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第二章
第25話:肉竜・輓竜・騎竜
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「お前達の望む物を与えるから俺の配下になれ、ファサネイト」
毎日村と標高の高い竜の生息地域を往復しました。
母上や姉上達の不安や心配を無視する事はできません。
往復するのに大した時間もかかりませんし、正直俺も心配でしたから。
十日も二十日もかけて、間違いの無いように検証しました。
その結果、亜竜も猛獣も魔獣も変わりませんでした。
肉食亜竜よりも草食亜竜の方が魅了しやすかったです。
単独で暮らす亜竜よりも、群で暮らす亜竜の方が魅了しやすかったです。
前世のトリケラトプスに似た亜竜が大人しく使い易かったです。
扇のような冠を持ち、更に冠の一部が二本の角のようになっている。
仲間同士の地位争いや、敵と戦う時に武器にするようです。
全長が七メートル前後で体重が四トン前後。
色々な亜竜を食べてみましたが、一番美味しかったです。
肉竜と名付けて家畜化する事にしました。
全身が厚い甲羅で覆われ、多くの突起がある亜竜もしました。
全長が六メートル前後で、体重が二・五トン前後です。
引っ張る力が強く、人間に従順なので輓馬の代わりにしようと思います。
だから名前も輓竜と名付けて、家畜化する事にしました
問題は軍馬や乗馬の代わりでした。
肉竜や輓竜と違って、背中に跨れなくてはいけません。
力強さよりも早さが必要とされます。
単に速いだけでなく、ある程度長時間走り続けられなくてはいけません。
トップスピードを維持する必要はありませんが、馬に近い能力は欲しいです。
肉食竜ほど強くなくても良いですが、気が弱すぎてもいけません。
草食竜でも、人間に向かって行くくらいの気の強さが欲しいです。
色々試すうちに、最良の亜竜が見つかりました。
全長が十メートルくらいあります。
体重は一トンくらいあるでしょう。
走る早さは駿馬と変わりありません。
トップスピードは名馬以上でしょう。
長距離を走らせても、駿馬に負けないだけの早さで遠距離を走ります。
しかも、馬以上の戦闘力まであります。
二メートル前後の前足に、とても鋭い爪が生えています。
一角羚羊や大角鹿なら一撃で絶命させられる攻撃力があります。
赤茶熊が相手でも、当たり所がよければ一撃で絶命させられます。
ただ、どうしようもない短所もあります。
前足に大爪があり攻撃できると言ったので、分かっている方もおられるでしょう。
安定性のある四本足歩行ではなく、不安定な二本足走行なのです。
どちらかといえば、アニメやラノベに出てくる、走る鳥に乗る感じです。
いえ、アニメやラノベのような簡単な話ではありません。
騎馬の代わりですから、操りながら槍も振るえなければいけないのです。
色々と試行錯誤して、鞍を工夫する事にしました。
馬の鞍とは全く違います。
鞍に後ろに、背中まで保護する板や革を作るのです。
普段は脚や腰だけで乗って操るのは馬鞍と同じです。
激しく動いた時のために、放り出されないように背もたれをつけておきます。
バイクで言えば、クルーザータイプやアメリカンタイプのようなものです。
いえ、一般的なバイクの背部よりも高く深くしておきます。
両側面にもある程度の保護部を作っておきます。
戦いで負傷したり気を失ったりした時でも、落ちないようにしておきます。
大切な家臣領民です。
走竜が生きている限り、戻ってくれるようにしておくのです。
ちっぽけな人間よりも、十メートル、一トンの走竜の方が強いに決まっています。
調教さえ完璧で、乗り手、主人に愛情を持っていてくれたら、必ず村まで主人を連れ帰ってくれるでしょう。
「思っていたほど怖くありませんね」
「馬鹿な事を言っているんじゃない。
若が魅了してくださっているから大人しいだけだ。
そうでなかったら、今頃頭から喰われているぞ」
「そんな事はありませんよ。
卵から生まれる生き物は、生まれて初めて見たモノを親だと思います。
主になろうと思う者は、これから生まれる亜竜に必ず立ち会う事です。
そうすれば魅了の魔法無しでも亜竜の主人になれます」
「本当ですか?!」
「俺が一度でも嘘をついた事がありますか?」
「ありません」
「もっとも、この知識を俺に与えた神様が嘘をついていたら別です」
「神様に教えていただいたのですか?!」
「直接神様が出て来て教えてくださったのではありません。
全ての魔法は、神様が人に授けてくださった宝物です。
だからといって、直接神様が現れて教えてくださるわけではありません。
誰に教えられることなく使えるから、神様の授かりものだと分かるのです。
俺の知識も同じです。
誰に教わった訳でもないのに、生まれた時から知っているのです。
神様の授けてくださったモノとしか思えないでしょう?」
大嘘ですが、この世界では信じられている考え方です。
大嫌いな教会の教えを逆手に取ってやります。
「はい、その通りです」
「そうですね、魔法と同じですね!」
「若は神様に祝福されているのです!」
「他の魔法使い以上に祝福されているのです!」
「若だけではありません。
マクネイア家が特別祝福されているのです。
これまで神様に親子二代に渡って魔法使いに選ばれた家は一つもありません。
そのマクネイア家に逆らう王侯貴族は、背教徒以外の何者でもありません!
