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第二章
第26話:竜の活用方法
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「フラヴィオ、こいつらの乗り手を選んでください」
俺は騎虎の勢いで家畜を増やす事にしました。
もう魅了魔法や身体強化魔法に関しては自重するのは止めました。
流石に核分裂魔法は使いませんし、戦略級魔法も使いませんが、もう二度と我が家に手出しする気にならないくらいの報復は、絶対にしなければいけません。
だから、群れを作る大人しい草食亜竜だけでなく、肉食亜竜も魅了しました。
群れを作るので、絶対に魅了させられない訳ではありませんが、大きな危険をともなう行為です。
この肉食亜竜は、弱った同類を食べてしまうのです。
人間を同類と思わせたとしても、餌が不足すると襲う可能性があります。
だから餌の豊富な地竜森林に近い北砦に連れてきたのです。
「若の申される事はいつも突拍子がありませんね」
「歴戦のフラヴィオに褒めてもらえるのはうれしいですね」
「褒めたわけではないのですが?」
「おや、そうですか、てっきり褒めて頂いたと思ったのですが?」
「冗談はさておいて、本当に大丈夫なのですか?」
「村や砦では少し危険ですが、ここなら毎日地竜森林で狩りをさせられるので、弱った同類を襲ったりしないでしょう。
つまり、人間を襲わないと言う事です。
俺も毎日魅了の重ね掛けをしますので、何の心配もいりません」
「若がそこまで申されるのでしたら、本当に大丈夫なのでしょう。
ですが、人間の恐怖感は、若の言葉だけで抑えられるものではありません」
フラヴィオも言う事も当然です。
俺が連れてきた肉食亜竜は獰猛で有名なのです。
地竜森林でも、弱肉強食の頂点に位置する強力な群れを作っているのです。
体高がおおよそ二・七メートルで全長が七メートル。
体重が一トン弱ですが、騎竜に比べて攻撃力が高いのです。
肉食亜竜特有の鋭い牙だけでなく、頭に赤く鋭い角が三つもあるのです。
長く強靭な首で振るわれる角の一撃は、草食亜竜の強靭で厚い皮を貫き、一撃で絶命させられるほどです。
走る速さもトップスピードは駿馬や騎竜よりも速いです。
肉食竜なので駿馬や騎竜よりもスタミナはありませんが、戦闘時に必要な瞬発力は駿馬や騎竜よりも上です。
飼い慣らすのがとても難しく、何時飼竜に喰い殺されるか分からない危険と背中合わせですが、戦闘力は何物にも代えがたいのです。
「この子達を怖いと思う者に、無理矢理世話をさせたりしませんよ。
俺の言葉を信じて、命を賭けてでもこの子達の主人になりたいと思う者だけに、世話をさせる心算です」
「それは、マクネイア男爵家の兵制を完全に変えると言う事ですか?」
「これからは竜が主力兵種になりますから、そうなってしまうでしょうね」
「飢えれば共食いを始めるような肉食竜を遠征に連れて行くのですか?!
肉食竜の餌をどうする心算ですか?!
まさか、敵対した人間を餌にする気ではないでしょうね?!」
「旧教徒を餌にする案は魅力的ですが、そこまでやる気はありませんよ。
完全に調教できるまでは、防衛戦にだけ使うつもりです。
調教が終わる頃には、我が家の家畜も増えているでしょう?」
「村の家畜は壊滅したのですよね?
