かる。
「ライタ、防犯の魔道具考えてよ」
『防犯って事はスパイ物やっちゃう。レーザーで探知っての一度やってみたかった』
「どんな仕組み?」
『照明で細いレーザー光線を放出してそれを遮る者がいた時に警告音を鳴らすのさ』
「なるほど」
警告音は幕だけのスピーカーを作り念動で振動させる。
光線を受け取るのは吸光でなんとかなった。
魔力回路も最適なものをライタが魔力に直接命令して刻んでくれる。
複雑な仕組みも思いのままだ。
完成品を店や団員の住宅に設置。
ついでに孤児院にも設置した。
そして、マリリから追加で鑑定セットの注文を受け増産に入る。
後日、登城の折にランデ男爵に会った。
「サンダー準男爵やってくれましたね」
「何の事」
「簡易魔道具です。出所はあなたでしょう。あの女店主の所にあなたが出入りしているのは分かっています」
「それで」
「大騒ぎですよ。特に罪状鑑定、あれは酷い。問題のある貴族が分かってしまうのだから」
「無罪なら問題ないだろ」
「紛争で人を殺した事のある貴族から批判の声が上がっています」
「国の為に戦ったのなら胸を張れば良い」
「まあ、紛争で人を殺したというのは大半がいい訳なんですけどね」
「分かっているのなら良いだろ」
「あなた恨まれますよ」
「殺し屋の一人や二人腹を括ったさ」
効果は出ている様だ。
貴族派の封じ込めになればな。
でも状況はそんなに変わらないだろう。
罪状鑑定は人を雇えば簡易魔道具がなくても同じ事はできる。
知らない人がいれば用心するけどそれだけだ。
壁の向こうからこっそり罪状鑑定を持っている人が使うなんて事もできる。
今回は大掛かりな仕掛けなんかなくともこっそり罪状鑑定ができるというのが肝なんだろうな。
貧乏貴族には感謝されるだろう。
その他は問題ないな。
真偽鑑定と物品鑑定は取引するにはもってこいだと思う。
偽物をつかまされなくなって貴族は喜んだに違いない。
殺し屋などは現れずゴリオットの店から仕事の依頼が来た。
記念品の簡易魔道具を地方に届けたいので請け負って欲しいと。
何でも急ぎらしい。
大きい取引に使いたいのだそうだ。
馬車だと間に合わず、そこに俺が空を飛んで救援に行った話が聞こえてきた。
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しょうがない一肌脱いでやろうか。
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