それは教皇を僭称する奴も同じだ!」
家の家臣領民は総じて旧教徒が大嫌いです。
特にホープ教皇と枢機卿といった教会幹部が大嫌いです。
彼らの利権に固執する欲望が、家臣領民の親や家族を戦災に巻き込んだのです。
教会の利権や欲深さを批判した新教徒を、ホープ教皇達が弾圧しました。
開祖、始祖であるキリバスの教えに真っ向逆らった行為です。
それを恥ずかしげもなく行っただけでなく、延々とやり続けたのです。
俺から言わせてもらうと、その時点で神などいないと分かります。
自分の名を騙って欲望を満たす連中を放置しています。
神の使徒を詐称して多くの人を殺している連中に、好き勝手させ続けています。
全知全能の神ならば、神罰天罰を下すべきでしょう!
奇跡を起こして被害者を助けるべきでしょう!
ですが、神罰もなければ奇跡もありません。
神を詐称する者を野放しにし続けます。
被害者が弾圧され殺されても何もしません。
神のしもべを詐称する者達が、自分達の利益を守る為に行う差別や殺人を、神の試練とまで言っているのを放置し続けるのです。
それこそが神が存在しない証拠であり、もし力ある者が本当にいて、教皇達に力を貸しているにしても、それは神ではなく悪魔です。
「そのような腐れ外道を非難しても何にもなりませんよ。
批判するのではなく、皆殺しにするのです。
皆殺しにするための具体的な方法を考えるのです。
実行できるように、日々努力するのです。
陰で悪口を言うだけの卑怯者に、我が家の家臣領民を名乗る資格はありません!」
「はい!」
「申し訳ありません!」
「心を入れ替えます!」
「日々精進する事を誓います!」
「誰にも負けないように努力します!」
俺の言葉が家臣領民を奮起させたようです。
これまでも、彼らは親兄妹の仇であるホープ教皇達を憎んではいました。
ですが、どれほど鍛えても限界があると諦めていたようです。
ですが、竜を手懐ける事ができれば違います。
単に一騎当千の騎士になるのとは段違いなのです。
竜ならば、小型の亜竜であっても、何者をも圧倒する力があります。
よほど弱い小型の草食亜竜でない限り、ほとんどの猛獣や魔獣に勝てるのです。
今回俺が魅了したのは全部中型の草食亜竜です。
どのような猛獣でも魔獣でも打ち勝てる強さがあります。
まして、今まで亜竜の本能でしか動けなかったのに、人間の知恵が加わるのです。
群れで行動していた亜竜でも、軍略に従っていたわけではありません。
これからは、戦略戦術に従った攻撃ができるのです。
攻城用の大型兵器を運ぶような大掛かりな輸送の必要がなくなります。
騎馬よりも機動性のある動きで、攻城兵器に匹敵する亜竜で移動するのです。
王都や軍城の堅牢な城門であろうと、亜竜の一撃で粉砕できるのです。
「一年や二年で騎竜軍団を作れ、なんて言いません。
五年の時間を与えます。
五年間で竜を操る技術を磨きなさい。
竜を卵から孵して全ての人間に従順な家畜になるように育てなさい」
「「「「「はい!」」」」」
毎日村と標高の高い竜の生息地域を往復しました。
母上や姉上達の不安や心配を無視する事はできません。
往復するのに大した時間もかかりませんし、正直俺も心配でしたから。
十日も二十日もかけて、間違いの無いように検証しました。
その結果、亜竜も猛獣も魔獣も変わりませんでした。
肉食亜竜よりも草食亜竜の方が魅了しやすかったです。
単独で暮らす亜竜よりも、群で暮らす亜竜の方が魅了しやすかったです。
前世のトリケラトプスに似た亜竜が大人しく使い易かったです。
扇のような冠を持ち、更に冠の一部が二本の角のようになっている。
仲間同士の地位争いや、敵と戦う時に武器にするようです。
全長が七メートル前後で体重が四トン前後。
色々な亜竜を食べてみましたが、一番美味しかったです。
肉竜と名付けて家畜化する事にしました。
全身が厚い甲羅で覆われ、多くの突起がある亜竜もしました。
全長が六メートル前後で、体重が二・五トン前後です。
引っ張る力が強く、人間に従順なので輓馬の代わりにしようと思います。