一角羚羊や大角鹿は、若の魔法がなければ扱い難いのですよね?」
「それは今の世代だけですよ。
子供が生まれて大きくなる頃には、人間に従順な家畜になります。
それに、マーガデール男爵領が我が家のものになりました。
あそこを拠点にすれば、今までとは比較にならない家畜を飼えます。
この子達を使えば、地竜森林に放牧しても喰われる心配もありません」
「なるほど、この竜達がいれば、地竜森林を完全に我が家の領地にできると申されるのですね」
「はい、これまでのように、肉食竜に怯えながら、命懸けで戦って追い払う事で、家畜の餌や飲料水を集める必要がなくなります」
俺が開発した大型弩砲を活用する事で、徐々に竜と戦えるようになり、小型の亜竜なら狩って素材を交易品にする事までできるようになっていました。
でも大型肉食亜竜や中型肉食亜竜の群れが相手だと、逃げるのが精一杯でした。
そんな強大な竜に対抗できるのは、魔法を使える父上と俺だけですが、つい最近までは俺が魔法を使えるのは秘密だったのです。
それに、万が一父上や俺がいなくなったら、地竜森林の豊かさを利用できなくなってしまいます。
コソ泥のように素早く入り込んでは逃げ出すしかなくなってしまいます。
ですが、普通の領民でも肉食亜竜を飼えるようになったら、何の恐れもなく地竜森林を活用できるようになります。
中型草食亜竜の肉竜、輓竜、騎竜でも小型の亜竜や猛獣や魔獣を蹴散らせる強さはありますが、中型以上の肉食亜竜の群れに狙われると逃げるしかありません。
そんな弱点を残していては、安心して死ぬことができません。
僅か七歳で自分の死んだ後の事を考えるのは、おかしすぎると自覚していますが、石橋を叩いて壊すほど慎重だと言われた前世の性格はなかなか直りません。
「それと、もうこれ以上近隣貴族に好き勝手させる気はありません。
この子達を先頭に、ブレイン男爵家に目にもの見せてやります」
ブレイン男爵家は、竜爪街道を挟んでマーガデール男爵家の反対にある家で、我が家と領地を接している事になっている家です。
この辺りは竜爪街道を挟んで大きく呼び名が変わっています。
我が家は東側の東竜山脈に村を築きましたが、西側にも西竜山脈があります。
東竜山脈の向こう側に、北側に我が家が活用している地竜森林があります。
その地竜森林に接しているのがマーガデール男爵家です。
ですが竜爪街道を挟んで西側にも魔森林と呼ばれる大森林があるのです。
その魔森林に接する形でブレイン男爵家があります。
これまで我が家は魔森林を利用してきませんでした。
それは、魔森林に入ったら誰も出て来られないという伝説があったからです。
そして実際、魔森林に入ったブレイン男爵領の民は出て来られないのです。
「そうですか、遂に両男爵家を併呑する時が来たのですか」
祖父母が傭兵団を率いていた頃からの古強者であるフラヴィオは、我が家の最も苦しいかった頃を知っています。
その頃に、ウェストベリー侯爵家の意を借りて、貴族の常識だマナーだと言って、我が家に不利な取引を要求し続けたのが両家です。
しかも両家が共同して見逃さない限り、盗賊に偽装した大兵力を我が家に送り込む事などできないのです。
マーガデール男爵家は叩き潰してやりましたが、ブレイン男爵家は竜が山から下りで村を破壊してしまう大事件が起きたので、放置したままなっていたのです。
「ブレイン男爵家を叩き潰すのは大賛成ですが、本当に大丈夫ですか?
こいつらがブレイン男爵領の人間を食べてしまうような事があれば、我が家は人間の敵だと言触らされてしまいますぞ」
「竜を使わなくても、我が家はキリバス教の敵、背教徒だと旧教徒達から言われていますから、今更ですよ」
「そうは申されても、わざわざ敵に悪い噂を広める材料を与える事はありますまい」
「いいのですよ。
悪名は無名に勝るという言葉があるのです。
父上が遠く離れた場所で、厳しい条件の交渉をさせられているのです。
肉食亜竜の群れを手懐けて、人間を襲わせていると言う噂は、父上が生きて戻られる手助けになります」
「そんな事をされなくても、閣下は無事に戻って来られます」
「一緒に行っている家臣領民はどうですか?
また父上に家臣領民を切り捨てる決断をさせるのですか?