だから名前も輓竜と名付けて、家畜化する事にしました
問題は軍馬や乗馬の代わりでした。
肉竜や輓竜と違って、背中に跨れなくてはいけません。
力強さよりも早さが必要とされます。
単に速いだけでなく、ある程度長時間走り続けられなくてはいけません。
トップスピードを維持する必要はありませんが、馬に近い能力は欲しいです。
肉食竜ほど強くなくても良いですが、気が弱すぎてもいけません。
草食竜でも、人間に向かって行くくらいの気の強さが欲しいです。
色々試すうちに、最良の亜竜が見つかりました。
全長が十メートルくらいあります。
体重は一トンくらいあるでしょう。
走る早さは駿馬と変わりありません。
トップスピードは名馬以上でしょう。
長距離を走らせても、駿馬に負けないだけの早さで遠距離を走ります。
しかも、馬以上の戦闘力まであります。
二メートル前後の前足に、とても鋭い爪が生えています。
一角羚羊や大角鹿なら一撃で絶命させられる攻撃力があります。
赤茶熊が相手でも、当たり所がよければ一撃で絶命させられます。
ただ、どうしようもない短所もあります。
前足に大爪があり攻撃できると言ったので、分かっている方もおられるでしょう。
安定性のある四本足歩行ではなく、不安定な二本足走行なのです。
どちらかといえば、アニメやラノベに出てくる、走る鳥に乗る感じです。
いえ、アニメやラノベのような簡単な話ではありません。
騎馬の代わりですから、操りながら槍も振るえなければいけないのです。
色々と試行錯誤して、鞍を工夫する事にしました。
馬の鞍とは全く違います。
鞍に後ろに、背中まで保護する板や革を作るのです。
普段は脚や腰だけで乗って操るのは馬鞍と同じです。
激しく動いた時のために、放り出されないように背もたれをつけておきます。
バイクで言えば、クルーザータイプやアメリカンタイプのようなものです。
いえ、一般的なバイクの背部よりも高く深くしておきます。
両側面にもある程度の保護部を作っておきます。
戦いで負傷したり気を失ったりした時でも、落ちないようにしておきます。
大切な家臣領民です。
走竜が生きている限り、戻ってくれるようにしておくのです。
ちっぽけな人間よりも、十メートル、一トンの走竜の方が強いに決まっています。
調教さえ完璧で、乗り手、主人に愛情を持っていてくれたら、必ず村まで主人を連れ帰ってくれるでしょう。
「思っていたほど怖くありませんね」
「馬鹿な事を言っているんじゃない。
若が魅了してくださっているから大人しいだけだ。
そうでなかったら、今頃頭から喰われているぞ」
「そんな事はありませんよ。
卵から生まれる生き物は、生まれて初めて見たモノを親だと思います。
主になろうと思う者は、これから生まれる亜竜に必ず立ち会う事です。
そうすれば魅了の魔法無しでも亜竜の主人になれます」
「本当ですか?!」
「俺が一度でも嘘をついた事がありますか?」
「ありません」
「もっとも、この知識を俺に与えた神様が嘘をついていたら別です」
「神様に教えていただいたのですか?!」
「直接神様が出て来て教えてくださったのではありません。
全ての魔法は、神様が人に授けてくださった宝物です。
だからといって、直接神様が現れて教えてくださるわけではありません。
誰に教えられることなく使えるから、神様の授かりものだと分かるのです。
俺の知識も同じです。
誰に教わった訳でもないのに、生まれた時から知っているのです。
神様の授けてくださったモノとしか思えないでしょう?」
大嘘ですが、この世界では信じられている考え方です。
大嫌いな教会の教えを逆手に取ってやります。
「はい、その通りです」
「そうですね、魔法と同じですね!」
「若は神様に祝福されているのです!」
「他の魔法使い以上に祝福されているのです!」
「若だけではありません。
マクネイア家が特別祝福されているのです。
これまで神様に親子二代に渡って魔法使いに選ばれた家は一つもありません。
そのマクネイア家に逆らう王侯貴族は、背教徒以外の何者でもありません!
それは教皇を僭称する奴も同じだ!」
家の家臣領民は総じて旧教徒が大嫌いです。
特にホープ教皇と枢機卿といった教会幹部が大嫌いです。
彼らの利権に固執する欲望が、家臣領民の親や家族を戦災に巻き込んだのです。
教会の利権や欲深さを批判した新教徒を、ホープ教皇達が弾圧しました。
開祖、始祖であるキリバスの教えに真っ向逆らった行為です。
それを恥ずかしげもなく行っただけでなく、延々とやり続けたのです。
俺から言わせてもらうと、その時点で神などいないと分かります。
自分の名を騙って欲望を満たす連中を放置しています。
神の使徒を詐称して多くの人を殺している連中に、好き勝手させ続けています。
全知全能の神ならば、神罰天罰を下すべきでしょう!
奇跡を起こして被害者を助けるべきでしょう!
ですが、神罰もなければ奇跡もありません。
神を詐称する者を野放しにし続けます。
被害者が弾圧され殺されても何もしません。
神のしもべを詐称する者達が、自分達の利益を守る為に行う差別や殺人を、神の試練とまで言っているのを放置し続けるのです。
それこそが神が存在しない証拠であり、もし力ある者が本当にいて、教皇達に力を貸しているにしても、それは神ではなく悪魔です。
「そのような腐れ外道を非難しても何にもなりませんよ。
批判するのではなく、皆殺しにするのです。
皆殺しにするための具体的な方法を考えるのです。
実行できるように、日々努力するのです。
陰で悪口を言うだけの卑怯者に、我が家の家臣領民を名乗る資格はありません!」
「はい!」
「申し訳ありません!」
「心を入れ替えます!」
「日々精進する事を誓います!」
「誰にも負けないように努力します!」
俺の言葉が家臣領民を奮起させたようです。
これまでも、彼らは親兄妹の仇であるホープ教皇達を憎んではいました。
ですが、どれほど鍛えても限界があると諦めていたようです。
ですが、竜を手懐ける事ができれば違います。
単に一騎当千の騎士になるのとは段違いなのです。
竜ならば、小型の亜竜であっても、何者をも圧倒する力があります。
よほど弱い小型の草食亜竜でない限り、ほとんどの猛獣や魔獣に勝てるのです。
今回俺が魅了したのは全部中型の草食亜竜です。
どのような猛獣でも魔獣でも打ち勝てる強さがあります。
まして、今まで亜竜の本能でしか動けなかったのに、人間の知恵が加わるのです。
群れで行動していた亜竜でも、軍略に従っていたわけではありません。
これからは、戦略戦術に従った攻撃ができるのです。
攻城用の大型兵器を運ぶような大掛かりな輸送の必要がなくなります。
騎馬よりも機動性のある動きで、攻城兵器に匹敵する亜竜で移動するのです。
王都や軍城の堅牢な城門であろうと、亜竜の一撃で粉砕できるのです。
「一年や二年で騎竜軍団を作れ、なんて言いません。
五年の時間を与えます。
五年間で竜を操る技術を磨きなさい。
竜を卵から孵して全ての人間に従順な家畜になるように育てなさい」
「「「「「はい!」」」」」
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