俺が生まれ育った事で、家臣領民を切り捨てるよりも、自分が犠牲になる方を選ばれたら、どう責任を取るのですか?」
「確かに、閣下が自分の命を捨てて家臣領民を助ける危険がありました。
私の計算が甘かったようです。
分かりました、ブレイン男爵領の民を喰い殺す事になってもいいでしょう。
こちらから悪名を広めるようにいたしましょう」
「そこまでしなくても大丈夫ですよ。
それに、本当に人間を喰わせたりしませんよ。
我が家を貶めようとして広める噂が、我が家を強く大きく見せてくれます。
時期が来たら、連中が嘘をついていた事を明らかにしてやります。
嘘をついてはいけないと言うキリバス教の教えを蔑ろにしたのです。
教皇や枢機卿達がどんな言い訳をするのか楽しみです」
俺は騎虎の勢いで家畜を増やす事にしました。
もう魅了魔法や身体強化魔法に関しては自重するのは止めました。
流石に核分裂魔法は使いませんし、戦略級魔法も使いませんが、もう二度と我が家に手出しする気にならないくらいの報復は、絶対にしなければいけません。
だから、群れを作る大人しい草食亜竜だけでなく、肉食亜竜も魅了しました。
群れを作るので、絶対に魅了させられない訳ではありませんが、大きな危険をともなう行為です。
この肉食亜竜は、弱った同類を食べてしまうのです。
人間を同類と思わせたとしても、餌が不足すると襲う可能性があります。
だから餌の豊富な地竜森林に近い北砦に連れてきたのです。
「若の申される事はいつも突拍子がありませんね」
「歴戦のフラヴィオに褒めてもらえるのはうれしいですね」
「褒めたわけではないのですが?」
「おや、そうですか、てっきり褒めて頂いたと思ったのですが?」
「冗談はさておいて、本当に大丈夫なのですか?」
「村や砦では少し危険ですが、ここなら毎日地竜森林で狩りをさせられるので、弱った同類を襲ったりしないでしょう。
つまり、人間を襲わないと言う事です。
俺も毎日魅了の重ね掛けをしますので、何の心配もいりません」
「若がそこまで申されるのでしたら、本当に大丈夫なのでしょう。
ですが、人間の恐怖感は、若の言葉だけで抑えられるものではありません」
フラヴィオも言う事も当然です。
俺が連れてきた肉食亜竜は獰猛で有名なのです。
地竜森林でも、弱肉強食の頂点に位置する強力な群れを作っているのです。
体高がおおよそ二・七メートルで全長が七メートル。
体重が一トン弱ですが、騎竜に比べて攻撃力が高いのです。
肉食亜竜特有の鋭い牙だけでなく、頭に赤く鋭い角が三つもあるのです。
長く強靭な首で振るわれる角の一撃は、草食亜竜の強靭で厚い皮を貫き、一撃で絶命させられるほどです。
走る速さもトップスピードは駿馬や騎竜よりも速いです。
肉食竜なので駿馬や騎竜よりもスタミナはありませんが、戦闘時に必要な瞬発力は駿馬や騎竜よりも上です。
飼い慣らすのがとても難しく、何時飼竜に喰い殺されるか分からない危険と背中合わせですが、戦闘力は何物にも代えがたいのです。
「この子達を怖いと思う者に、無理矢理世話をさせたりしませんよ。
俺の言葉を信じて、命を賭けてでもこの子達の主人になりたいと思う者だけに、世話をさせる心算です」
「それは、マクネイア男爵家の兵制を完全に変えると言う事ですか?」
「これからは竜が主力兵種になりますから、そうなってしまうでしょうね」
「飢えれば共食いを始めるような肉食竜を遠征に連れて行くのですか?!
肉食竜の餌をどうする心算ですか?!
まさか、敵対した人間を餌にする気ではないでしょうね?!」
「旧教徒を餌にする案は魅力的ですが、そこまでやる気はありませんよ。
完全に調教できるまでは、防衛戦にだけ使うつもりです。
調教が終わる頃には、我が家の家畜も増えているでしょう?」
「村の家畜は壊滅したのですよね?
一角羚羊や大角鹿は、若の魔法がなければ扱い難いのですよね?」
「それは今の世代だけですよ。
子供が生まれて大きくなる頃には、人間に従順な家畜になります。
それに、マーガデール男爵領が我が家のものになりました。
あそこを拠点にすれば、今までとは比較にならない家畜を飼えます。
この子達を使えば、地竜森林に放牧しても喰われる心配もありません」
「なるほど、この竜達がいれば、地竜森林を完全に我が家の領地にできると申されるのですね」
「はい、これまでのように、肉食竜に怯えながら、命懸けで戦って追い払う事で、家畜の餌や飲料水を集める必要がなくなります」
俺が開発した大型弩砲を活用する事で、徐々に竜と戦えるようになり、小型の亜竜なら狩って素材を交易品にする事までできるようになっていました。
でも大型肉食亜竜や中型肉食亜竜の群れが相手だと、逃げるのが精一杯でした。
そんな強大な竜に対抗できるのは、魔法を使える父上と俺だけですが、つい最近までは俺が魔法を使えるのは秘密だったのです。
それに、万が一父上や俺がいなくなったら、地竜森林の豊かさを利用できなくなってしまいます。
コソ泥のように素早く入り込んでは逃げ出すしかなくなってしまいます。
ですが、普通の領民でも肉食亜竜を飼えるようになったら、何の恐れもなく地竜森林を活用できるようになります。
中型草食亜竜の肉竜、輓竜、騎竜でも小型の亜竜や猛獣や魔獣を蹴散らせる強さはありますが、中型以上の肉食亜竜の群れに狙われると逃げるしかありません。
そんな弱点を残していては、安心して死ぬことができません。
僅か七歳で自分の死んだ後の事を考えるのは、おかしすぎると自覚していますが、石橋を叩いて壊すほど慎重だと言われた前世の性格はなかなか直りません。
「それと、もうこれ以上近隣貴族に好き勝手させる気はありません。
この子達を先頭に、ブレイン男爵家に目にもの見せてやります」
ブレイン男爵家は、竜爪街道を挟んでマーガデール男爵家の反対にある家で、我が家と領地を接している事になっている家です。
この辺りは竜爪街道を挟んで大きく呼び名が変わっています。
我が家は東側の東竜山脈に村を築きましたが、西側にも西竜山脈があります。
東竜山脈の向こう側に、北側に我が家が活用している地竜森林があります。
その地竜森林に接しているのがマーガデール男爵家です。
ですが竜爪街道を挟んで西側にも魔森林と呼ばれる大森林があるのです。
その魔森林に接する形でブレイン男爵家があります。
これまで我が家は魔森林を利用してきませんでした。
それは、魔森林に入ったら誰も出て来られないという伝説があったからです。
そして実際、魔森林に入ったブレイン男爵領の民は出て来られないのです。
「そうですか、遂に両男爵家を併呑する時が来たのですか」
祖父母が傭兵団を率いていた頃からの古強者であるフラヴィオは、我が家の最も苦しいかった頃を知っています。
その頃に、ウェストベリー侯爵家の意を借りて、貴族の常識だマナーだと言って、我が家に不利な取引を要求し続けたのが両家です。
しかも両家が共同して見逃さない限り、盗賊に偽装した大兵力を我が家に送り込む事などできないのです。
マーガデール男爵家は叩き潰してやりましたが、ブレイン男爵家は竜が山から下りで村を破壊してしまう大事件が起きたので、放置したままなっていたのです。
「ブレイン男爵家を叩き潰すのは大賛成ですが、本当に大丈夫ですか?
こいつらがブレイン男爵領の人間を食べてしまうような事があれば、我が家は人間の敵だと言触らされてしまいますぞ」
「竜を使わなくても、我が家はキリバス教の敵、背教徒だと旧教徒達から言われていますから、今更ですよ」
「そうは申されても、わざわざ敵に悪い噂を広める材料を与える事はありますまい」
「いいのですよ。
悪名は無名に勝るという言葉があるのです。
父上が遠く離れた場所で、厳しい条件の交渉をさせられているのです。
肉食亜竜の群れを手懐けて、人間を襲わせていると言う噂は、父上が生きて戻られる手助けになります」
「そんな事をされなくても、閣下は無事に戻って来られます」
「一緒に行っている家臣領民はどうですか?
また父上に家臣領民を切り捨てる決断をさせるのですか?
俺が生まれ育った事で、家臣領民を切り捨てるよりも、自分が犠牲になる方を選ばれたら、どう責任を取るのですか?」
「確かに、閣下が自分の命を捨てて家臣領民を助ける危険がありました。
私の計算が甘かったようです。
分かりました、ブレイン男爵領の民を喰い殺す事になってもいいでしょう。
こちらから悪名を広めるようにいたしましょう」
「そこまでしなくても大丈夫ですよ。
それに、本当に人間を喰わせたりしませんよ。
我が家を貶めようとして広める噂が、我が家を強く大きく見せてくれます。
時期が来たら、連中が嘘をついていた事を明らかにしてやります。
嘘をついてはいけないと言うキリバス教の教えを蔑ろにしたのです。
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